こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職を約25年サポートしているキープレイヤーズの高野です。
今回は、サーキュラーエコノミー(循環経済・資源循環)業界への転職ガイドをまとめました。
この領域について、私は正直なところ数年前まで「理念が先行しすぎている」と思っていました。リサイクルや廃棄物処理は昔からある産業ですし、スタートアップが入っても収益化が難しい。実際、そう申し上げて転職を止めたこともあります。
その見方を変えたのが2026年4月1日に全面施行された改正資源有効利用促進法です。再生プラスチックの利用が「努力目標」から「義務」に変わり、リチウム蓄電池を内蔵した製品の回収・再資源化も促進対象になった。自動車、家電、容器包装といった日本の基幹産業の製造事業者が、再生材利用計画を作らなければならなくなりました。企業にとって資源循環は「やったほうがいいこと」ではなく「やらないと製品が出せないこと」になったわけです。
制度が変われば、採用要件が変わります。私のところにも2026年に入ってから「再生材の調達ルートを設計できる人はいませんか」「静脈側のオペレーションがわかる人を探しています」というご相談が、大手メーカーからもスタートアップからも来るようになりました。この記事では、サーキュラーエコノミー業界全体の転職市場を、市場規模・セグメント・企業別の実態・職種別年収・未経験からの入り方・失敗パターンまで、私が現場で見てきた実感を交えて一気に解説します。
サーキュラーエコノミー業界の市場規模と2026年の現在地
| 指標・出来事 | 数値・時期 | 注記 |
|---|---|---|
| 日本の循環経済関連ビジネス市場 | 2020年 約50兆円 → 2030年 80兆円以上(政府目標) | 2050年には120兆円規模まで拡大する見通し。GX戦略の一環として位置づけられている |
| 改正資源有効利用促進法 | 2026年4月1日 全面施行 | 再生プラスチックの利用義務化、リチウム蓄電池内蔵製品の回収・再資源化促進が二本柱。自動車・家電・容器包装の製造事業者等が対象 |
| 再資源化事業等高度化法 | 2025年施行 | 廃棄物処理・リサイクル側(静脈産業)を高度化する制度。改正資源有効利用促進法と「両輪」の関係 |
| 循環経済への移行加速化パッケージ | 2024年12月27日 関係閣僚会議決定 | 国家戦略として循環経済を位置づけ、あらゆる主体の取組推進に向けた環境整備を明記 |
| 世界のサーキュラーエコノミー市場 | 2026年に約7,127億USドル(Statista推計) | サステナビリティ消費の急成長が牽引 |
| 国内リユース市場 | 2023年に3兆円超、2030年に4兆円へ | 2009年以降14年連続で拡大。景気動向に左右されにくい構造が定着 |
| JEPLAN(ケミカルリサイクル) | 2026年3月に資金調達(金額非公表)、2026年4月にSyreと戦略的パートナーシップ | 次世代ポリエステル循環技術の開発を加速。Axens・IFPENと「繊維to繊維」リサイクルを商用規模で実証 |
| ウィファブリック(SMASELL) | 会員25万人、出品ブランド7,000、累計流通額11億円 | 累計CO2削減量218万kg。2026年からIPO準備を本格化する方針 |
| サーキュラーエコノミー推進職の求人年収 | 500万〜1,680万円 | ビズリーチ等のハイクラス求人での実績レンジ。「技術と企画を横断できる人材」が特に不足 |
この表で一番見ていただきたいのは、2026年4月1日という日付です。改正資源有効利用促進法が全面施行された。「再生プラスチックを何割使いなさい」という話が、大企業の環境部門の中だけの議論ではなく、調達部門・設計部門・生産技術部門の実務に降りてきたのがこの日です。
採用の現場では、これがはっきり見えます。以前の「サステナビリティ推進」の求人は、レポートを書ける人、開示ができる人を求めていました。今は違います。「再生材をどこから、いくらで、どの品質で、何トン調達してくるか」を設計できる人が求められている。開示から実装へ、テーマが完全に移りました。
もう一点、率直に申し上げます。この業界は「政策でできた市場」です。50兆円→80兆円という数字も政府目標であって、達成が保証されているわけではありません。制度が緩めば需要も緩む。だから入る側は、政策の中身を自分で読める人になっておいたほうがいい。ここは後半の失敗パターンでも触れます。ベンチャー転職全般の考え方はベンチャー転職 完全ガイドにまとめていますので、あわせて読んでみてください。
サーキュラーエコノミー業界の7セグメントと主要プレイヤー
「循環経済の会社に行きたい」というご相談を受けるとき、私が最初に必ず聞くのは「循環のどこですか」です。素材を作る側と、集める側と、売る側では、求められるスキルも事業の時間軸も年収の付き方もまるで違います。
| セグメント | 何をやっているか | 主なプレイヤー | 求められる人材 | 年収レンジ(目安) |
|---|---|---|---|---|
| ①ケミカルリサイクル・素材再生 | PET・ポリエステルの分子レベル再生、繊維to繊維リサイクル、再生プラスチック製造 | JEPLAN、アールプラスジャパン、日本環境設計系、住友化学・三菱ケミカルの循環事業 | 化学工学、プロセスエンジニア、プラント運転、量産化を設計できる生産技術 | 550万〜1,400万円 |
| ②代替素材・環境配慮設計 | 石灰石由来素材、バイオマスプラ、脱プラ包装、リサイクル可能な製品設計 | TBM、カネカ(生分解性プラ)、レンゴー、大手包装メーカーの新素材部門 | 材料研究、製品設計(DfR/DfD)、LCA算定、知財 | 500万〜1,300万円 |
| ③静脈産業DX(廃棄物処理の高度化) | 産廃マッチング、収集運搬の最適化、選別の自動化、トレーサビリティ | ファンファーレ、エコナビスタ系、産廃系SaaS各社、大手処理業者のDX部門 | SaaSのPdM/CS/営業、ルート最適化、画像認識、現場オペレーション改善 | 450万〜1,100万円 |
| ④リユース・二次流通 | 中古売買プラットフォーム、リユース容器、アパレル在庫の二次流通 | メルカリ、ウィファブリック(SMASELL)、ブックオフ、Megloo運営各社 | EC・マーケットプレイス運営、需給マッチング、真贋・査定オペレーション | 450万〜1,200万円 |
| ⑤フードロス・食の循環 | 賞味期限間近品の流通、規格外農産物、食品残渣の再資源化 | クラダシ、ロスゼロ、ukka、オリゼ(発酵由来素材)、SECAI MARCHE | EC・小売の事業開発、サプライチェーン設計、生産者ネットワーク構築 | 400万〜1,000万円 |
| ⑥再生材の調達・トレーサビリティ | 再生材の需給マッチング、由来証明、デジタル製品パスポート(DPP)対応 | 大手商社の資源循環部門、素材トレーサビリティSaaS各社、認証機関 | 調達・購買、国際規格(ISO/GRS等)の理解、データ基盤設計 | 550万〜1,400万円 |
| ⑦サーキュラー戦略コンサル・企画 | 循環型ビジネスモデル設計、規制対応支援、サーキュラーデザイン | 総合系ファーム、日系シンクタンク、専業ブティック、事業会社の循環経済推進室 | コンサル経験、LCA・規制の知識、製造業のバリューチェーン理解 | 700万〜1,680万円 |
年収レンジは私が実際に見ている求人票と、決まった案件のオファー水準からの体感です。この業界で押さえておいていただきたいのは、⑦のコンサル・企画層と、①⑥の技術・調達層に年収が集中していて、④⑤の現場運営層はそこまで高くないという構造です。理由は単純で、「制度対応の緊急性が高いところに、企業がお金を払っている」からです。
報酬パッケージの見方は年収・手取りガイドで詳しく整理しています。この領域は上場前の会社が多く、ストックオプションの設計次第で実質的な条件が大きく変わります。企業側の採用設計についてはスタートアップ採用ガイドをご覧ください。循環経済系は「理念に共感してくれる候補者」が集まりやすいぶん、条件面を詰めきらないまま口説いてしまい入社後にもめるケースが本当に多い領域です。
クライメートテックとサーキュラーエコノミーは何が違うのか
よく聞かれるので整理しておきます。クライメートテック(GX・脱炭素)はCO2という「フロー」を減らすのに対し、サーキュラーエコノミーは資源という「ストック」を回す。目的は重なりますが、測る指標が違います。
採用面で言うと、クライメートテックは算定・開示・エネルギーの人材を求め、サーキュラーエコノミーは素材・調達・製造・物流の人材を求めます。前者は金融や会計のバックグラウンドが効き、後者はメーカー出身者が圧倒的に強い。製造業でモノの流れを見てきた方は、こちらのほうが親和性が高いと私は考えています。脱炭素側に関心のある方はクライメートテック(GX・脱炭素)業界転職完全ガイドとエネルギー・脱炭素(再エネ/蓄電池/EV/GX)業界転職完全ガイドをあわせてどうぞ。
2026年の制度変更が、採用要件をどう変えたか
改正資源有効利用促進法(2026年4月1日全面施行)
採用インパクトが最も大きいのが再生プラスチックの利用義務化です。対象となる製造事業者は再生材利用計画の策定が求められ、環境配慮設計の認定制度も動き出しました。
これが実務に何をもたらしたか。調達部門が、これまで扱ったことのない「再生材」という原料を、品質と価格と量を担保して買ってこなければならなくなったのです。バージン材と違い、再生材は品質のばらつきが大きく、供給も安定しません。「再生材のサプライヤーを開拓し、品質基準を設計し、量を確保する」という仕事が、2026年に大量に発生しました。ここは経験者がほとんどいないので、調達・購買の経験がある方なら、未経験でも高い評価で入れる数少ないポジションです。調達キャリアの詳細は調達・購買マネージャー転職完全ガイドとSCM・購買/調達・物流(ロジスティクス)転職完全ガイドにまとめました。
もう一本の柱、リチウム蓄電池内蔵製品の回収・再資源化も見逃せません。モバイルバッテリーの発火事故が社会問題化したこともあり、回収スキームの構築は急務です。逆流物流(リバースロジスティクス)を設計できる人材の需要が立ち上がっています。この領域は物流DX・ロジテック業界転職完全ガイドとも接続します。
再資源化事業等高度化法(2025年施行)
こちらは静脈産業側(廃棄物処理・リサイクル業者)を高度化する制度です。国の認定を受けた高度な再資源化事業には、許可手続きの特例などが用意されています。
私が注目しているのは、これによって「産廃業界」のイメージが変わりつつあることです。従来は労働集約的な現場産業と見られていましたが、選別の自動化、収集ルートの最適化、トレーサビリティのデジタル化といったテーマが持ち込まれ、ソフトウェアエンジニアやデータ人材の採用が始まっています。私の知人でSaaS企業からこの領域に移った方がいますが、「競合が少なすぎて驚いた」と言っていました。技術者にとっては、実は競争の緩い青い海です。
職種別の年収相場と求められるスキル
| 職種 | 年収レンジ | 必須スキル | あると強い経験 |
|---|---|---|---|
| サーキュラーエコノミー戦略・企画 | 700万〜1,680万円 | 循環型ビジネスモデル設計、規制の読解、社内横断の推進力 | コンサル、製造業の事業企画、LCA算定 |
| 再生材の調達・購買 | 600万〜1,300万円 | サプライヤー開拓、品質基準の設計、価格交渉 | 製造業の調達、商社の資源トレーディング |
| プロセスエンジニア(リサイクル) | 550万〜1,300万円 | 化学工学、プラント設計・運転、スケールアップ | 石化・素材メーカーでの実プラント経験 |
| 材料研究(代替素材) | 550万〜1,200万円 | 高分子化学、材料評価、量産条件の作り込み | 博士号、素材メーカーの研究所経験 |
| 環境配慮設計(DfR/DfD) | 550万〜1,200万円 | 製品設計、分解容易性設計、材料選定 | 家電・自動車の設計、CAE |
| LCA・サステナビリティ算定 | 500万〜1,100万円 | LCA手法、ISO14040/44、GHGプロトコル | 環境コンサル、CFP算定の実務 |
| ソフトウェアエンジニア(静脈DX) | 550万〜1,200万円 | Webアプリ開発、ルート最適化、画像認識 | 物流SaaS、現場業務のシステム化 |
| リバースロジスティクス設計 | 550万〜1,200万円 | 回収ネットワーク設計、拠点計画、コスト構造分析 | 3PL、家電リサイクル、宅配の逆流実務 |
| リユース事業のバイヤー・査定 | 400万〜900万円 | 相場理解、真贋判定、在庫回転の管理 | ブランド買取、アパレルMD |
| 法務・規制対応 | 600万〜1,300万円 | 廃掃法、資源有効利用促進法、各種リサイクル法 | 産廃許認可の実務、行政折衝 |
関連する職種ガイドとして、サステナビリティ・ESG推進 転職完全ガイド、生産技術エンジニア転職完全ガイドもあわせてご覧ください。研究開発型のポジションを狙う方にはディープテック・研究開発型スタートアップ業界転職完全ガイド、製造業側からのアプローチは製造業DX・スマートファクトリー業界転職完全ガイドが参考になります。
サーキュラーエコノミー業界に転職するメリット・デメリット
メリット
- 制度が需要を作っている。2026年4月の全面施行で、企業は「やらざるを得ない」状態になりました。景気に左右されにくい需要です。
- 経験者が圧倒的に少ない。再生材調達もリバースロジスティクスも、10年以上のベテランがほとんど存在しません。参入すればすぐ「詳しい人」になれます。
- 製造業のキャリアが活きる。素材、設計、生産技術、調達、物流。日本の製造業で培われたスキルがそのまま武器になる希少な成長領域です。
- 市場の絶対規模が大きい。50兆円という現在地は、他の「◯◯テック」と比べて桁が違います。ニッチではありません。
- 技術者にとって競争が緩い。静脈産業DXにソフトウェア人材が入ってくる例はまだ少なく、相対的に高く評価されます。
デメリット
- 収益化に時間がかかる。ケミカルリサイクルのようなプラント系は、実証から商用化まで5〜10年かかります。短期の達成感は得にくい。
- 単価の安いビジネスが多い。廃棄物は「安く処理したい」ものなので、値付けが構造的に厳しい。ここを理解せずに入ると失望します。
- 現場が泥臭い。理念だけで来た方が、実際の選別現場や回収オペレーションを見て辞めるケースを何度も見ています。
- 政策依存のリスク。制度が緩んだり、義務化のスケジュールが後ろ倒しになれば需要は縮みます。
- 「グリーンウォッシュ」批判のリスク。実態が伴わない取り組みは、外部から厳しく指摘されます。誠実さが常に問われる領域です。
サーキュラーエコノミー業界に向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| モノの流れを最後まで追いかけるのが好きな人 | 企画書の中で完結したい人 |
| 現場に足を運ぶことを厭わない人 | オフィスワークだけで完結させたい人 |
| 5年、10年の時間軸で成果を待てる人 | 四半期ごとに達成感が欲しい人 |
| 制度・法令を自分で読める・読む気がある人 | 「誰かがまとめてくれた資料」でしか動けない人 |
| 製造業のバリューチェーンを理解している人 | BtoCのマーケティング経験しかなく、学ぶ気がない人 |
| 理念と収益の両立を粘り強く考えられる人 | 理念だけで、事業性の議論を避ける人 |
最後の行は特に強調しておきます。この業界で一番つらいのは、理念だけで来た人です。「環境に良いことがしたい」という動機自体は素晴らしいのですが、それだけだと「なぜこの再生材は競合より高いのに買ってもらえるのか」という日々の問いに耐えられません。理念と収益をセットで考えられる方が、結果的に長く残り、業界を前に進めています。
未経験からサーキュラーエコノミー業界に入る5ステップ
ステップ1:自分の「動脈側」の強みを棚卸しする
サーキュラーエコノミーは、動脈(作って売る)と静脈(集めて再生する)をつなぐ仕事です。まず自分が動脈側で何を持っているかを確認してください。設計なのか、調達なのか、生産技術なのか、物流なのか、小売なのか。そのどれもが、静脈とつなぐ瞬間に価値になります。「環境の勉強をしていないから無理」と思っている方が多いのですが、逆です。環境知識は後から足せます。
ステップ2:制度の一次情報を読む
改正資源有効利用促進法、再資源化事業等高度化法、循環経済への移行加速化パッケージ。この3つは経済産業省・環境省のサイトで原文が読めます。面接で「4月に全面施行された改正法の、御社への影響をどう見ていますか」と逆質問できる候補者は、ほぼ確実に印象に残ります。私が候補者の方に必ずお勧めしている準備です。
ステップ3:LCAの基礎を押さえる
LCA(ライフサイクルアセスメント)は、この業界の共通言語です。ISO14040/44の考え方と、CFP(カーボンフットプリント)の算定の流れを理解しておく。資格を取る必要はありませんが、「機能単位」「システム境界」「配分」といった用語の意味がわかるだけで会話の質が変わります。
ステップ4:入りやすいセグメントから入る
いきなりケミカルリサイクルのプロセスエンジニアを狙うのは、専門性の壁が高い。③静脈産業DXや④リユース、⑥再生材調達は、他業界のスキルがそのまま活きやすい入口です。特に調達経験者と物流経験者は、2026年の今、引く手あまたです。
ステップ5:1つ「回した」実績を作る
転職後、意識的に「実際に資源を循環させた案件」を1つ持ってください。再生材の調達ルートを開拓した、回収スキームを立ち上げた、選別工程を自動化した。何でも構いません。この業界は「語れる人」は多いが「回した人」は少ない。1つ実績があるだけで、次の市場価値がまったく変わります。
企業選びのチェックリスト10項目
- 収益源は何か。処理費なのか、素材販売なのか、SaaS課金なのか、補助金なのか。ここが曖昧な会社は要注意です。
- 補助金・助成金への依存度は何割か。3割を超えている会社は、制度変更で一気に苦しくなります。
- 実証段階か、商用段階か。プレスリリースの「実証開始」と「商用稼働」はまったく別物です。必ず区別して聞いてください。
- 再生材の品質を、誰がどう保証しているか。ここに答えられない素材系企業は、量産で必ず詰まります。
- 大手メーカーとの取引実績はあるか。この業界は、大手の調達基準を通ったかどうかが実力の証明です。
- 直近の資金調達とランウェイ。プラント系は資金需要が大きいので、特に重要です。
- 現場(工場・回収拠点)を見せてくれるか。見せたがらない会社は、何かあります。選考中に見学を申し出てください。
- 2026年施行の改正法に、どう対応しているか。この質問への回答の解像度が、その会社の実力を最もよく表します。
- 静脈側のパートナーを持っているか。回収・選別を担う既存事業者との関係がない会社は、机上の空論に終わりがちです。
- あなたのポジションが「1人目」か「2人目以降」か。1人目は裁量が大きい代わりに、教えてくれる人がいません。
エージェント活用の考え方は転職エージェント選び方ガイドにまとめました。この領域は製造業とスタートアップの両方に土地勘のあるエージェントを選んでください。
年代別のキャリア戦略
20代:現場に一番近いところから入る
20代の強みは、現場に飛び込めることです。リユースのオペレーション、回収現場、選別工場。ここで1〜2年、モノの流れを身体で覚えた人は、30代で企画側に回ったときに圧倒的に強くなります。この業界は「現場を知らない企画」が一番嫌われる。年収は最初400万円台でも、後から必ず取り返せます。
30代:動脈と静脈を「つなげる人」になる
30代は、製造業で培った動脈側のスキルを、静脈側につなぐポジションが最も価値を出せる年代です。再生材調達、環境配慮設計、リバースロジスティクス。年収800万〜1,200万円のレンジに入るかどうかは、「両側がわかるか」で決まります。片側だけだと、どうしても頭打ちになります。
40代:制度対応の責任者ポジションを狙う
40代は大手メーカーの循環経済推進室長、サステナビリティ部門の責任者、スタートアップの事業責任者といったポジションが視野に入ります。2026年の改正法対応で、多くの企業がこのポジションを新設しました。製造業で20年やってきた方の「社内を動かせる力」が、ここでは決定的な武器になります。
50代:現場と行政の両方を知る人材として
50代の方が持つ、行政との折衝経験、業界団体とのつながり、現場の実務知識は、若手には絶対に真似できません。特に許認可がからむ静脈産業では、この経験が事業の成否を分けます。顧問やアドバイザーではなく、常勤の実務責任者としての需要が確実にあります。年代別の詳しい戦略は年齢別転職ガイドもご覧ください。
サーキュラーエコノミー転職でよくある失敗パターン7つ
- 理念に共感して入り、単価の安さと現場の泥臭さに耐えられなくなる。この業界で最も多い離職理由です。選考中に必ず現場を見てください。
- 「実証事業」の会社に入り、5年経っても商用化しない。プレスリリースの華やかさと事業の実態は別です。売上構成を必ず聞いてください。
- 補助金依存の会社に入り、制度変更で事業が止まる。補助金比率は面接で聞いていい質問です。答えを渋る会社は避けたほうがいい。
- 環境知識だけを準備して、事業性の質問に答えられない。面接官が見ているのは「この人はビジネスを作れるか」です。
- 静脈側の実務を軽く見て、既存事業者との関係構築で挫折する。産廃・リサイクル業界には長い歴史と商習慣があります。スタートアップ的なやり方だけでは通りません。
- 制度を読まずに入り、自社の事業が改正法の対象外だったと後から知る。「循環経済の会社」と名乗っていても、制度の追い風を受けない領域はあります。
- 大手メーカーの環境部門に転職し、実質的にレポート作成だけの仕事だった。2026年以降は実装フェーズですが、まだ「開示だけ」の組織も残っています。職務内容を具体的に確認してください。
転職の失敗と後悔をどう避けるかはベンチャー転職 失敗・後悔ガイドに体系的にまとめました。コンサルティングファームからこの領域への転職は非常に相性が良いので、コンサルからの転職ガイドもあわせてどうぞ。経営幹部としての参画を考えている方はCXO転職ガイドをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 環境やサステナビリティの専門知識がなくても転職できますか?
できます。むしろ2026年に最も求められているのは、製造業の実務経験者です。調達、設計、生産技術、物流。これらの経験がある方は、環境知識を後から足せば十分に戦えます。逆に「環境の勉強はしてきたが、事業経験がない」方のほうが苦戦します。
Q2. リサイクル・産廃業界は労働環境が厳しいイメージがありますが実際どうですか?
現場職と本社職では大きく違います。再資源化事業等高度化法の施行以降、業界全体で高度化・DX化が進んでおり、ホワイトカラー職の求人は明確に増えています。ただし、現場を一度も見ずに本社で企画だけやる、というのはこの業界では通用しません。定期的に現場に行く覚悟は必要です。
Q3. サーキュラーエコノミーとクライメートテック、どちらが将来性がありますか?
どちらも伸びますが、ご自身のバックグラウンドで選ぶべきです。金融・会計・エネルギーの経験があるならクライメートテック、製造・素材・物流の経験があるならサーキュラーエコノミー。市場規模は循環経済のほうが大きい(50兆円規模)ですが、成長率は脱炭素領域のほうが高い局面もあります。
Q4. スタートアップと大手メーカー、どちらがいいですか?
2026年に限って言えば、大手メーカーの循環経済推進部門は狙い目です。改正法対応でポジションが新設され、しかも経験者がいないので中途採用に頼らざるを得ない。年収も安定しています。スタートアップは事業の面白さがある一方、収益化の時間軸が長い点は覚悟が必要です。
Q5. 未経験で入る場合、年収は下がりますか?
職種によります。調達・購買、生産技術、物流設計といった「そのまま活きる」職種なら、下がらないケースが多いです。一方、まったくの異業種から企画職に入る場合は、一時的に下がることがあります。ただし2〜3年で取り返せる領域です。
Q6. 資格は取ったほうがいいですか?
実務では廃棄物処理施設技術管理者、環境計量士、公害防止管理者あたりが評価されます。ただし、資格より「実際に何を回したか」の実績のほうが圧倒的に強い。資格取得に1年使うくらいなら、今の会社で再生材の案件を1つ取りにいくほうが市場価値は上がります。
Q7. この業界の求人はどこで探せばいいですか?
大手転職サイトにも「サーキュラーエコノミー」で求人は出ていますが、責任者クラスのポジションはほぼ非公開です。特に大手メーカーの新設ポジションや、スタートアップの事業責任者は表に出てきません。業界に土地勘のあるエージェントに、希望を具体的に伝えて待つのが現実的です。
まとめ:2026年、資源循環は「理念」から「実務」になった
ここまで、サーキュラーエコノミー業界の市場規模、7つのセグメント、2026年の制度変更、職種別年収、未経験からの入り方、失敗パターンまで解説してきました。
冒頭で申し上げたとおり、私はこの領域について数年前まで懐疑的でした。その見方が変わったのは、2026年4月1日の改正資源有効利用促進法の全面施行で、資源循環が企業にとって「義務」になったからです。義務になれば、実務が発生する。実務が発生すれば、人が必要になる。そして今、その実務ができる人が、日本にほとんどいません。
約25年、人の転職を見てきた実感として申し上げると、こういう「制度で需要が生まれ、供給が追いついていない」瞬間ほど、キャリアを大きく動かせるタイミングはありません。特に製造業でモノの流れを見てきた方。あなたが当たり前だと思っている調達や設計や物流の知識は、この領域では希少資源です。
同時に、率直に申し上げておきます。この業界は儲かるまでに時間がかかり、現場は泥臭い。理念だけで来ると必ず折れます。それを知った上でも行きたいと思える方にこそ、この領域は向いています。
キープレイヤーズでは、ベンチャー・スタートアップへの転職支援を行っています。サーキュラーエコノミー領域は非公開の求人が特に多く、大手メーカーの循環経済推進責任者やスタートアップの事業責任者ポジションは、ほぼ表に出てきません。「自分の製造業経験がこの領域で通用するのか」「現場経験がないが企画職に入れるのか」といったご相談だけでも構いませんので、お気軽にご連絡ください。資源循環の人材を採用したい企業の方からのご相談もお待ちしています。

