こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職支援を約25年続けているキープレイヤーズの高野秀敏です。
人材紹介の手数料は年収の何%なのか。この質問は、企業の経営者からも、転職を考えている方からも、本当によく聞かれます。ネット上には「30〜35%が相場」という記事がたくさんありますが、その多くは出典がないか、あっても10年近く前のものです。
ところが2025年4月から、状況が変わりました。職業安定法に基づく省令が改正され、職業紹介事業者は自社の手数料の実績を職種別に公開することが義務づけられたのです。掲載先は厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」。誰でも無料で見られます。
私はこの1週間、そのサイトから主要な人材会社のデータを1社ずつ手作業で拾い集めました。結果を先に言うと、ハイクラス領域の実績率は31〜43%、医療・介護領域は23〜27%でした。「30〜35%」という通説は、領域によっては当たっていて、領域によってはまるで当たっていません。
この記事でわかること
- 2025年4月から始まった手数料実績の公開義務の中身と、データの見つけ方
- 主要10社の職種別 手数料実績率(一次データ)
- ハイクラス・医療介護・エグゼクティブで料率がどう違うか
- このデータを鵜呑みにしてはいけない3つの理由
- 企業側・求職者側それぞれの、実務での使い方
最初に:このデータは事業者の自己申告です
数字を見る前に、どうしても先に書いておかなければならないことがあります。
これから紹介する数値は、厚生労働省が集計・検算した統計ではありません。各事業者が自ら人材サービス総合サイトに入力して掲載しているものです。制度としては掲載が義務ですが、その数字が正しいかどうかを国が一件ずつ検証しているわけではない、という性質のデータです。
実際、後で触れるように、同じ会社の中で49.7%と3.4%という数字が並んでいるケースがあります。これは「その会社が職種によって料率を10倍以上変えている」という意味ではなく、集計の仕方の違いから生まれた数字だと考えるのが自然です。
それでも、このデータには大きな価値があります。これまで人材業界の手数料は、契約書を見られる当事者以外には完全なブラックボックスでした。不完全であっても、公的なサイトに事業者名と数字が並んだのは初めてのことです。前提を理解したうえで読めば、十分に実務で使えます。
制度の中身:何を、いつまでに、どう計算して出すのか
厚生労働省が事業者向けに配っているリーフレット(LL061030需01)に、算定方法まで明記されています。要点を整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 2025年(令和7年)4月1日 |
| 掲載先 | 人材サービス総合サイト(厚生労働省) |
| 対象 | 職種別の常用就職1件当たりの平均手数料率 |
| 計算式 | 求人者から徴収した手数料の総額 ÷ 求職者の予定年収の総額(いずれも常用就職の全件分) |
| 公開する職種 | 常用就職の実績が多い上位5職種 |
| 掲載不要のケース | 常用就職の実績が10件以下の職種 |
| 常用就職の定義 | 4ヶ月以上の有期、または無期で雇用されること |
| 定額制の場合 | 率に代えて金額を掲載できる(率と併用している場合は率を算出) |
同じ改正で、違約金規約を設けている場合はあらかじめ求人企業に明示することも義務になりました。採用後に人が辞めたときの返金や、辞退後に別ルートで採用した場合の扱いなど、これまで契約書の奥にあった条件を先に出しなさい、ということです。企業側にとってはこちらの改正のほうが効くかもしれません。
ハイクラス・総合領域の実績率
まず、ビジネス職の中途採用を扱う会社です。数値はすべて人材サービス総合サイトに令和7年度として掲載されているもので、括弧内は職種コードです。
| 会社名 | 職種と手数料実績率 |
|---|---|
| ジェイエイシーリクルートメント | 情報処理・通信技術者/ソフト開発除く(010)39.3% 総務・人事・企画事務(033)37.9% 開発技術者(006)36.9% 製造技術者(007)35.8% 営業(048)35.4% |
| ビズリーチ | 営業(048)34.6% ソフトウェア開発(009)34.3% その他の技術(011)33.7% 情報処理・通信技術者/ソフト開発除く(010)32.2% 総務・人事・企画事務(033)32.0% |
| インディードリクルートパートナーズ (リクルートエージェント) |
法人・団体管理職員(002)33.4% ソフトウェア開発(009)32.8% その他の技術(011)32.5% 一般事務・秘書・受付(034)32.0% 営業(048)31.4% |
| ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン | ソフトウェア開発(009)25.5% 営業(048)22.9% 法人・団体管理職員(002)21.8% 建築・土木・測量技術者(008)20.1% 経営・金融・保険の専門的職業(013)18.6% |
JACが5職種すべてで35%を超えているのが目を引きます。ミドル・ハイクラスに絞り、外資系や海外事業に強いという同社のポジショニングが、そのまま料率に出ています。私の実感とも一致します。
そしてこの4社の中に、30%を下回る職種はほとんどありません。「相場は30〜35%」という通説は、下限が少し低すぎたと言えます。ハイクラスの実勢は32〜39%あたりに集まっています。
ヘイズだけが18〜25%と低く出ていますが、これは同社の料率が安いというより、集計に含まれる案件の構成によるものと考えるのが自然でしょう。外資系エージェントは日本法人以外での契約が混ざることもあります。
なお、表に出てくる「インディードリクルートパートナーズ」を見慣れない方も多いと思います。リクルートエージェントを運営している会社です。2025年4月1日に株式会社リクルートから分割されて設立された会社で、職業紹介事業の許可番号も13-ユ-313011から13-ユ-317880に変わりました。リクルートエージェントの公式サイトから「会社概要」をたどると、この会社に着きます。リクルートエージェントは、もう株式会社リクルートが運営している事業ではありません。
エグゼクティブ領域は40%を超える
役員・経営幹部だけを扱う会社は、はっきり水準が違います。
| 会社名 | 職種 | 手数料実績率 |
|---|---|---|
| リクルートエグゼクティブエージェント | 法人・団体管理職員(002) | 43.0% |
| 法人・団体役員(001) | 40.0% |
役員クラスで40%、管理職クラスで43%。これは私が普段お伝えしている「幹部採用は50%前後」という感覚に近い数字です。エグゼクティブサーチは着手金・中間金を取るリテイナー型が多く、成功報酬一本の一般的な人材紹介とは商流が違います。その分、率が上がります。
CxOクラスの採用を考えている企業の方は、CxO転職・経営幹部キャリアの全体像もあわせてご覧ください。報酬設計と採用コストは切り離せない話です。
医療・介護領域は23〜27%。まったく別の世界です
同じ人材紹介でも、医療・介護の水準はビジネス職と明確に違います。
| 会社名 | 職種と手数料実績率 |
|---|---|
| エス・エム・エス | 施設介護(050)26.3% 保育士 26.3% 栄養士・管理栄養士(025)26.0% 医療技術者(024)25.6% 看護師・准看護師(023)23.0% |
| メドレー | 医師・歯科医師・獣医師・薬剤師(021)33.0% 施設介護(050)27.0% |
| エムスリーキャリア | 医師・歯科医師・獣医師・薬剤師(021)35.2% 医療・介護事務(037)26.1% 医師(自社区分)24.0% |
| リクルートメディカルキャリア | 医師・歯科医師・獣医師・薬剤師(021)32.0% 医師(自社区分)23.0% |
看護師23.0%、介護26.3%。ハイクラスのビジネス職より8〜15ポイント低い水準です。これは業界の構造そのものを反映しています。医療機関や介護施設は診療報酬・介護報酬という公定価格の中で経営しており、採用に払える金額に天井があります。実際、介護分野の紹介手数料をめぐっては厚生労働省でも議論が続いています。
この4社の関係も、少し補足しておきます。エムスリーキャリアは2009年にエムスリーとエス・エム・エスが共同出資して設立された会社で、上の表で競合のように並んでいる2社は、医師領域では資本でつながっています。
そしてリクルートメディカルキャリアは、2026年8月3日付でメドレーのグループに入りました。吸収分割で新設された株式会社RMキャリアの全株式をメドレーが10億円で取得したもので、医師・薬剤師の紹介サービスは「ジョブメドレーエージェント」に統合されています。つまりこの表の3社分の数字は、いま1つのグループの中に集まりつつあります。
医師だけ、なぜ率が下がるのか
上の表をよく見ると、面白いことが起きています。「医師・歯科医師・薬剤師」という括りだと32〜35%なのに、各社が自社区分で出している「医師」だけの数字は23〜24%まで下がるのです。
| 会社名 | 医師・歯科医師・薬剤師(021) | 医師のみ |
|---|---|---|
| エムスリーキャリア | 35.2% | 24.0% |
| リクルートメディカルキャリア | 32.0% | 23.0% |
| メドレー | 33.0% | 35.0% |
理由は年収です。手数料実績率は「手数料の総額 ÷ 予定年収の総額」で計算します。医師の年収は他職種より大きいので、同じ金額をもらっても率としては小さく出ます。
それを裏づけるのが、エムスリーキャリアが率ではなく金額で開示している数字です。医師1件あたり1,822,975円、歯科医師・獣医師・薬剤師1件あたり1,239,755円。定額制で徴収している場合は金額での掲載が認められているため、こういう出し方ができます。
1件182万円を24.0%で割り戻すと、想定年収は約760万円。医師の年収水準を考えるとやや低めに見えますが、非常勤やスポット的な就業を含む数字である可能性があります。いずれにせよ、率だけで比較すると医療領域は実態より安く見えるということは押さえておいてください。
データを鵜呑みにしてはいけない3つの理由
理由1:同じ会社の中で49.7%と3.4%が並ぶことがある
フォースタートアップスの掲載内容を見てみます。
| 職種 | 手数料実績率 |
|---|---|
| 営業(048) | 49.7% |
| ソフトウェア開発(009) | 14.3% |
| 法人・団体管理職員(002) | 12.7% |
| 一般事務・秘書・受付(034) | 11.0% |
| 総務・人事・企画事務(033) | 3.4% |
営業の49.7%は、届出が受理される実務上の天井とされる50%のすぐ下です。一方で総務・人事は3.4%。同じ会社が職種によって料率を15倍近く変えている、とは考えにくいでしょう。
算定式が「その職種の手数料総額 ÷ その職種の予定年収総額」である以上、たとえば複数の職種にまたがる成約の手数料をどれか1つの職種に寄せて計上すると、寄せられた職種の率は跳ね上がり、寄せられた側の率は下がります。これはあくまで私の推測ですが、数字の並び方はそう読めます。
いずれにせよ、この数字を「その会社のその職種の標準料率」として読むのは危険です。同社が公表しているIR資料では、1件あたりの平均手数料は416万円とされています。こちらのほうが実態に近い数字でしょう。
理由2:就職者数がまったく違う
率だけを横に並べると、同じ規模の会社を比べているような錯覚が起きます。実際にはこうです。
| 会社名 | 就職者(人) | うち無期雇用(人) |
|---|---|---|
| インディードリクルートパートナーズ | 87,754 | 83,999 |
| エス・エム・エス | 50,641 | 50,641 |
| ジェイエイシーリクルートメント | 13,694 | 12,938 |
| エムスリーキャリア | 6,861 | 6,861 |
| フォースタートアップス | 952 | 952 |
| リクルートメディカルキャリア | 749 | 390 |
| リクルートエグゼクティブエージェント | 462 | 301 |
| メドレー | 254 | 247 |
| ビズリーチ | 190 | 189 |
ビズリーチの190人という数字を見て、驚いた方がいるかもしれません。これは同社が縮小しているという話ではまったくありません。ビズリーチの主力はスカウト型のプラットフォームで、これは法律上「募集情報等提供」にあたり、職業紹介事業とは別の区分です。ここに出ている190人は、同社が職業紹介事業として成約した分だけの数字です。
ビズリーチのスカウト運用についてはスカウト300通の現場データをまとめた記事で詳しく書きました。サービスの形が違えば、そもそも同じ土俵に載っていないということです。
理由3:上位5職種しか出ていない
公開義務があるのは常用就職の実績が多い上位5職種だけで、10件以下の職種は掲載不要です。つまり、その会社が本当に得意にしている少数精鋭の領域は、件数が少ないために表に出てこない可能性があります。載っているのは「よく決まっている職種」であって「その会社の看板職種」とは限りません。
「上限は50%」は、実は法律に書かれていません
ここで、多くの記事が間違えている点をひとつ指摘させてください。
人材紹介の手数料について検索すると、ほぼ必ず「法律上の上限は年収の50%」と書かれています。私自身、これまでそう理解していました。ところが今回、厚生労働省の「職業紹介事業の業務運営要領」の最新版にあたってみたところ、50%という数字はどこにも書かれていませんでした。
有料職業紹介の手数料には2種類あります。
| 種類 | 法令・要領上の定め | 実務での位置づけ |
|---|---|---|
| 上限制手数料 | 支払われた賃金額の100分の11(免税事業者は10.3)。期間の定めのない雇用で6ヶ月を超えて雇用された場合は、100分の14.8(免税事業者は13.9)を選択できる | ほとんど使われていない |
| 届出制手数料 | 「厚生労働大臣に届け出た手数料表の額を徴収することができる」とあるのみ。上限の数値は定められていない | 現在の人材紹介会社はほぼこちら |
届出制手数料について要領が定めているのは、手数料表の「変更命令」の要件だけです。具体的には、①手数料に関する事項が明確に定められておらず著しく不当なとき、②特定の者に不当な差別的取扱いをするとき、この2つの場合に労働局長が変更を命じることができる、と書かれています。率の数値基準はありません。
では50%という数字はどこから来たのか。実務上、年収の50%を超える手数料表を届け出ても労働局で受理されない、という運用が定着しているためです。つまり50%は「法定上限」ではなく「運用上の天井」です。
細かい話に聞こえるかもしれませんが、この違いは実務で効きます。「法律で50%まで認められています」と説明するのと「届出の運用上、50%が事実上の上限です」と説明するのとでは、交渉のときに立つ足場が違います。
私自身、キープレイヤーズでは年収の50%をいただいています。理由は単純で、幹部・CxOクラスの採用は候補者を口説く工数がまったく違うからです。この考え方は年収・報酬・ストックオプションのまとめでも触れています。
企業の採用担当者は、このデータをどう使うか
実務での使い方を3つ挙げます。
| 場面 | 使い方 |
|---|---|
| エージェント選定 | 候補会社の許可番号で人材サービス総合サイトを検索し、就職者数と職種を見る。自社の採りたい職種で実績があるかがわかる |
| 料率交渉 | 「御社は◯◯職で△%と公開されていますが」と切り出せる。ただし前述の理由から、この数字だけを根拠に押し切るのは避けたほうがよい |
| 返金条件の確認 | 2025年4月から違約金規約の事前明示が義務。契約前に必ず書面で受け取る |
私がいちばんおすすめするのは、料率の交渉材料としてではなく、相手の実力を測る材料として使うことです。就職者数と扱っている職種を見れば、その会社が本当にその領域を回しているかがわかります。料率を1割下げるより、決まる会社を選ぶほうが、採用コスト全体では圧倒的に安く済みます。
採用単価の考え方全般については企業側の採用・人材戦略のまとめもご覧ください。
転職を考えている方は、どう読むか
求職者の方から「エージェントに高い手数料を払わせると、自分の年収が下がるのでは」と聞かれることがあります。
結論から言うと、気にしなくて大丈夫です。手数料は企業が払うもので、法律上、求職者から手数料を取れるのは限られた場合だけです。対象は芸能家・モデル・経営管理者・科学技術者・熟練技能者の5つのみで、しかも後半の3職種については紹介で就いた職業の年収が700万円を超える場合に限られると業務運営要領に明記されています。一般的な転職で求職者が手数料を負担することはありません。
年収の提示額は採用市場の相場と本人の実力で決まるもので、紹介手数料の分だけ引かれる、という仕組みにはなっていません。
むしろ求職者の方に見ていただきたいのは、離職率の欄です。一部の会社は職種別の離職率も掲載しています。
| 会社名 | 職種 | 離職率(就職後6ヶ月以内) |
|---|---|---|
| メドレー | 医師 | 0.0% |
| 歯科医師・獣医師・薬剤師 | 15.1% | |
| 施設介護 | 27.6% | |
| エムスリーキャリア | 医師 | 9.1% |
| 歯科医師・獣医師・薬剤師 | 5.4% | |
| リクルートメディカルキャリア | 医師 | 11.1% |
| 歯科医師・獣医師・薬剤師 | 14.1% |
介護領域の27.6%という数字は重いものです。入職して半年以内に4人に1人以上が辞めている。これは特定の会社の問題というより、業界全体が抱えている構造の話です。エージェント経由で転職を考えるときは、料率よりもこちらを見たほうが、自分の転職の成否に直結します。
エージェントの選び方そのものについては転職エージェントの選び方・活用法にまとめています。
調べ方:自分でデータを見る手順
この記事の数字は、どなたでも同じ手順で確認できます。
- 人材サービス総合サイト(jinzai.hellowork.mhlw.go.jp)にアクセスする
- 「職業紹介事業検索」を選ぶ
- 都道府県を選び、事業主名称に会社名を入れて検索する(都道府県の指定は必須です)
- 検索結果から事業所名をクリックする
- ページ下部の「職業紹介事業の運営(法第32条の16 第3項に関する事項)その②」を見る
許可番号がわかっていれば、番号で直接検索することもできます。取引を検討しているエージェントがあれば、契約前に一度は見ておくことをおすすめします。数分で終わります。
よくある質問
Q. 紹介手数料の相場は結局何%ですか
領域によって違います。今回のデータでは、ハイクラスのビジネス職で31〜39%、役員・経営幹部で40〜43%、医療・介護で23〜27%でした。ネット記事によくある「30〜35%」は、ハイクラス領域については下限がやや低い数字だと考えてください。
Q. 手数料の法律上の上限は年収の50%ですか
正確には違います。厚生労働省の業務運営要領を確認すると、届出制手数料については「厚生労働大臣に届け出た手数料表の額を徴収することができる」とあるだけで、上限の数値は定められていません。50%というのは、それを超える手数料表が労働局で受理されないという実務上の運用です。なお、ほとんど使われていない上限制手数料のほうは、賃金額の100分の11(免税事業者は10.3)と明確に定められています。
Q. 手数料が安いエージェントを選べば採用コストは下がりますか
下がらないことのほうが多い、というのが私の実感です。決まらなければ手数料はゼロですが、採用できなかったことによる機会損失は残ります。1人あたりの手数料より、決まるまでの期間と定着率のほうが、総コストへの影響がはるかに大きいです。
Q. なぜ会社によって公開している職種が違うのですか
公開義務があるのは常用就職の実績が多い上位5職種だけだからです。実績が10件以下の職種は掲載不要とされています。したがって、掲載されている職種はその会社が「多く決めている職種」であって、必ずしも「得意な職種」とは限りません。
Q. 率ではなく金額で出ている会社があるのはなぜですか
定額制で手数料を徴収している場合は、率に代えて金額を掲載することが認められているためです。エムスリーキャリアが医師1件あたり1,822,975円と出しているのがその例です。率と定額を併用している場合は率を算出することになっています。
Q. このデータはどのくらい信用できますか
事業者の自己申告であり、国が一件ずつ検算したものではありません。算定の仕方によって数字が大きく振れるケースも見られます。ただし、公的サイトに社名と数字が並んだこと自体が初めてで、就職者数や離職率とあわせて読めば十分に実用的です。単独の数字を根拠に断定するのは避けてください。
Q. 求職者が手数料を負担することはありますか
一般的な転職ではありません。求職者から手数料を徴収できるのは芸能家、モデル、経営管理者、科学技術者、熟練技能者の5職種に限られ、うち経営管理者・科学技術者・熟練技能者については紹介で就いた職業の年収が700万円を超える場合のみとされています。
Q. 違約金や返金の条件はどこで確認できますか
2025年4月1日以降に求人を申し込む場合、違約金規約を設けている事業者は事前に明示する義務があります。書面またはメールなど、あとから読み返せる形で受け取ってください。ホームページを見せられただけ、同意ボタンを押しただけでは明示として不十分だと厚生労働省が明記しています。
まとめ:数字が出たことの意味
この制度で公開が始まった数字は、正直なところ、まだ荒いものです。算定方法にばらつきがあり、自己申告であり、上位5職種しか出ていません。
それでも私は、これは人材業界にとって大きな一歩だと思っています。これまで手数料の水準は、契約書を交わした当事者だけが知る情報でした。それが公的サイトに並んだ。来年、再来年とデータが積み上がれば、業界の実像がもっと見えるようになります。
私自身、25年この仕事をしてきて、手数料の話は正面から語られてこなかったと感じています。だからこそ、こうして数字を並べて考えることに意味があると思っています。手数料は、その会社が候補者一人にどれだけの時間と責任を注いだかの対価です。安ければいいというものでも、高ければいいというものでもありません。
キープレイヤーズでは、ベンチャー・スタートアップの経営幹部採用を中心に、採用のご相談を承っています。エージェントの選び方や料率の考え方についても、率直にお話しします。採用でお困りのことがあれば、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
また、スタートアップのキャリアや採用について継続的に情報交換したい方は、オンラインサロンもご用意しています。よろしければのぞいてみてください。
あわせて読みたい:この数字が決算にどう出ているか
今回のデータに出てくるインディードリクルートパートナーズ、つまりリクルートエージェントの決算を、noteのほうで読み解きました。米国の求人総数が減る前提のまま、1求人あたりの単価が35%上がっているという、採用市場の構造変化がはっきり出ています。
求人が減っているのに、過去最高益。リクルートの決算で確認した数字が、採用の常識をひっくり返していました
人材業界の決算を現場の感覚とつき合わせて読むシリーズとして、「人材業界の決算を現場から読む」にまとめています。
データ出典:厚生労働省「人材サービス総合サイト」(2026年8月11日時点の掲載内容)、厚生労働省リーフレット「紹介手数料率の実績の公開と違約金規約の明示が必要になります」(LL061030需01)

