こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職支援を約25年続けているキープレイヤーズの高野秀敏です。
この記事を読もうとしている方に、最初にお伝えしなければならないことがあります。
「デロイト トーマツ コンサルティング合同会社」という法人は、2025年12月1日をもって存在しません。
同社は、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社と合併し、「合同会社デロイト トーマツ」(英文:Deloitte Tohmatsu LLC)という新しい法人になりました。統合後の人員規模は子会社を含めて約11,000名、代表者はデロイト トーマツ グループCEOの木村研一氏が兼務しています。
転職を考えて会社名で検索している方の多くが、この変更を知らないまま情報を集めています。志望動機を書くときも、面接で話すときも、ここを踏まえているかどうかで印象が変わります。この記事では、統合後の姿を前提に年収と仕事の中身を整理します。
先に立場を明かしておきます。私はコンサルティングファーム出身の方の転職を数多く支援しており、コンサルティングファームの顧問も務めています。そのうえで、特定のファームを推す意図はありません。公表されている資料と、私が実際に見ているオファー水準の両方から書きます。
この記事でわかること
- 2025年12月の3法人統合で何が変わったか(公式発表ベース)
- 職位別・年代別の年収水準
- 新卒の初任給(公表されている金額)
- 統合によって転職者に生まれた機会
- 選考で見られていること
- 入った後のキャリアの出口
2025年12月、3つの法人がひとつになりました
まず事実関係を正確に押さえます。デロイト トーマツ グループが2025年10月10日に公表した内容です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 統合前の3法人 | デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社 |
| 新法人名 | 合同会社デロイト トーマツ(Deloitte Tohmatsu LLC) |
| 発足日 | 2025年12月1日 |
| 代表者 | 木村研一(グループCEOと兼務) |
| 人員規模 | 約11,000名(子会社含む) |
| 目的 | 複数専門分野の統合モデル(MDM)による価値提供 |
これは単なる社名変更ではありません。戦略・業務コンサルティング、M&Aや財務アドバイザリー、リスク管理という3つの異なる専門領域が、ひとつの法人の中に入りました。
デロイト トーマツ グループとしては、国家資格が必要な士業法人(監査法人、税理士法人など)と、それ以外の経営支援サービスを担う「合同会社デロイト トーマツ」に、大きく2つに整理されたことになります。
統合前の3法人は、それぞれ何をしていたのか
統合の意味を理解するには、元の3法人が何を担っていたかを知っておく必要があります。面接で聞かれることもあります。
| 旧法人 | 主な役割 | 関わるフェーズ |
|---|---|---|
| デロイト トーマツ コンサルティング | 経営戦略、業務改革、テクノロジー導入、人事組織 | 構想を描き、変革を実行する |
| デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー | M&Aアドバイザリー、デューデリジェンス、企業価値評価、事業再生 | 買う・売る・立て直すの実行 |
| デロイト トーマツ リスクアドバイザリー | 内部統制、サイバーセキュリティ、規制対応、危機管理 | 守りを固める |
整理すると、「攻めの変革」「取引の実行」「守りの管理」という3つの機能が、別々の法人に分かれていたということです。
企業が直面する課題は、この3つをまたぐことがほとんどです。M&Aで会社を買えば、買った後の統合作業(PMI)が必要になり、同時に内部統制の整備も要る。クライアントから見れば一続きの話なのに、提供する側は3つの法人に分かれていました。
統合の目的として掲げられている「複数専門分野の統合モデル(MDM:Multi-Disciplinary Model)」は、この分断を解消するという意味です。実際にどこまで機能するかはこれから見えてきますが、狙いは明確です。
転職する側から見ると、何が変わったのか
私が採用のご相談を受けている立場から見て、この統合には転職者にとっての意味が3つあります。
| 変化 | 転職者への影響 |
|---|---|
| 案件の幅が広がる | 戦略立案からM&A実行、リスク対応まで一社内で完結する案件が増える。経験の幅を取りやすい |
| 異動の選択肢が増える | 法人をまたいだ転籍ではなく、社内の異動として動ける可能性がある |
| 組織が大きくなる | 約11,000名。良くも悪くも、大企業の意思決定の仕方に近づく |
1つめは、この規模の統合でしか起きないメリットです。これまで「コンサル会社に入ったのに、M&Aの実務には関われない」という悩みはよく聞きました。組織の境目が消えることで、そこが変わる可能性があります。
一方で3つめは、人によってはデメリットです。小回りの利く環境を求めている方には、組織が大きくなることは必ずしも良い話ではありません。ここは面接で率直に聞いておくべきところです。
新卒の初任給は、はっきり公表されています
採用ページで公表されている数字です。推測ではありません。
| 区分 | 初任給(年額) |
|---|---|
| 学部卒 | 5,802,000円 |
| 修士卒 | 6,000,800円 |
| 博士卒 | 6,201,200円 |
学部卒の1年目で580万円です。厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査では、大学卒の初任給(所定内給与額)が月24万8,300円でした。単純に12倍しても約298万円ですから、世の中の平均のほぼ2倍からスタートすることになります。
この水準を提示できるのは、コンサルティングの単価が高いからです。ただし、その分だけ最初から成果を求められます。給与が高い理由と、求められる水準は必ずセットです。
職位ごとの年収
合同会社デロイト トーマツは上場していないため、有価証券報告書による平均年収の開示はありません。以下は、私が転職のご相談で実際に見ているオファー水準です。断定ではなく、私の観測範囲としてお読みください。
| 職位 | 年収の目安 | 求められる役割 |
|---|---|---|
| ビジネスアナリスト | 580〜700万円 | 調査、分析、資料作成 |
| コンサルタント | 700〜950万円 | 論点を持って一部を任される |
| シニアコンサルタント | 900〜1,200万円 | モジュール全体の責任を持つ |
| マネジャー | 1,200〜1,600万円 | プロジェクト運営、クライアント折衝 |
| シニアマネジャー | 1,500〜2,000万円 | 複数案件の統括、提案活動 |
| パートナー・執行役員 | 2,000万円以上 | 案件獲得と経営 |
入社1〜2年でコンサルタントに上がる方も珍しくありません。年功ではなく職位で決まるため、早い人は3年目で900万円台に届きます。逆に、職位が上がらなければ年収も上がりません。
年収が跳ねるのはマネジャーからです。ここで「作業する人」から「案件を回す人」に変わります。コンサル業界全体の年収構造についてはコンサルタントの年収は本当に高いのかで、上場ファームの有価証券報告書の数字を使って解説しました。
年代別に見るとどうなるか
職位で決まる会社なので、年齢と年収は必ずしも比例しません。ただ、実際のご相談で見ている分布はおおよそ次のようになります。
| 年代 | 多い職位 | 年収の中心帯 | この時期の課題 |
|---|---|---|---|
| 20代前半 | ビジネスアナリスト | 580〜700万円 | 基礎的な作業の質とスピード |
| 20代後半 | コンサルタント〜シニア | 700〜1,100万円 | 一人で任される範囲を広げる |
| 30代前半 | シニア〜マネジャー | 1,000〜1,500万円 | マネジャーに上がれるかどうか |
| 30代後半 | マネジャー〜シニアマネジャー | 1,300〜1,900万円 | 案件を取る側に回れるか |
| 40代 | シニアマネジャー〜パートナー | 1,600万円〜 | 自分の看板で仕事が来るか |
30代前半が最初の分岐点です。ここでマネジャーに上がれるかどうかで、その後の年収カーブがはっきり分かれます。上がれなかった場合、事業会社や他ファームに移る方が多くなります。
ただし、これは「上がれなかったから移る」というネガティブな話ばかりではありません。アナリストからシニアコンサルタントまでの経験は、事業会社では非常に高く評価されます。30歳前後で経営企画やDX推進部門に移り、年収を維持したまま裁量を得るケースは実際によくあります。
BIG4の中で、どう位置づけられるか
デロイト、PwC、EY、KPMG。この4つはBIG4と呼ばれ、いずれも監査・税務・コンサルティング・ファイナンシャルアドバイザリーの機能を持っています。
ここで押さえておきたいのは、2025年12月のデロイトの統合が、BIG4の中でもかなり大きな組織再編だということです。コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、リスクアドバイザリーという3つの事業法人をひとつにまとめ、約11,000名の体制にしました。
| 比較の観点 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 組織の統合度 | 領域をまたいだ案件に関わりやすいか。デロイトは統合で一歩進んだ |
| 得意領域 | 各社で強い業界・テーマが違う。志望領域との相性で選ぶ |
| 入社後の異動 | 法人が分かれていると、領域を変えるのに転籍が必要になることがある |
| 年収水準 | BIG4の間では大きな差はない。職位で決まる |
年収でBIG4を比較しても、ほとんど差は出ません。同じ職位ならおおむね同水準です。選ぶべき基準は、自分がやりたい領域の案件が多いかどうかと、組織の作りが自分に合うかどうかです。
戦略系ファームとの比較でいえば、BIG4は「戦略を描くだけでなく、実行まで入る」案件が多いのが特徴です。提案書を出して終わりではなく、システムを入れて業務を変えるところまで関わりたい人には向いています。
仕事の中身
統合によって、扱う領域はさらに広くなりました。代表的なものを挙げます。
| 領域 | 内容 |
|---|---|
| 戦略 | 全社戦略、事業ポートフォリオ、新規事業 |
| 業務・オペレーション | 業務改革、SCM、コスト構造改革 |
| テクノロジー・DX | システム構想、データ活用、AI導入 |
| M&A・財務 | デューデリジェンス、PMI、事業再生 |
| リスク・ガバナンス | 内部統制、サイバー、規制対応 |
| 人事・組織 | 人事制度、組織設計、チェンジマネジメント |
この6領域が同じ法人の中にあるというのは、日本のコンサルティング業界では大きな特徴です。戦略だけ、ITだけを扱うファームと比べて、案件の入り口が広いということでもあります。
選考で本当に見られていること
ケース面接の対策本を読み込んでくる方が多いのですが、私が見ている限り、落ちる理由はそこではありません。
- クライアントの前に出せるか。話し方、聞き方、間の取り方。頭の良さより、この人に任せて大丈夫かで見られています
- なぜコンサルなのかを、自分の言葉で言えるか。「成長したい」だけでは通りません。何を解決したくて来たのかです
- 否定されたときの反応。面接中に反論されることがあります。そこで固まるか、考え直せるかを見られています
- 自分の失敗を語れるか。うまくいった話ばかりする人は警戒されます
特に4つめです。コンサルティングの現場は、うまくいかないことのほうが多い仕事です。失敗を認めて修正できる人かどうかは、必ず見られます。
統合後の今は、「なぜ3法人がひとつになったのか、それをどう活かしたいのか」を自分なりに語れると印象が変わります。公式リリースを読んでいるだけで、他の候補者と差がつきます。
向いている人、続かない人
25年間、この業界に入る方も辞める方も見てきました。デロイトのような総合系ファームに限って言えば、向き不向きははっきりしています。
| 続く人 | 続かない人 |
|---|---|
| 知らない業界を短期間で学ぶのが苦にならない | ひとつの分野を長く深めたい |
| チームで動くことに抵抗がない | 一人で完結させたい |
| 実行フェーズの地道な作業も引き受けられる | 戦略立案だけをやりたい |
| クライアントの都合で予定が変わることを許容できる | 自分のペースを崩したくない |
| 資料を否定されても人格と切り離せる | 指摘を人格否定と受け取る |
3つめが、総合系ファーム特有のポイントです。戦略系のイメージで入ると、実際にはシステム導入の現場に張り付くことになって戸惑う方がいます。BIG4のコンサルティングは、実行まで入るのが強みです。そこを面白いと思えるかどうかが分かれ目になります。
入った後、どこへ行くのか
デロイト トーマツから次のキャリアに進む方を、私はたくさん見てきました。出口はおおむね5つです。
| 進路 | 年収の傾向 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 他のコンサルファーム | 同等〜上がる | 専門性を深めたい |
| 事業会社の経営企画・DX推進 | 同等〜やや下 | ひとつの会社を良くしたい |
| スタートアップの幹部 | 2〜4割下がることも | 実行まで自分でやりたい |
| PEファンド・投資 | 上がることが多い | 財務・M&Aの経験がある |
| 起業・独立 | 読めない | 解きたい課題が明確にある |
キープレイヤーズにご相談いただくのは、3番目と5番目が多いです。「提案するところまでではなく、やり切るところまでを引き受けたい」という動機の方が、スタートアップに移って後悔しにくい印象があります。
ポストコンサルの選択肢はポストコンサルのまとめに、スタートアップ転職の全体像はベンチャー転職 完全ガイドにまとめています。年収の考え方は年収・報酬・ストックオプションのまとめをご覧ください。
転職エージェントをどう選ぶか
この手の記事では「おすすめエージェント3選」が並ぶのが定番ですが、ここでは選び方の考え方を書きます。
| 確認すること | なぜ重要か |
|---|---|
| その領域の決定実績があるか | 厚生労働省の人材サービス総合サイトで、各社の職種別実績を誰でも確認できます |
| 統合後の組織を理解しているか | 古い法人名で話す担当者は、情報が更新されていません |
| 落ちた理由を教えてくれるか | フィードバックを取れる関係があるかどうかで、次の選考が変わります |
| 合わない求人を止めてくれるか | 何でも薦めてくる担当者は、あなたの側に立っていません |
1つめは、今は公開データで確認できます。2025年4月から、職業紹介事業者は職種別の手数料実績を公開することが義務づけられました。就職者数も載っています。詳しくは人材紹介の手数料は本当に何%かに書きました。取引前に一度見ておくことをおすすめします。
中途採用の選考で、準備しておくこと
選考フローは職位によって変わりますが、おおむね次の流れです。
| 段階 | 見られること | 準備 |
|---|---|---|
| 書類選考 | 実績が数字で書かれているか | 担当範囲ではなく、出した成果を書く |
| 1次面接 | 論理性、コミュニケーション | 職務経歴を3分で話せるようにする |
| ケース面接 | 考える過程。正解は求められていない | 前提を置き、声に出して構造化する練習 |
| 最終面接 | 一緒に働きたいか。志望度 | 統合後の会社をどう理解しているかを語る |
ケース面接で最も多い失敗は、黙って考えてしまうことです。面接官が見ているのは答えの正しさではなく、どう考えを進めるかです。詰まったら「いま、こういう切り口で考えています」と口に出してください。それだけで評価が変わります。
志望動機については、「なぜコンサルか」「なぜBIG4か」「なぜデロイトか」の3段階で答えられるようにしてください。3つめが弱い方が本当に多いです。2025年12月の統合をどう捉えているかは、いま最も差がつくポイントです。
そもそも、コンサルでいいのか迷っているなら
デロイトを含むコンサルティングファームか、スタートアップか、それとも自分で始めるか。3つの選択肢を公的データで比較した記事を用意しました。年収だけでなく、リスクと時間軸、そして順番の話まで書いています。
よくある質問
Q. デロイト トーマツ コンサルティングは今もありますか
法人としては存在しません。2025年12月1日に、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー、デロイト トーマツ リスクアドバイザリーと合併し、「合同会社デロイト トーマツ」(Deloitte Tohmatsu LLC)になりました。統合後の人員規模は子会社を含めて約11,000名です。
Q. 平均年収はいくらですか
上場していないため有価証券報告書による開示はなく、公式な平均年収は公表されていません。新卒初任給は採用ページで公表されており、学部卒5,802,000円、修士卒6,000,800円、博士卒6,201,200円です。職位別の実勢は、ビジネスアナリストで580〜700万円、マネジャーで1,200〜1,600万円あたりが私の観測範囲です。
Q. 未経験からでも入れますか
入れます。事業会社出身者の採用は活発です。特にシステム、データ、業界特化の知見を持つ方は評価されます。ただし30代後半以降は、自分の業界知識をそのまま活かせるポジションを狙うほうが現実的です。
Q. 激務ですか
案件によります。以前と比べれば労働時間の管理は厳格になっていますが、提案時期やプロジェクトの山場は忙しくなります。「常に激務」ではなく「波がある」というのが実態に近いです。
Q. 統合によって働き方は変わりますか
統合の目的として、複数の専門分野を組み合わせたサービス提供が挙げられています。案件の幅は広がる方向です。一方で組織規模が大きくなるため、意思決定のスピードがどうなるかは、実際に働いている方に聞くのが確実です。
Q. どのくらい在籍してから次に行くのがいいですか
年数より、マネジャーを経験したかどうかだと思っています。プロジェクトを回して、人を動かして、クライアントと直接向き合った経験があるかで、転職市場での評価が変わります。
まとめ:まず、正しい会社名から
この記事で最もお伝えしたかったのは、あなたが調べようとしている会社は、2025年12月に名前も形も変わったということです。
ネット上の記事の多くは、まだ「デロイト トーマツ コンサルティング合同会社」として書かれています。年収データも、統合前のものです。選考を受ける側が最新の事実を把握しているだけで、それは十分な差になります。
そのうえで、年収の数字だけで判断しないでください。580万円からスタートできることも、マネジャーで1,200万円を超えることも事実です。ただ、そこで何を身につけて、次にどこへ行くのか。コンサルティングファームは、多くの方にとって通過点です。入ることより、出るときに何を持っているかのほうが、長い目で見れば効いてきます。
キープレイヤーズでは、コンサルティングファームからスタートアップ・事業会社への転職相談を数多くお受けしています。また、これから入る方のご相談も歓迎です。お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
スタートアップのキャリアについて継続的に情報交換したい方は、オンラインサロンもご用意しています。
データ出典:デロイト トーマツ グループ「新会社名称『合同会社デロイト トーマツ』を発表~12月1日に発足」(2025年10月10日)、デロイト トーマツ コンサルティング新卒採用ページ、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」。職位別の年収は筆者の観測範囲であり、会社が公表した数値ではありません。


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