給料が上がらない5つの理由【2026年最新】賃上げ5%時代に取り残される人の特徴と年収を上げる7つの打ち手を高野秀敏が解説

執筆者:高野秀敏
株式会社キープレイヤーズ/代表取締役
東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、12,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。80社以上の投資、9社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。178社上場支援実績あり。顧問、アドバイザー、社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。「ベンチャーの作法」ダイヤモンド社5万部を超えるベストセラー

こんにちは、キープレイヤーズ代表の高野秀敏です。インテリジェンス(現パーソルキャリア)を経て独立し、27年、ベンチャー・スタートアップの転職支援と採用支援を延べ数千件手掛けてきました。SNS合計17万人以上のフォロワーの方から、毎週いちばん多くいただく相談のひとつが「働いているのに給料が上がらない」というものです。

結論から言います。2026年は「賃上げが起きている会社」と「起きていない会社」の差がはっきり開いた年です。連合の2026年春闘・最終集計では平均賃上げ率5.01%と3年連続で5%台に乗り、中小組合(300人未満)も4.69%と前年同期を上回りました。にもかかわらず「自分の給料は1円も上がっていない」という方がたくさんいる。つまり今の「上がらない」は、景気の問題ではなくあなたが所属している会社と、あなたの立ち位置の問題である可能性が高いのです。

この記事では、①年収が低いかどうかを判断する基準/②会社側に原因がある4パターン/③自分側に原因がある5つの理由/④どちらが原因かを見分けるチェックリスト/⑤年収を上げる7つの打ち手の比較/⑥昇給交渉の6ステップ/⑦転職で年収が上がる人・上がらない人/⑧「給料が上がらないから転職」で失敗する5パターン/⑨年代別戦略/⑩FAQ 10問——を、忖度なく解説します。年収の全体像は年収・手取りガイド、年代ごとの動き方は年齢別転職ガイドと併読してください。

この記事でわかること

  • 「年収が低い」を職種・業界平均ではなく利益貢献で判断する基準
  • 2026年の賃上げ・平均給与・転職年収アップ率の最新データ
  • 会社側に原因がある4パターン(見切りをつけるべきサイン)
  • 自分側に原因がある5つの理由と、その直し方
  • どちらが原因かを切り分けるチェックリスト12項目
  • 年収を上げる7つの打ち手の効果・期間・リスク比較
  • 昇給交渉の6ステップと、通る人・通らない人の差
  • 「給料が上がらないから転職」で失敗する5パターン
  • 20代・30代・40代・50代の年代別戦略
  • FAQ 10問(副業・資格・昇給交渉の切り出し方など)
目次

今回のキャリア相談

相談者:高野さん、いま32歳で年収480万円です。同期は「ベースアップで5%上がった」と言っているのに、うちの会社は定期昇給の5,000円だけ。5年間で年収が40万円しか増えていません。仕事はちゃんとやっているつもりですし、評価もB+です。これは会社が悪いのでしょうか、それとも自分が悪いのでしょうか。

高野の回答:とても良い問いの立て方です。多くの方は「会社が悪い」か「自分が悪い」のどちらかに決めつけて動いてしまい、判断を間違えます。年収が上がらない原因は、必ず「会社側の要因」と「自分側の要因」の掛け算です。まずどちらの比重が大きいかを切り分けないと、打ち手を間違えます。会社側が主因なのに社内でがんばり続けても報われませんし、自分側が主因なのに転職しても同じことが繰り返されます。以下、切り分け方から順に説明します。

まず前提:「年収が低い」は職種平均ではなく利益貢献で判断する

「営業職にしては低い」「IT業界にしては低い」という相談を毎週のように受けます。しかし、この判断の仕方はほとんど機能しません。同じ「営業」でも、既存顧客のルート営業と、新規で年間3億円を積み上げるエンタープライズ営業では、生み出す粗利がまったく違うからです。同じ「エンジニア」でも、エンジニアの転職で年収アップする方法で整理したとおり、職種の中で2倍近い開きがあります。

27年この業界にいる実感として、企業が給与を決めるときに見ているのは、結局のところひとつです。

「その人が会社の利益にどれだけ貢献しているか」「その人がいなくなったとき、いくら払って代わりを採る必要があるか」

この2つです。前者が「今の貢献」、後者が「市場での代替コスト」。後者を意識できていない方が非常に多い。会社は「あなたが辞めたら、同じ仕事を回せる人を採るのに700万円かかる」と分かっていれば、600万円までは払う判断をします。逆に「500万円で採れる」と思われていれば、どれだけ頑張っても500万円台から出られません。

2026年の年収に関する基準データ

自分の位置を確認するために、まず客観的な数字を押さえてください。

指標 数値 出典・時点 読み方
給与所得者の平均給与 478万円(前年比+3.9%) 国税庁 民間給与実態統計調査 令和6年分 4年連続上昇。全体の基準線
正社員の平均給与 545万円 同上 正社員ならここが比較対象
男女別平均給与 男性587万円/女性333万円 同上 就業形態の差が大きく影響
春闘 賃上げ率(全体) 5.01%(16,400円) 連合 2026春季生活闘争 最終集計 3年連続5%台
春闘 賃上げ率(300人未満) 4.69%(12,866円) 同上 中小も前年同期を上回った
有期・短時間等の引上げ率 6.18%(時給+75.01円) 同上 正社員を上回るペース
転職で年収が上がった人の割合 64.1% doda「年収アップ成功者の傾向2026年版」 2025年10月〜2026年3月に転職した人
年収アップ額の平均 109万4,383円(平均年齢33.4歳) 同上 上がった人だけの平均値である点に注意
年収アップ率が最も高い年代 25〜29歳(67.9%) 同上 20代後半が最も動きやすい
年収アップ率が最も高い職種 技術職(SE・インフラ・Web)74.8%/平均+132万円 同上 需給が最も逼迫している領域

ここで押さえてほしいのは、「日本全体は上がっている」という事実です。「日本は給料が上がらない国だから」という説明は、2023年以降はもう使えません。周囲が5%上がっているなかで自分だけ止まっているなら、それは構造ではなく個別事情です。

会社側に原因がある4パターン

パターン1. そもそも一人あたり粗利が低いビジネスモデル

いちばん多く、いちばん本人に責任がないのがこれです。給与の原資は粗利です。一人あたり年間粗利が800万円しか生まれない構造の会社で、年収600万円を払うのは物理的に不可能です(人件費以外に家賃・システム・管理部門のコストが乗るため)。

目安として、年収は「一人あたり粗利の40〜50%」あたりが上限になることが多い。上場企業なら有価証券報告書の「平均年間給与」と従業員数、決算短信の売上総利益から自分で計算できます。一人あたり粗利が1,000万円を切っている会社で「年収800万円を目指す」のは、本人の努力ではどうにもなりません。

パターン2. 賃金テーブルの上限(レンジキャップ)に張り付いている

等級ごとに給与レンジが決まっている会社では、等級が上がらない限り、どれだけ成果を出しても上限で頭打ちになります。「評価はA なのに昇給が5,000円」という現象の正体は、たいていこれです。この場合の打ち手は「評価を上げること」ではなく「等級を上げること(昇格)」で、必要な要件がまったく違います。人事制度の資料を取り寄せて、自分の等級とレンジ上限、昇格要件を確認してください。ここを確認せずに頑張り続けている人が本当に多い。

パターン3. 業績が悪い/原資を人件費に回さない方針

業績が落ちている、あるいは業績は良いが内部留保・設備投資・株主還元を優先していて、人件費への配分意思がないケースです。前者は数字を見れば分かりますが、後者は見えづらい。判断材料は「直近3年で全社ベースアップが実施されたか」「昇格した人が周囲に実在するか」の2点です。3年間ベアゼロ・昇格者ゼロなら、方針として払う気がないと考えていいでしょう。

パターン4. 評価制度が形骸化している

評価基準が言語化されておらず、上司の主観と印象で決まっている状態です。この環境では、成果を出しても「上司に見えていない成果」は存在しないのと同じ扱いになります。中小企業やオーナー企業に多く、社長との距離が近い人だけが上がる構造になりがちです。

会社側が主因のときの結論
上の4つのうち2つ以上に当てはまるなら、社内での努力の費用対効果は非常に低いです。この場合、最も効率が良い打ち手は「転職」または「社内でも粗利率の高い事業部への異動」です。私の実感でも、パターン1と2に当てはまっている方が社内でどれだけ頑張っても、5年で100万円上がるかどうか。同じ5年を転職に使えば200万〜300万円動くケースが普通にあります。

自分側に原因がある5つの理由

ここからは、環境を変えても付いて回るタイプの要因です。厳しいことを書きますが、直せば確実に効きます。

理由1. 「作業量」は多いが「利益への距離」が遠い

忙しさと年収は比例しません。年収が上がる人は、売上・粗利・コスト削減という数字に、自分の仕事が何段階でつながっているかを説明できます。「私は月に120件の問い合わせに対応しています」ではなく「解約率を3.2%から2.1%に下げ、年間ARRで4,200万円の維持に貢献しました」と言える状態。この翻訳ができていないだけで、実は貢献しているのに評価されていない方が相当数います。まずは自分の仕事を金額に翻訳することから始めてください。

理由2. 成果を「見えるところ」に置いていない

成果が出ていても、評価者に届いていなければ昇給には反映されません。これは自慢しろという話ではなく、情報を上流に流す設計をしろという話です。週報に数字を1行入れる、四半期ごとに実績を1枚にまとめる、他部署からの感謝メールを保存しておく。これだけで評価面談の中身が変わります。「黙々とやっていれば誰かが見てくれる」は、残念ながら平均以上には効きません。

理由3. ネガティブ・他責が習慣化している

「会社が悪い」「上司が分かっていない」「業界がダメ」。この語り口が習慣になっている方は、実は能力が高くても年収が上がりません。理由は単純で、裁量のある仕事が回ってこなくなるからです。年収は「任される範囲の広さ」でほぼ決まります。任せる側の立場に立てば、他責の人に新規事業や重要顧客を預けたいとは思いません。会社側に本当に問題がある場合でも、社内で不満を言い続けるより、静かに転職準備をするほうが圧倒的に得です。

理由4. 変化を避けている

同じ業務を5年続けていると、社内での習熟度は上がりますが、市場価値は横ばいか下がります。会社が新しい役割を打診したときに「今のままでいい」と断り続けた方は、10年後にほぼ例外なく苦しくなっています。年収は「できることの幅」ではなく「まだ誰もやっていないことを引き受けた回数」で伸びます。

理由5. 一人で完結する仕事しかしていない

プレイヤーとして優秀でも、チームの成果を上げる動きがない方は、ある水準で頭打ちになります。年収600万円までは個人の力で届きますが、800万円を超えるあたりから「他人を動かして成果を出せるか」が問われます。マネジメント職に就くという意味だけではなく、他部署を巻き込む、後輩の生産性を上げる、仕組みを作る——こうした動きの有無です。

会社側か自分側か、どちらが主因かを見分けるチェックリスト

確認項目 Yesなら
1. 直近3年で全社的なベースアップがあったか Noなら会社側
2. 同期・同僚のうち昇格した人が実在するか Noなら会社側
3. 自分の等級のレンジ上限を知っているか 知らないなら要確認
4. 一人あたり粗利が1,200万円を超えているか Noなら会社側
5. 評価基準が文書化され、開示されているか Noなら会社側
6. 自分の成果を金額で説明できるか Noなら自分側
7. 直近2年で新しい役割・領域を引き受けたか Noなら自分側
8. 上司が自分の実績を数字で言えるか Noなら自分側
9. 社外の人に自分の職務経歴を3分で説明できるか Noなら自分側
10. 他部署・他社を巻き込んだ仕事の実績があるか Noなら自分側
11. スカウトや面談オファーが年に数回来ているか Noなら自分側(市場価値の可視化不足)
12. 同職種の他社年収レンジを具体的に知っているか Noなら情報不足

1〜5でNoが3つ以上なら会社側が主因6〜10でNoが3つ以上なら自分側が主因です。両方該当する方も多く、その場合は「自分側を6か月で整える → その状態で転職市場に出る」という順番が最も効率的です。順番を逆にすると、市場価値が低いまま動くことになり、年収が下がります。

年収を上げる7つの打ち手 ── 効果・期間・リスク比較

打ち手 上がり幅の目安 効果が出るまで リスク 向いている状況
1. 社内で昇格する +30〜100万円 1〜3年 昇格枠があり、評価制度が機能している
2. 社内の高収益部門へ異動 +0〜80万円 半年〜2年 会社は良いが部署の粗利が低い
3. 昇給交渉する +0〜50万円 即〜半年 中(関係悪化) 明確な実績と、代替の効かなさがある
4. 同業他社へ転職 +50〜150万円 3〜6か月 スキルは通用するが会社の原資が薄い
5. 成長市場・高粗利業界へ転職 +100〜300万円 6か月〜1年 中〜高 30代前半までで学習意欲がある
6. ベンチャー・スタートアップの幹部ポジション 現金は±0〜+150万円/SOで上振れ 1〜5年 短期の現金より資産形成を狙える
7. 副業・複業で収入源を足す +20〜200万円 3か月〜 中(時間・就業規則) 本業を変えられない事情がある

データが示すとおり、最も確率が高く、金額のインパクトが大きいのは4と5の転職です。dodaの調査では転職者の64.1%が年収アップし、上がった人の平均増加額は109万円。社内で109万円を上げるには、多くの会社で2階級の昇格が必要で、5〜8年かかります。ここは冷静に比較してください。

ただし6のベンチャー幹部は、現金年収だけを見て判断してはいけません。ストックオプションの評価方法はストックオプション(SO)完全ガイドに整理しています。7の副業は、就業規則と社会保険の扱いを必ず確認してから始めてください。

「資格を取れば上がる」は基本的に誤り

ここは率直に書きます。実務と接続していない資格を取っても、年収はほぼ上がりません。私が見てきた中で年収に直結したのは、業務独占資格(弁護士・公認会計士・税理士・社労士など)と、その資格が必須要件になっているポジションを実際に狙う場合のみです。「とりあえずTOEICと簿記2級」で年収が上がった方を、私はほとんど見たことがありません。同じ時間を「数字を持つ仕事の経験」に使ったほうが、はるかに投資対効果が高いです。

昇給交渉の6ステップ

  1. レンジ上限と昇格要件を確認する(交渉の1〜2か月前):レンジ上限に張り付いているなら、交渉すべきは「昇給」ではなく「昇格」です。ここを間違えると、上司も動きようがありません。
  2. 実績を金額に翻訳して1枚にまとめる:担当領域、開始時と現在の数字、自分が打った施策、再現性。A4で1枚。感情ではなく事実で構成します。
  3. 市場相場を具体的に把握する:同職種・同水準の他社レンジを、求人票やエージェント経由で確認します。転職エージェントの選び方で挙げたとおり、複数社から情報を取ると精度が上がります。
  4. 評価面談ではなく、その3か月前に切り出す:昇給原資は評価面談の時点でほぼ確定しています。「次の評価で上を狙いたい。何を達成すれば等級が上がりますか」と、期初に握るのが正解です。
  5. 要求ではなく合意形成の形にする:「上げてください」ではなく「◯◯を達成したら△等級を目指せると考えていますが、認識は合っていますか」。上司を敵ではなく共同提案者にします。
  6. 返答が曖昧なら期限を切る:「半年後に再度お話しさせてください」と期限を置く。2回続けて曖昧なら、その会社では上がりません。転職の準備を始めてください。
やってはいけない交渉
「他社から内定が出ているので上げてください」というカウンターオファー狙いは、短期的には通ることがありますが、長期では確実に不利になります。「この人はお金で動く」「いつか辞める」と記録されるからです。実際、カウンターオファーを受けて残った方の多くが1〜2年以内に退職しています。交渉と転職は分けて考えてください。転職時の交渉術は年収交渉の方法と注意点にまとめています。

転職で年収が上がる人・上がりにくい人

年収が上がりやすい人 年収が上がりにくい人
数字を持ち、成果を金額で説明できる 業務内容の説明はできるが数字がない
需要が伸びている領域の経験がある 縮小市場の社内固有スキルが中心
20代後半〜30代前半(アップ率67.9%の層) 45歳以上で管理経験がない
他社でも通じる再現性を語れる 「前職ではこうだった」で止まる
複数社を並行して受け、相場を握っている 1社だけ受けて言い値で決める
現年収と希望年収の根拠を分けて話せる 「生活費が足りないので」を理由にする

「給料が上がらないから転職」で失敗する5パターン

失敗1. 年収だけで決めて、みなし残業込みだった

提示年収600万円のうち、45時間分の固定残業代が含まれていた——これは本当に多い。実質時給で見ると前職より下がっているケースが珍しくありません。オファー面談で「基本給/固定残業代/賞与の変動幅」を必ず分解して確認してください。確認項目はオファー面談・条件交渉完全ガイドに一覧化しています。

失敗2. 賞与の実績を確認せず、モデル年収を信じた

「年収600万円(賞与4か月想定)」の求人で、直近3年の賞与実績が2か月だった。求人票のモデル年収は上限に近い数字が書かれるのが普通です。過去3期の支給実績を聞いてください。賞与まわりの落とし穴は転職とボーナス(賞与)完全ガイドにまとめています。

失敗3. 手取りベースで考えず、社会保険料の増加を見落とした

額面が80万円上がっても、手取りは55万円程度しか増えません。さらに住民税は翌年から上がります。「額面いくら上がったか」ではなく、手取りと可処分所得で比較してください。

失敗4. 上がったが、原因が自分側だったので再現した

成果の見せ方や巻き込み方に課題があった方は、転職しても2年後に同じ壁にぶつかります。前述のチェックリスト6〜10で複数Noだった方は、転職前に半年かけて整えてください。

失敗5. 短期の年収を追ってキャリアの筋を折った

+80万円のために、伸びない市場・レガシー領域に移ってしまうケースです。3年後の市場価値まで含めて計算すると、明確なマイナスになることがあります。この判断ミスの詳細はベンチャー転職の失敗・後悔ガイドでも整理しています。

年代別・給料が上がらないときの戦略

20代:市場価値の「伸び率」に投資する時期

この年代で年収が低いことは、ほとんど問題になりません。問題なのは「数字を持つ経験が積めない環境」に居続けることです。dodaの調査でも25〜29歳の年収アップ率が67.9%と最も高く、動きやすい年代です。年収50万円の差より、3年後に何ができるようになっているかで選んでください。

30代:会社側要因か自分側要因かを必ず切り分ける

年収が最も動く年代であり、判断ミスの影響も最も大きい年代です。会社側が主因なら早く動く。自分側が主因なら、半年で数字を作ってから動く。この見極めがすべてです。30代の詳細な打ち手は年齢別転職ガイドを参照してください。

40代:ポジションで上げる。プレイヤーのままでは上がらない

40代の年収は、スキルではなく責任範囲で決まります。部長・事業責任者・執行役員といったポジションを取りにいくか、専門性で希少領域に張るかの二択です。ベンチャーの役員ポジションは40代の年収を大きく動かす選択肢で、ベンチャー役員の年収相場に実勢を整理しています。CxOを目指すならCXO転職ガイドもあわせてどうぞ。

50代:年収維持と、その後の10年の設計を同時に考える

50代は役職定年で年収が2〜3割落ちる会社が多く、「上がらない」ではなく「下がる」局面に入ります。ここで有効なのは、社外での顧問・アドバイザー・複業を早めに立ち上げておくことです。60代以降も稼働できる形を50代前半に作れているかどうかで、生涯収入が大きく変わります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 会社の業績は良いのに給料が上がりません。なぜですか?

A. 多くの場合、①賃金テーブルのレンジ上限に達している、②利益を人件費ではなく投資・内部留保に配分する方針、のどちらかです。まず人事制度資料でレンジ上限と昇格要件を確認してください。要件が明示されていない、または3年間昇格者がいないなら、方針として払う意思がないと判断していいでしょう。

Q2. 昇給交渉はいつ切り出すのが正解ですか?

A. 評価面談ではなく、期初(評価期間の始まり)です。評価面談の時点では原資も評価もほぼ確定しており、その場で覆ることはほとんどありません。期初に「何を達成すれば上の等級に行けるか」を上司と握るのが最も効果的です。

Q3. 資格を取れば年収は上がりますか?

A. 業務独占資格(弁護士・会計士・税理士など)で、その資格が必須のポジションを実際に狙う場合を除き、ほぼ上がりません。同じ学習時間を「数字を持つ仕事の経験」や「不足している実務スキル」に振ったほうが投資対効果は高いです。

Q4. 副業で収入を増やすのと、転職するのはどちらが良いですか?

A. 本業を変えられない事情(家庭・地域・介護など)があるなら副業、そうでないなら転職が先です。副業は時間を売る形になりやすく、上限が体力で決まります。ただし副業で市場価値を検証してから転職する順番は非常に有効で、私はよくこの方法をおすすめしています。

Q5. 転職したら本当に年収は上がりますか?

A. dodaの調査では2025年10月〜2026年3月に転職した人の64.1%が年収アップ、平均増加額は約109万円でした。ただし裏を返せば約36%は横ばいか減少しています。上がるかどうかは「移る先の市場の粗利水準」と「自分の数字の説明力」で決まります。

Q6. 転職理由に「給料が上がらないから」と正直に言っていいですか?

A. 言って構いませんが、それ単体で終わらせないでください。「成果に対して報酬が連動する環境で働きたい」「◯◯の実績を出したが、制度上レンジ上限で反映できないと言われた」と、事実と希望をセットで話す形にします。不満の羅列にすると、他責の印象だけが残ります。

Q7. 現年収を伝えると、それを基準に低く提示されませんか?

A. 日本ではまだ現年収を基準に提示する企業が多いのは事実です。対策は、現年収は正確に伝えたうえで「希望年収の根拠」を別に用意することです。同職種の他社レンジ、自分の実績、担当予定業務の難易度。複数社を並行して受けていると、この根拠が具体的になります。

Q8. 中小企業だと、そもそも上がらないのでしょうか?

A. そんなことはありません。連合の2026年最終集計では300人未満の組合でも4.69%、前年同期を上回りました。規模より一人あたり粗利です。社員30人で高粗利のニッチ企業のほうが、社員1,000人の薄利多売企業より払える会社はいくらでもあります。

Q9. ベンチャーに転職すると年収は上がりますか?

A. フェーズによります。シード〜シリーズAは現金年収が下がることが多く、シリーズB以降で調達済みの企業なら現職以上を出せるケースが増えます。ストックオプションを含めた期待値で見るべきで、全体像はベンチャー転職 完全ガイドを参照してください。

Q10. 年収を上げるために、いま最初にやるべきことは何ですか?

A. 自分の実績を金額に翻訳してA4 1枚にまとめることです。これができれば、社内交渉にも転職にもそのまま使えます。書けない項目が出てきたら、それが今の職場で足りていない経験です。ここが埋まっていない状態で市場に出ても、良い条件は引き出せません。

まとめ:上がらない原因を切り分けてから動く

  • 2026年の日本は賃上げ5.01%、平均給与478万円。「上がらない国だから」という説明はもう成立しない
  • 年収は「職種平均」ではなく「利益貢献」と「代替コスト」で決まる
  • 会社側要因(粗利・レンジ上限・配分方針・評価制度)と自分側要因(数字への距離・可視化・他責・変化回避・個人完結)を切り分ける
  • 会社側が主因なら社内努力の費用対効果は低い。転職か高収益部門への異動が正解
  • 自分側が主因なら、半年で数字と説明力を整えてから市場に出る
  • 転職者の64.1%が年収アップ、平均+109万円。ただし36%は上がっていない
  • 資格・カウンターオファー・額面だけの比較は、いずれも期待値が低い

「給料が上がらない」という相談をいただくたびにお伝えしているのは、感情ではなく構造で判断してくださいということです。悪いのが会社なのか自分なのかを決めつけずに、上のチェックリストで機械的に切り分ける。そのうえで、いちばん確率の高い打ち手から手をつける。それだけで、5年後の年収は驚くほど変わります。

キープレイヤーズでは、ベンチャー・スタートアップを中心に、年収レンジの実勢と評価制度の実態を踏まえたキャリア相談を承っています。「今の年収は市場から見て妥当なのか」「動くべきか、社内で粘るべきか」を一緒に整理したい方は、お気軽にご相談ください。

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東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、文部科学省アントレプレナーシップ推進大使。1万2000件以上のキャリア面談、4,000名以上の経営者と採用相談にのる。80社以上のエンジェル投資、投資して上場は9社。うち2社は役員として上場(クラウドワークス、メドレー)。178社以上の上場支援実績。顧問・社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数300回以上。「ベンチャーの作法」(ダイヤモンド社)5万部を超えるベストセラー

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