年収900万の手取りと税金│生活レベルや目指せる職業

執筆者:高野秀敏
株式会社キープレイヤーズ/代表取締役
東北大→インテリジェンス出身。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、7社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。165社上場支援実績あり。バングラデシュで不動産会社、商業銀行の設立からの株主、渋谷のバーのオーナーなど。

2020年の民間給与実態統計調査によると、給与所得者の一人当たりの平均給与は461万円でした。賃金の水準は年齢や職種、地域によっても変わってきますが、年収900万円はまぎれもなく高収入に分類されるでしょう。これから就職や転職を目指す人ならば、憧れの収入帯といっても良いかもしれません。

この記事では、年収900万円を稼ぎ出すビジネスパーソンがどんな暮らしをしているのか、生活の実態を解説するとともに、年収900万円を目指す人に向けて役立つ情報を解説します。

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年収900万円の手取りと税金

年収900万というと、給与所得者の平均給与の約2倍ですから、高年収であることは事実です。

ただし、引かれる税金額も高額になります。ここでは、年収900万円の手取り額・保険料・税金に関して詳しく解説します。

年収900万円の手取り額

手取り額とは、会社から支払われた給与のうち、実際に受け取れる金額のことをいいます。いくら給与額面が900万円でも、そこから社会保険料や所得税、住民税が差し引かれるため、手取り額は目減りします。手取り額は扶養家族の人数によっても変わってくるので一概にはいえませんが、額面900万円の場合、手取り年収はおよそ600万円半ばくらいになるはずです。

この金額を12ヶ月で割ると、月の手取りは50万円ほど。ボーナスが100万円と想定すると、月々の生活費は40万円ほどでやりくりする必要があるでしょう。このように、年収900万円とはいっても月の手取り額を考えると意外と庶民的ということがわかります。

年収900万円の社会保険料と税額

給与額面から差し引かれる項目について、詳しくみてみましょう。まずは社会保険料です。一般に社会保険と総称されるのは、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険です。企業で一定時間以上働く労働者は、労災保険以外の保険料を支払う必要があります。

年収900万円を12で割り、月の額面給与を75万円とした場合、以下のような社会保険料がかかると想定されます。

  • 健康保険料
    38等級で、40歳未満で介護保険の支払いがない場合は36,900円、40歳以上65歳未満では43,650円です。
  • 厚生年金保険料
    一番上の32等級で、59,475円になります。
  • 雇用保険
    雇用保険料率は業種にもよりますが、一般の事業における従業員負担率は0.3%です。そのため2,250円ほどになります。

社会保険料の従業員負担分を合計すると毎月98,625円(40歳以上65歳未満の場合は105,375円)、年間では1,183,500円(同上1,264,500円)がかかることになります。年収の14%もの社会保険料がかかるということです。

次に税金です。給与には、所得税と住民税がかかります。

  • 所得税
    所得税は課税所得に応じて国から徴収される税金です。課税所得とは基礎控除、配偶者控除、扶養控除など15種類の所得控除を引いた後の金額です。そのため、同じ給与であっても、人によって所得税の金額は変わります。
    仮に、独身者で所得控除が基礎控除(48万円)しかない場合を想定すると、年収900万円の所得税は649,700円。復興特別所得税(13,600円)を合わせると663,300円になります。
  • 住民税
    住民税は課税所得の10%と考えて良いでしょう。地域によって、均等割という課税対象の住民が一律に納める住民税がありますが、ここでは考慮しないことにします。上記の独身者の場合では住民税は55万円以上かかるとみておきましょう。

以上をまとめると、年収900万円の手取りは660万円ほどになると計算できます。

年収900万円を稼ぐ人

現代日本で年収900万円が稼げれば、その人は成功者といって良いでしょう。誰にでも到達できるポジションではないことは確かです。ここでは年収900万の人がどのような人物か、データから推測します。

年収900万以上稼ぐ人の割合

2021年に行われた国税庁による調査統計では、1年を通じて勤務した給与所得者の一人当たりの平均給与は461万円でした。これを男女別にみると、男性567万円、女性280万円であることから、女性よりも男性の方が高収入を得やすい現状があると考えられます。

年齢階層別の平均給与では、男性では60 歳未満までは年齢が高くなるにしたがって平均給与も高くなり、707万円まで上昇します。このデータを見ても、年収900万円の人がかなり貴重なことがわかります。

国税庁「民間給与実態統計調査(2019年分)」によると、給与が900万円以上の人は全体の6.7%であり、年収900万円に当たる人は1.9%しかいません。

年収900万円を稼ぐ女性

年収900万円の人は、男性では3.0%ほどですが、女性では0.5%しかいません。男女別平均給与のデータを見ても、全年齢で男性より女性の方が収入は少ない傾向にあります。就職と同時にどんどん年収が上がって行く男性に比べ、女性は出産や育児などによって仕事量や責任の度合いをセーブしなければならない人も多く存在します。年収900万円を目指すには大きなハードルがあるといえるでしょう。しかし、一度高度な専門職を身に付ければ、出産や育児のブランクを超えて最前線で活躍できるケースは少なくありません。

また、最近では女性ならではの視点を活かした女性起業家の活躍も注目されています。自営業であれば、経営状況によって年収アップはいくらでも追求できるでしょう。このように、男女平等の社会とはいえ、女性が高収入を得て行くためには、専門性や工夫が必要といえるかもしれません。

年収900万円の生活レベル

年収900万円の手取り額は約660万円、月給では50万円程度とわかりました。では、年収900万円の人は実際にはどのような生活を送っているのでしょうか?

ここでは、年収900万円の人の生活実態を解説します。

年収900万円の家賃

家計の多くを占めるのが住居費です。一昔前は「家賃にかける費用は手取りの1/3まで」という目安がありました。それに基づいて考えると、手取り660万円では18万円ほどの家賃を支払うことができます。家族構成にもよりますが、都内でも十分な広さの家を借りることができるでしょう。

ただし、「家賃=手取り1/3」が通用したのは、将来的な給与アップが期待できた時代の話です。現代では収入増が見込めないことに加え、ネットやスマホの料金など月々の固定費が増えている現状もあるため、家賃は手取りの20%程度に抑えている家庭が多いようです。その場合は10万円前後になるため、住みたい地域によっては少し妥協が必要になるかもしれません。

年収900万の子育て

「2019年度国民生活基礎調査の概況」によると、児童のいる世帯の平均所得金額は745.9万円でした。この数値は高額所得の世帯を含んだ平均値であるため、実際は400万円〜700万円が全体の約6割を占めます。また、ここでいう所得金額には児童手当などの稼働所得以外の所得も含まれるため、給与としてもらっている金額の平均はもっと低いことが想定されるでしょう。

ここで挙げられているのは世帯年収ですが、子供が小さいほど配偶者が専業主婦(主夫)である家庭も多く、一馬力で500万程度稼ぎ出せる世帯が子育て世帯のボリュームゾーンになるようです。

上述の通り、年収900万円の手取りは660万円ほどでしたが、妻子など扶養家族が増えれば扶養控除が適用されるため、手取りが増えます。そのため、上記の児童のいる世帯の平均所得金額である745.9万に近い金額になると考えられます。年収900万円もあれば、子供を育てるのに十分な費用を充てられるということでしょう。

ただし、私立受験のための塾代や、高額な学費を支払うためには、他の家計支出を減らすなど工夫が必要かもしれません。

高収入でも児童手当はもらえる

年収900万円のような高収入の家庭では、児童手当が受けられないと思っている人もいるのではないでしょうか?しかしそれは間違いで、年収900万円の世帯でも児童手当を受けられます。

児童手当の支給金額は以下の通りです。

児童の年齢 子ども1人あたりの児童手当額
3歳未満 一律15,000円
3歳以上〜小学校卒業まで 10,000円

※第三子以降は15,000円

中学生 一律10,000円

出典:児童手当制度のご案内|内閣府

義務教育である中学校を卒業するまでは、児童手当の制度を受けられます。

また、児童手当を受けるにあたっての所得限度額は以下の通りです。

扶養親族の数 所得制限限度額 収入額の目安(総支給)
0人

(前年末に児童が生まれていない場合 等)

622万円 833.3万円円
1人

(子ども1人の場合 等)

660万円 875.6万円
2人

(子ども1人と年収103万円以下の配偶者の場合 等)

698万円 917.8万円
3人 736万円 960万円
4人 774万円 1002万円
5人 812万円 1040万円

出典:児童手当制度のご案内|内閣府

年収900万円の人は、子ども1人以上いると、児童手当の支給要件に該当する可能性が高くなります。また、上限額を超えた場合でも、子ども1人あたりにつき一律で5,000円は支給されます。

児童手当は自ら申請しないと支給されないため、忘れずに住まいのある自治体に申請するようにしましょう。

年収900万円で組める住宅ローン

年収900万円もあれば、住宅購入を検討する人は多いでしょう。年収900万円の人が住宅ローンを組む場合、いくらまでの不動産を購入することができるのでしょうか?

多くの人が住宅ローンを組む際に利用する「フラット35」は2022年6月現在、融資率9割以下で年率1.490%、9割超で年率1.750%です。金利は、融資を受ける人の信用状況などによって変動しますが、年収900万円を稼ぎ出す人ならば信用力も問題ないと思われるため、上記は最低金利を記載しています。もし、上記の金利で頭金ゼロの35年ローンを組んだ場合は、借入可能金額は5650万円ほど、毎月の返済額は18万円くらいになります。

最近では各金融機関によってさまざまなローン商品が出ており、20年ローンや15年ローンなどを選択すれば金利を低く抑えることができ、総支払額を減らすことができます。また、将来的に低金利が続いていくと見込む人は変動金利ローンを選ぶのも手です。メガバンクが2022年06月時点で公表している変動金利プランは年率0.475%ですから、その場合借入可能額は6960万円までアップします。年収900万円の人ならば企業のネームバリューなどから優遇金利が適用される場合もあるので、さらに金利は抑えられるかもしれません。

ただし、いくら融資が受けられても、毎月の返済額が18万円となると年収900万円の家計にとってはかなり高額です。無理のない返済金額(家計の20%程度)に抑えるためには、4700〜5000万円程度の借入にするのが良さそうです。
全収入帯にいえることですが、頭金をある程度貯めてから住宅購入に踏み切った方が、物件の選択肢や、その後の支払い負担には良い影響を与えるでしょう。

年収900万円の貯金額

年収900万円の人の月給はおよそ50万円です。頻繁に大きな買い物をしたり日常的に無駄遣いをしたりしない限り、問題なく貯金はできます。支出のシミュレーションで具体的な貯金額を確認してみてください。

一人暮らしの場合

支出と貯金のシミュレーション|一人暮らし
家賃 10万円
水道光熱費 1万円
食費 5万円
通信費 1万円
交際費・娯楽費 8万円
保険・医療費 1万円
雑費 3万円
交通費 1万円
出費の合計 30万円
貯金額 20万円

一人暮らしの場合は、手取り全額が自由に使えるため、支出をコントロールすることで、毎月20万円以上貯金ができる計算です

ランクの高い物件を借りたり、車を所有したりすると、出費は増えますが、それでも毎月10万円以上の貯金が見込めるでしょう。

夫婦二人暮らしの場合

支出と貯金のシミュレーション|夫婦二人暮らし
家賃 13万円
水道光熱費 1.5万円
食費 7万円
通信費 2万円
交際費・娯楽費 7万円
保険・医療費 2万円
雑費 5万円
交通費 2万円
出費の合計 39.5万円
貯金額 11.5万円

夫婦二人になると、住宅の広さが2LDKなど大きくなり家賃も高くなります。それでも、10万円以上の貯金が見込めます。将来のことや子どもが生まれた時のことを考えて、通信費や保険などを節約して、さらに貯金に回すことも可能でしょう。

子ども1人の3人家族の場合

支出と貯金のシミュレーション|夫婦二人暮らし
家賃 14万円
水道光熱費 2万円
食費 8万円
通信費 2万円
交際費・娯楽費 6万円
保険・医療費 2.5万円
雑費 6万円
交通費 2万円
出費の合計 42.5万円
貯金額 7.5万円

子どもが生まれると、養育費や教育費などにお金を使うようになります。また住居が手狭になる場合には、引っ越しも必要です。シミュレーションでは若干余裕を持って計算しているので、節約や節税をすることでさらに貯金額を増やすのは可能です。

年収900万円は裕福なのか

ここまでの解説で、年収900万円の暮らしの実態がわかってきました。年収900万円は、間違いなく高収入であり、住まいや日々の生活にも苦労することはほとんどないといって良いでしょう。一人でここまで稼ぎ出すことができれば、配偶者は育児や家事に専念できるため生活のクオリティも上げやすいはずです。

ただし、子供の人数や住まいにもよりますが、とんでもない贅沢ができるというほどでもないことがわかります。家賃などの固定費を減らし、外食の回数を制限するなど、一般的な家庭と同じような節約が必要になるでしょう。

年収900万円を稼ぎ出せる職業

マイナビ転職に掲載された求人の「モデル年収例」を職種別に集計した「2021年度職種別年収平均ランキング」によると、年収900万円台にランクインしているのは、不動産営業や用地仕入、情報アーキテクト・UI/UXデザイナー、コンサルタントなどの職種です。

他にも、成績によって給与に差が出る営業職(商社・銀行・保険・製薬など)や、スキル次第で会社に必要不可欠な人材となるエンジニア、その資格自体が大きな価値を持つ税理士や医師など、年収900万円ともなると、専門性を極めた職種や、重要なポジションである場合が多いようです。

コンサルタント

年収900万円を目指せる職業の一つは、コンサルタントです。

コンサルタントとは、特定の分野において顧客が抱える課題を把握し、解決策を提案する仕事です。「経営コンサルタント」、「ITコンサルタント」、「建設コンサルタント」など、さまざまな種類があります。

コンサルタントは、特定の分野に関する高い専門性と豊富な知識が求められるため、年収が高い傾向にあります。特に大企業や外資系企業では、年収900万円を狙える可能性が高いでしょう。

営業職

「営業職」も年収900万円を目指すことができる職業の一つです。

営業職は平均年収こそ高くはありませんが、成績によりインセンティブがもらえる企業もあるため、年収アップを狙いやすい職業です。また、専門知識がなくても、コミュニケーション能力やポテンシャルがあれば採用してもらえる可能性が高いため、未経験でも挑戦しやすいでしょう。

資格や専門知識がない状態から年収900万円を目指したい人におすすめです。

エンジニア

「エンジニア」も年収900万円を目指すことができます。

エンジニアは専門的な知識や技術が必要であり、IT業界の拡大にともなって需要が高まっています。しかし人材が足りておらず、慢性的な人手不足が発生しているため、年収が上がりやすくなっています。実力主義の業界であることも年収が高い理由の一つです。

専門知識や技術が必要な一方、人手不足により未経験でも採用してもらえる可能性が十分にあるので、入社後に新たなスキルを身につけて年収900万円を目指したい人は挑戦してみると良いでしょう。

平均年収900万以上の企業

社長が年収900万円以上の企業は珍しくありませんが、従業員の給与平均が900万円の企業は貴重です。ここでは、給与平均が年収900万円以上の企業を紹介します。

もちろん、ここで紹介する企業以外にも高収入が目指せる企業や事業は存在しますが、高い従業員還元を実現する収益のポイントなど学べる項目は多そうです。

富士フィルムホールディングス

富士フイルムホールディングスは、富士フイルム、富士フイルムビジネスイノベーションの2つの事業会社を傘下に持つ持株会社です。ヘルスケア領域からビジネスソリューションまで、高度かつ革新的な技術力をさまざまな領域の最先端で発揮しています。2022年3月時点の連結子会社数は280社、連結正社員数は75,474名にものぼる、超大企業といって良いでしょう。

富士フィルムホールディングスの平均年収はここ数年900万〜1000万円の間で推移しています。ただし、初任給をみると、学部卒と修士了、博士了かどうかによって差はありますが、いずれも20万円台です。その後順調に昇給していけば20代後半〜40代で900万円に達することができるようです。

裁量労働制や成績に応じたボーナス支給など、能力や努力が給与に結びつきやすい体制であることから、優秀な人材が活躍できる環境が整備されているといえそうです。

また、富士フィルムホールディングスの大きな特徴に、従業員の勤続年数の長さがあります。平均勤続年数は18年ほどで推移しており、企業全体の平均(12年)を大きく上回ります。従業員に高い給与を与えられるのも、適切な労働環境で、高い生産性を発揮できるからかもしれません。

明治ホールディングス

明治ホールディングスは、食品メーカーの明治、製薬会社のMeiji Seikaファルマを傘下に持つ持株会社です。明治といえばお菓子や乳製品を思い浮かべる人は多いですが、明治製菓や明治乳業は同門の別会社であり、商品の共同開発などはしているものの、資本的なつながりは強くありません。

有価証券報告書によると、2021年度の明治ホールディングスの平均年収は998万円でした。食料品を扱う上場企業の中でも給与水準は高順位にあります。

明治ホールディングスの2022年3月時点での連結正社員数は17,336人にも及びますが、単独では60人前後と、食品会社にしては小さな組織であることが大きな特徴です。平均年齢は44.1歳と比較的高めであり、平均勤続年数も20.1年なので、安定して働ける会社といえそうです。

東京きらぼしフィナンシャルグループ

きらぼし銀行とUI銀行を傘下に置く、金融持株会社です。2018年までは東京TYフィナンシャルグループという社名でした。銀行業が8割を占めますが、グループ全体ではリース業やシステム開発など東京を基盤に多様な事業展開をしています。2022年にはデジタルバンクサービスを開始するなど、金融業の安定感と先端技術を取り入れる先進性を持った企業といえるでしょう。

東京きらぼしフィナンシャルグループの2020年の平均年収は822万円でした。ここ数年は900万円台で推移していましたが、下落傾向にあるようです。ただし、30代後半からは年収900万円に手が届く従業員も多く、最高年収は50代の931万にも達します。銀行業の経営は、国内外の景気動向に左右されがちなので、状況によって賃金アップも期待できるでしょう。

奥村組

奥村組は、大阪に本社を置くゼネコンです。阪神・淡路大震災で崩落したJR神戸線六甲道駅一帯を不眠不休で復旧作業に臨み、2ヶ月で元に戻した実績などから地元住民からも愛される企業です。

奥村組の平均年収は、2020年3月期の有価証券報告書によると、952.5万円です。平均年収はここ数年で100万円以上も上がっており、ゼネコン業界の好調な波に乗っている会社といえるでしょう。競合他社の淺沼組、熊谷組、錢高組、飛島建設などと比べても高い給与水準を維持しています。

給与は事務系と技術系で差がつけられており、土木職や施工管理などの建築職の方が若干高めとなっています。建築会社ならではの課題である長時間労働や女性の活躍機会の少なさなどの解決に向けても積極的に取り組んでおり、今後の発展が期待される会社です。

平和不動産

平和不動産は、東京証券取引所ビルや大阪証券取引所ビルなど、証券取引所設備の賃貸を軸に事業を運営しています。現在は、不動産開発、宅地分譲やマンション分譲、ショッピングセンターなどのデベロッパー事業も展開しており、総合型J-REIT平和不動産リート投資法人の運営会社としても有名です。

2021年度有価証券報告書によると、平和不動産の平均年収は1012万円であり、不動産業界内でも高い水準に位置しています。保有物件の安定性や、手広い事業展開が高い給与水準に反映されていると言って良いでしょう。

年収900万円を目指す方法

ここまで、年収900万円の生活レベルや目指せる職業、企業などを解説してきました。では、実際に年収900万円を目指すにはどのような方法があるのかを紹介します。

昇進する

現在の環境のまま年収900万円を目指すためにまず考えられる方法は、昇進することです。

役職がつけば、大幅な年収アップを狙えるケースもあるでしょう。また資格により手当がもらえる場合は、資格取得に挑戦することも一つの手段です。しかし、いくら昇進しても企業での年収には限界があるため、厳しい場合は転職を視野に入れた方が良いでしょう。

副業する

現在働いている企業を辞めずに年収900万円を目指す選択肢として、副業するという方法もあります。得意分野や専門知識、資格を活かして仕事を受注する、投資を行うなどの副業で年収を増やすことができます。

軌道に乗れば副業で大きな金額を稼ぐことも可能ですが、本業での年収が少ない場合、まずは転職を検討してみてもいいかもしれません。またそもそも本業が忙しく副業する時間が取れない場合も、まず転職した後、副業に挑戦してさらなる年収アップを狙うのも良いでしょう。

転職で年収900万円を目指す方法

企業に入社して数年働くと、なんとなくこの会社で働く10年20年後の未来が見えてきてしまうものです。特に年収に関しては企業内である程度慣例化されている場合も多く、いくら頑張っても給与水準が定められている場合も少なくありません。そのような場合は転職を考えるのも一つの手段でしょう。ここでは、収入アップを狙うための転職のポイントについて解説します。

規模の大きな企業を狙う

高年収が実現する企業の多くは大企業です。やはり収益の安定性や従業員への還元意識といった点でも、企業の規模は無関係ではありません。巨大な組織を運営するために、さまざまな働きやすさへの施策や福利厚生制度を用意している企業も少なくないので、安心して働き続けられるのも年収アップの遠因になるはずです。

多くの大企業では、よほどスキルが高い即戦力人材でない限りは、最初の給与は低めに設定されています。しかし、その後勤続年数に応じて年収アップが目指せることが多いので、募集条件の給与が低めでも、5年後10年後の給与水準を見据えて挑戦すると良いでしょう。

資格の取得を検討する

世の中には、確実に収入アップにつながる資格があります。もちろん難易度はさまざまですが、ハイレベルなスキルであればあるほど、年収にも良い影響を与えるでしょう。

とはいっても、難易度の高い資格はイチからチャレンジするのが難しい場合も多いです。そのため、資格取得支援制度を設けている会社への就職を検討してみるのも良い手段です。多くの場合、入社から資格取得までの期間の給与は一般かそれ以下のレベルですが、資格取得後には活躍の幅が広がり、収入アップも期待できます。

最近ではITエンジニアや機械エンジニア、電気設備関連や通信設備関連職など、専門職の育成に力を入れている企業は少なくありません。手に職を付けるという意味でも、人生全体にポジティブな影響を及ぼすはずです。

年収が上がりやすい業界・業種を選ぶ

転職で年収アップを目指すためには、業界構造やビジネスモデルなどに目を向けることも大切です。例えば、一般的に薄利多売ビジネスの場合、従業員数が多い割に一人一人のあげる収益はそれほど大きくないケースがあります。こういった課題をうまく解決している企業もありますが、最初から「儲けが大きそうな商売」をしている企業を目指すと収入アップにつながりやすいかもしれません。

例えば、IT業界でも下請けの下請けでは受注金額はそれほど大きくないかもしれません。一方で、ITベンダーなど開発プロセスの上流に位置する企業であれば、高度な業務に合わせて高収入が実現する可能性もあります。また、医療機器など、技術性や専門性に特化しているために値下げや値崩れが起きにくい商材を扱う会社も狙い目でしょう。

他にも、ベンチャー企業などでは、若いうちから責任ある立場を任せてもらえる場合があります。組織の第一人者として力を発揮できれば、企業に所属している頃とは別次元の収入アップが実現するかもしれません。

将来的な独立を視野に入れた転職を目指す

企業に所属する以上、給与は企業が決めるものであり、自分の出した売上が全て給与に反映される訳ではありません。しかし、自分で事業を経営できれば、極端にいえば全ての利益を自分のものにしても誰も文句はいいません。収入アップを目指すためには、経営者として一国一城の主となってみるのも良いでしょう。

とはいっても、自分の力だけで事業をイチからつくり上げるのは簡単なことではありません。そのような場合は、将来的な独立を支援してくれる企業への就職を検討してみるのも一つの手段です。例えば、フランチャイズオーナーや事業部の分社化など、将来的に一つの事業や組織を任せることを前提とした人材募集は少なくありません。資本や技術的なバックアップも制度として整っているため、十分な学びの期間を経てから経営者として挑戦することが可能です。

低学歴・資格なしでも高収入の仕事

年収900万を稼ぎ出すビジネスパーソンは、多くの場合専門的なスキルや資格を持っています。また、真面目に勤続してきた実績や、学歴などの信頼性が評価されている場合も多いでしょう。しかし、年収900万円の人がほんのわずかであることからもわかるように、これらの条件を満たしている人は多くありません。

学歴があまり高くなかったり、特別な資格を持っていない人は、どのように収入アップを目指せば良いのでしょうか。
このような場合、「実力主義」の組織でトップクラスを狙うのが最も近道になります。

例えば、一部の営業職では、受注件数や売上などが歩合として基本給に上乗せされる制度を導入しています。成績を上げれば上げるほど給与が増えるため、自分の適性に合う仕事であれば、みるみるうちに頭角を表す人もいるはずです。努力や根性で仕事をやり抜きたい人にとっては、年功序列の組織よりも居心地が良いと感じるかもしれません。

年収900万円が目指せる転職エージェントを紹介

転職で収入が上がるケースは多い一方で、業界知識や企業研究が足りないと転職によって収入を下げてしまうことにもなりかねません。確実な年収アップを目指すためには、転職の専門家である転職エージェントやキャリアアドバイザーに相談すると良いでしょう。ここでは、ハイクラス・ハイパフォーマンス向け人材紹介エージェントサービスを紹介します。

JACリクルートメント

出典:JACリクルートメント

JACリクルートメントはロンドン発祥の日系転職エージェントです。世界11カ国に広がる独自のグローバルネットワークを背景に、外資系企業や海外進出企業への転職支援で豊富な実績があります。

日本における転職支援の歴史も深く、多くの優良企業との太いパイプラインを持っているため、質の高い求人を取り揃えていることが特徴です。特に30代〜40代、さらには50代までのいわゆるミドル層からアッパー層へ紹介できる求人は多く、ハイクラス人材の要望に応えられる点が強みです。

オクタヴィア・エグゼクティブサーチ

出典:オクタヴィア・エグゼクティブサーチ

オクタヴィア・エグゼクティブサーチは、経営幹部やミドルマネジメント以上のリーダー採用に強みを持つ、年収1,500~3,000万円レベルの超ハイクラス向け人材紹介会社です。

オクタヴィア・エグゼクティブサーチの得意領域はサーチ型ヘッドハンティングであり、企業からの依頼に応じ、ヘッドハンターが最適な人材を探し出します。そのため、転職意思がない在職中の人にも声をかけることがあります。一方で、企業とのつながりが強いため、職場環境や条件面できめ細やかな情報提供ができるのも強みです。求人はグローバル展開をしている企業や外資企業が中心です。

ビズリーチ

転職スカウトサイトの王道|ビズリーチ
ビズリーチの公式サイトキャプチャ
  • 待っているだけでスカウトが来るの転職サイト
  • 前職の経験が活かせる企業から思わぬスカウトも
  • 高年収での転職成功事例あり
  • TVなど各種CMも放映中の人気サービス
評価 企業群 種類
★★★★★ 大手〜ベンチャー スカウト

\転職スカウトサイトの王道/

ビズリーチ公式

年収1,000万円以上の求人を多数保有する登録型ヘッドハンディング人材紹介会社です。自身のプロフィールを登録しておくことで、ヘッドハンターから声がかかるほか、ユーザー自ら求人に応募することも可能です。有料会員になると面接が確約されたプラチナスカウトが受けれられるといった特典がありますが、無料でも十分にサービスを活用することができます。サービス自体の知名度や、利用者数、求人数でもトップクラスといえるでしょう。

リクルートダイレクトスカウト

リクルートダイレクトスカウト
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ランスタッド

出典:ランスタッド

ランスタッドは、1960年にオランダで設立されました。日本に上陸したのは2011年。フジスタッフという派遣会社を事実上買収する形で生まれたのがランスタッドです。

ランスタッドもフジスタッフももともとは人材派遣の会社でしたが、互いの人脈や実績、信頼性を活かし、人材紹介や採用代行業務など幅広く人事関連事業を展開する人材総合会社に成長しています。ランスタッドの特徴は、なんといっても外資系企業に強いことでしょう。世界2位の派遣会社のネットワークを活かし、業界横断的な転職支援を可能にしています。メインユーザーは若い人からハイキャリアまで幅広いですが、どちらかというとハイキャリアに強みがあるようです。優秀なキャリアアドバイザーも多く在籍しているため、外資狙いの求職者にはおすすめです。

年収900万円で損すること

年収900万円は、庶民と富裕層の境界ラインといえます。なぜかというと、さまざまな公的な手当が、年収900〜1,000万を支給上限にしているからです。ここでは、年収900万円の人がもらえない可能性がある助成金や手当など、高収入ゆえに損をしているかもしれない項目について紹介します。

児童手当

年収900万円の人が最も注意しなければならないのが児童手当でしょう。児童手当は、日本に住んでいる児童一人につき、3歳未満は一律15,000円、3歳〜小学校修了前10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生一律10,000円を支給する制度です。

児童手当には所得制限があり、扶養親族の数によって所得制限の上限は上がっていきます。年収900万円の場合、扶養家族が2人いれば特例給付の5000円のみ、3人以上いた場合に初めて児童手当の支給対象になります。子供が一人だけしかいない場合に児童手当を受け取るためには、所得を660万円未満まで抑えなければならないため、後で説明する節税対策などが効果を発揮しそうです。

特別児童扶養手当

特別児童扶養手当は、20歳未満で精神または身体に障害を有する児童を家庭で監護、養育している父母などに支給される手当です。障害の程度によって月52,400円か34,900円が支給されます。特別児童扶養手当にも所得制限が課せられており、年収900万円の人は扶養家族が3人以上いて初めて受給することができます。

公立高校無償化制度

公立高校無償化制度とは、高等学校に通う子どもがいる家庭を対象に高等学校等就学支援金を支給する制度です。高等学校等就学支援金を利用すれば、授業料が実質無償になります。支給額は公立高校は年額11万8,800円まで、私立高校は最大で年額39万6,000円までです。高等学校等就学支援金にも所得制限が設けられていますが、公立高校であれば年収900万円の人でも受給することができます。ただし、私立高校の場合は上限にかかる可能性が高いので、注意が必要です。

年収900万円の人にオススメの節税術

このように、年収900万円は、さまざまな手当や助成金が「ギリギリもらえなかった」という悔しい思いをした人が多い収入帯です。金に糸目を付けず贅沢し放題とはいかない収入帯だからこそ、このような手当や助成金はしっかりと受給していきたいものです。受給資格に所得制限が設けられている場合は、課税所得を下げる工夫をしてみましょう。ここでは、年収900万円の人におすすめの節税術を紹介します。

ふるさと納税

ふるさと納税では、控除上限額内のうち2,000円を越える部分について確定申告をすれば所得控除することができます。控除上限額は、年収や家族構成、地域などによって異なりますが、年収900万円で夫婦と子供(高校生)の世帯の場合は控除上限は128,000円です。

所得控除ができるということは、その年の所得金額を減らせるため、所得税の還付を受けられるほか、所得制限にかかっていたさまざまな助成制度が利用できる可能性につながります。ふるさと納税はれっきとした納税ではありますが、お米などをはじめとして、返礼品の還元率が高いプランもあります。日常で使うものや食料品を手に入れながら、所得金額を抑えることができるのでおすすめです。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度の一つです。加入の申込、掛金の拠出、掛金の運用は全て自身で行い、掛金とその運用益との合計額をもとに60歳以降給付を受け取ることができます。

iDeCoの掛金は全額所得控除されるので、課税所得が減り、当年分の所得税と翌年分の住民税が軽減されます。老後の資金を確保しながら、所得金額を抑えることができるのです。
掛金は確定給付企業年金(DB)に加入していない人であれば月額2.3万円(年額27.6万)、加入している場合は月額2.0万円(年額24万)です。

生命保険料控除・地震保険料控除

生命保険・地震保険料控除は、所得控除の1つです。払い込んだ生命保険料に応じて、一定の金額をその年の所得から差し引くことができるため、所得金額を低くすることで所得税、住民税の負担が軽減されます。

対象となるのは、保険金受取人が、契約者かあるいは配偶者、その他の親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)である保険の保険料で、財形保険、保険期間が5年未満の貯蓄保険、団体信用生命保険などは対象になりません。保険は将来の安心感にもつながるため、所得控除を意識して加入してみるのも良いかもしれません。

まとめ

年収900万円は誰もが憧れる高収入です。しかし、手取り額や融資上限額などを紐解いていくと、思ったよりも贅沢ができない収入帯であることがわかります。

むしろ、富裕層と庶民の中間的なポジションのため、お財布の紐を緩めすぎるとすぐに家計が苦しくなってしまうケースも考えられます。また、年収900万円を稼ぎ出す人の周りはハイレベルなエグゼクティブが多いことが考えられるため、感覚の違いを実感せざるを得ない悲しさもあるでしょう。とはいっても、ハメを外しすぎなければ年収900万円は仕事も生活も満足感が得られる収入帯です。工夫しながら生活を充実させましょう。

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