転職とボーナス(賞与)完全ガイド【2026年最新】支給日在籍要件の判例・損しない退職スケジュール・サインオンボーナス交渉術を高野秀敏が解説

執筆者:高野秀敏
株式会社キープレイヤーズ/代表取締役
東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、12,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。80社以上の投資、9社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。178社上場支援実績あり。顧問、アドバイザー、社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。「ベンチャーの作法」ダイヤモンド社5万部を超えるベストセラー

こんにちは、キープレイヤーズ代表の高野秀敏です。リクルート出身、独立して約25年、ベンチャー・スタートアップとCxO・経営幹部の転職支援を延べ数千件手掛けてきました。

転職相談を受けていて、毎年6月と12月に必ず増えるのが「ボーナスをもらってから辞めたいのですが、いつ言えばいいですか」という質問です。これは決して打算的な話ではありません。夏冬のボーナスは、多くの方にとって年収の20〜25%を占めます。タイミングを1ヶ月間違えるだけで、50万円、100万円が消える——それだけの金額が動く話です。

2026年夏の実額を見ると、経団連の最終集計で大手企業の平均妥結額は104万2,537円(前年比+7.04%)と、集計開始以来はじめて100万円台に乗りました。業種別では製造業109万3,629円、非製造業94万1,145円。一方、帝国データバンクの調査による中小を含む全体平均は47.7万円(前年比+1.8万円)です。企業規模による差は2倍以上に開いています。

この記事では、①賞与の法的な位置づけと「支給日在籍要件」の判例/②ボーナスで損しない退職スケジュールの作り方/③辞めると決まっていたら賞与は減らされるのか/④賞与の手取り計算/⑤転職先の賞与制度の見極め方/⑥ベンチャー・スタートアップの賞与のリアル/⑦サインオンボーナス(入社一時金)の交渉術/⑧失敗パターン7つ/⑨年代別アドバイス/⑩FAQ10問——を、実務で見てきたケースをもとに整理します。転職に伴うお金の全体像は年収・手取りガイドと併せてお読みください。

目次

この記事でわかること

  • 賞与に法的な支払義務はあるのか、支給日在籍要件は有効なのか(判例ベース)
  • ボーナスをもらってから辞めるための、月単位の退職スケジュール
  • 退職を伝えた後に賞与を減額されるのは違法か
  • 2026年の賞与相場(大手・中小・業種別)と手取りの計算方法
  • 転職先の賞与制度で必ず確認すべき7項目
  • ベンチャー・スタートアップに賞与はあるのか、代わりに何があるのか
  • サインオンボーナス(入社一時金)の相場と交渉の切り出し方、返還条項の罠
  • ボーナスがらみの失敗パターン7つと年代別アドバイス、FAQ10問

結論:ボーナスは「就業規則がすべて」。法律ではなく規程を読む

先に結論を書きます。賞与について最も大事なのは、「法律にどう書いてあるか」ではなく「自社の就業規則・賃金規程にどう書いてあるか」です。

労働基準法には、賞与を支払わなければならないという規定はありません。賞与は使用者の決定、労使の合意、あるいは慣行によってはじめて発生する権利です。だからこそ、支給の条件は各社の規程に委ねられています。

そして多くの企業が置いているのが「支給日在籍要件」——賞与支給日に在籍している者にのみ支給する、という定めです。この要件について、最高裁は大和銀行事件(昭和57年10月7日判決)で、賞与の支給日に在籍することを支給要件とすることは合理的であり有効と判断しました。以来、この判断が実務の基準になっています。

つまり、支給日の前日に退職したら、賞与は1円ももらえないのが原則です。逆に言えば、支給日に在籍してさえいれば受け取れる。この一点を理解しているかどうかで、数十万円の差がつきます。

賞与の法的な位置づけ——3つの前提

前提1:賞与に法的な支払義務はない

毎月の賃金と違い、賞与は労基法上の支払義務がありません。業績が悪ければ支給ゼロも適法です。ただし就業規則や労働契約で「支給する」と明記され、算定方法まで定められている場合は、その内容が労働契約の一部となり、企業は支払義務を負います。

前提2:支給日在籍要件は原則として有効

大和銀行事件の最高裁判決により、就業規則等に定められた支給日在籍要件は有効とされています。慣行として定着している場合も同様です。

ただし例外もあります。松山地裁の2022年11月2日判決では、在籍要件の適用を公序良俗違反として無効とした判断が示されました。会社都合の退職勧奨で支給日直前に辞めさせられたようなケースでは、在籍要件をそのまま適用することが不当と評価される余地があります。とはいえこれは例外的な事案であり、自己都合退職の場合は在籍要件がそのまま適用されると考えておくべきです。

前提3:在籍要件の定めがない場合は交渉の余地がある

就業規則や労働契約書に支給日在籍要件が明記されておらず、慣行としても確立していない場合は、賞与算定期間の在籍日数に応じた支給を求められる可能性があります。まずは自社の規程を確認してください。「見たことがない」という方が驚くほど多いのですが、就業規則は労働者がいつでも閲覧できる状態にしておく義務が会社にあります。人事に請求すれば見られます。

ボーナスで損しない退職スケジュール

基本の型:支給を確認してから伝える

実務上の鉄則はシンプルです。

  1. 賞与が口座に着金したことを確認する
  2. 着金から1〜2週間ほど置いてから退職の意思を伝える
  3. 引き継ぎ期間として1〜2ヶ月を確保する
  4. 有給休暇の消化日数を逆算して最終出社日を決める

2番目の「1〜2週間置く」がポイントです。着金翌日に退職届を出すと、心証はどうしても悪くなります。同じ業界で長く働くなら、この1〜2週間の間は安いコストです。

夏賞与・冬賞与を起点にした月別スケジュール

時期 夏賞与(6月末〜7月上旬支給)狙い 冬賞与(12月上旬〜中旬支給)狙い
4ヶ月前 2〜3月:情報収集・書類準備を開始 8〜9月:情報収集・書類準備を開始
3ヶ月前 3〜4月:応募・面接を進める 9〜10月:応募・面接を進める
2ヶ月前 4〜5月:内定取得。入社日を8〜9月で調整 10〜11月:内定取得。入社日を2〜3月で調整
支給日 6月末〜7月上旬:着金を確認 12月上旬〜中旬:着金を確認
支給後1〜2週間 7月中旬:退職の意思を伝える 12月下旬〜1月上旬:退職の意思を伝える
その後 7〜8月:引き継ぎ+有給消化 1〜2月:引き継ぎ+有給消化

注意点として、内定から入社までの猶予は一般に1〜3ヶ月が限界です。「賞与をもらうまで待ってほしい」と5ヶ月先の入社を求めると、内定が流れることがあります。入社日の交渉については転職の入社時期はいつがおすすめ?転職タイミング完全ガイドで詳しく解説しています。

有給消化との組み合わせ

ここで重要なのが有給休暇です。有給消化中も「在籍」していますから、退職日を賞与支給日より後に設定できれば、有給を消化しながら賞与を受け取れる可能性があります。ただし、支給日在籍要件に加えて「支給日以降も勤務が見込まれる者」といった条件を置いている企業もあります。ここは規程を精読してください。有給の扱いは退職時の有給消化 完全ガイドにまとめています。

退職を伝えた後、賞与を減らされるのは違法か

これは非常によく聞かれます。答えは「ケースによる」です。

ケース 適法性の考え方 取るべき行動
支給日前に退職し、在籍要件がある 不支給は原則有効 支給日以降に退職日を設定する
算定式が固定(基本給×○ヶ月)なのに減額 合理的根拠がなければ争える余地 賃金規程を確認し、書面で説明を求める
査定に「将来への期待」が含まれる制度で減額 制度上の裁量として認められやすい 減額幅を織り込んでスケジュールを組む
退職の申し出を理由に一律ゼロにする 制度に定めがなければ問題になり得る 規程の該当条文の提示を求める

実務的な感覚をお伝えすると、賞与に将来への期待部分が含まれる制度設計の会社では、退職予定者の賞与が2〜3割減るのは珍しくありません。これを完全に防ぐ方法は「伝えるのを支給後にする」しかない、というのが率直なところです。

2026年の賞与相場と手取り

企業規模による差

区分 2026年夏季賞与 出典
大手企業(経団連会員企業)平均 104万2,537円(前年比+7.04%) 経団連 最終集計
うち製造業 109万3,629円 経団連 最終集計
うち非製造業 94万1,145円 経団連 最終集計
中小を含む全体平均 47.7万円(前年比+1.8万円) 帝国データバンク調査

日本の企業の99.7%は中小企業ですから、「大手企業が初の100万円超」というニュースは、多くの人の実感とはかけ離れています。転職を考えるとき、この構造的な差は無視できません。企業規模を上げる転職は、年収だけでなく賞与の月数と原資まで一気に変わります。

賞与の手取りはいくらになるか

賞与も月給と同じく、社会保険料と所得税が引かれます。ざっくりした目安は次のとおりです。

控除項目 おおよその率 備考
健康保険料 約5% 標準賞与額×料率の労使折半。40歳以上は介護保険料が加算
厚生年金保険料 約9.15% 標準賞与額×18.3%の労使折半。1回あたり150万円が上限
雇用保険料 0.5% 一般の事業。令和8年4月から0.6%→0.5%に引き下げ
所得税 前月給与の課税対象額と扶養人数で決まる税率 年末調整で精算される
住民税 賞与からは引かれない 翌年度の月々の給与から徴収

結果として、賞与の手取りは額面のおおむね75〜85%になります。額面80万円なら手取りは62万〜68万円程度。転職の意思決定で「賞与2ヶ月分をあきらめる」と考えるとき、実際に失うのは手取りベースの金額だということは頭に入れておいてください。

厚生年金保険料には1回あたり標準賞与額150万円という上限があるため、賞与が高額な方ほど控除率は相対的に下がります。転職に伴うお金と手続きの全体像は転職のお金と手続き完全ガイドにまとめています。

転職先の賞与制度で確認すべき7項目

オファーを受けたら、賞与について次の7つを必ず確認してください。口頭ではなく、労働条件通知書と賃金規程でです。

確認項目 なぜ重要か 聞き方の例
提示年収に賞与が含まれるか 「年収600万円」が月給50万円×12か、月給43万円+賞与84万円かで手取りが変わる 提示額の内訳を月給と賞与に分けて教えてください
賞与は固定か業績連動か 業績連動は下振れリスクがある 過去3年間の支給実績を教えていただけますか
算定期間と支給時期 入社初年度に受け取れるかが決まる 算定期間はいつからいつまでですか
入社初年度の扱い 初回は日割り・寸志・支給なしのいずれかが多い 入社1年目の賞与はどのような扱いになりますか
支給日在籍要件の有無 将来自分が辞めるときに効いてくる 賃金規程を確認させていただけますか
みなし残業の有無と時間 賞与と合わせて実質時給が見える 固定残業代は月何時間分が含まれますか
評価から支給までの流れ 評価が不透明だと賞与も不透明 評価制度と賞与の連動を教えてください

とくに1つ目は重要です。提示年収に「賞与見込み」が含まれているケースは非常に多く、業績が下振れすれば提示額に届きません。私は候補者の方に必ず「最悪のケースで年収いくらになりますか」と確認するよう勧めています。この確認をオファー面談で行う具体的な進め方はオファー面談・条件交渉完全ガイドを、年収交渉そのものは年収交渉の方法と注意点およびベンチャー転職の年収交渉術をご覧ください。

ベンチャー・スタートアップの賞与はどうなっているか

ここは誤解が多いところです。ベンチャー・スタートアップには、そもそも賞与制度がない会社が相当数あります。理由は明快で、賞与の原資は利益から出るものであり、赤字先行で成長を取りに行くフェーズの会社には配る原資がないからです。

フェーズ 賞与制度 報酬設計の主軸 転職時の注意点
シード〜アーリー ほぼなし 年俸制+ストックオプション 年俸を12分割か14分割かを確認
ミドル(シリーズB〜C) 期末賞与を導入し始める段階 年俸制+SO+インセンティブ 支給実績が1〜2年しかない前提で見る
レイター・IPO準備 制度化されることが多い 月給+賞与+SO 上場後のSO価値と賞与の両方を確認
上場ベンチャー 大手に近い制度 月給+賞与+RSU等 業績連動幅の大きさを確認

年俸制の会社では、年俸を12分割して毎月支給する会社と、16分割して12ヶ月+夏冬2ヶ月ずつを「賞与」として支給する会社があります。後者は名前こそ賞与ですが、実質は年俸の分割払いです。「賞与あり」と書いてあっても、上乗せではないケースがあると理解しておいてください。

そのぶんベンチャーではストックオプションが報酬の柱になります。SOの価値評価と落とし穴はストックオプション(SO)完全ガイドSOで後悔する人の特徴で詳しく解説しています。ベンチャー転職全体の判断軸はベンチャー転職 完全ガイドを。

サインオンボーナス(入社一時金)を取りに行く

そもそもサインオンボーナスとは

サインオンボーナスは、入社時に一時金として支払われる報酬です。外資系企業やスタートアップを中心に導入されており、目的は優秀な人材の獲得競争に勝つことです。2026年現在、IT・製薬・金融・半導体・コンサルティングなど採用競争が激しい業界では一般化しています。

相場と、交渉が通りやすい状況

企業タイプ 相場 交渉が通りやすい条件
国内事業会社 数十万円〜200万円程度 現職の賞与を放棄して早期入社する場合
外資系・コンサル 100万円〜数百万円 複数社のオファーが並行している場合
スタートアップ 数十万〜100万円程度、SOで代替も多い 採用の緊急度が高いポジション

最も交渉が通りやすいのは「現職の賞与を捨てて早く入社してほしい」と言われたときです。この場合、失う賞与の金額を根拠に交渉できます。私が候補者に勧めている言い方はこうです。

「御社の希望される入社時期に合わせると、現職で支給予定の賞与約○○万円を放棄することになります。入社時期を優先したいので、その分をサインオンボーナスとしてご検討いただけないでしょうか」

ポイントは、金額の根拠を示すことと、会社側の要望(早期入社)に応える姿勢とセットにすることです。単に「一時金がほしい」では通りません。

返還条項という落とし穴

サインオンボーナスには、多くの場合一定期間の在籍義務が設定されます。1〜2年以内に退職すると全額または一部の返還を求められるのが一般的です。契約書で必ず次を確認してください。

  • 返還義務が生じる在籍期間(1年か2年か)
  • 返還額は全額か日割りか
  • 会社都合退職の場合も返還義務があるか
  • 支給のタイミング(入社時か、試用期間終了後か)

私の知人にも、200万円のサインオンボーナスを受け取って10ヶ月で辞め、全額返還を求められた方がいます。受け取った時点で税金と社会保険料は引かれていますから、手取りより多い金額を返すことになります。ここは本当に注意してください。試用期間の扱いについては転職の試用期間完全ガイドも参考になります。

ボーナスがらみの失敗パターン7つ

失敗1:賞与を待ちすぎて内定が流れる

最も多い失敗です。「あと4ヶ月待てば冬の賞与が」と考えているうちに、企業側が別の候補者を決めてしまう。賞与80万円のために、年収100万円アップの機会を逃す——これでは本末転倒です。1年で回収できるかどうかで判断してください。

失敗2:着金前に退職の意思を伝えてしまう

「誠実でありたい」という気持ちは分かりますが、支給日在籍要件がある会社で支給前に伝えると、支給されない・減額されるリスクが現実に発生します。誠実さは引き継ぎの質で示せば十分です。

失敗3:就業規則を確認せずにスケジュールを組む

「支給日在籍要件があると思い込んでいたが、実際には規程になかった」というケースもあります。逆に「支給日以降も勤務見込みであること」という条件が入っていることもある。規程を読まずに動くのが一番損をします

失敗4:転職先の提示年収に賞与が含まれていることを見落とす

「年収650万円」の提示が、月給42万円+賞与見込み146万円だったというケース。業績が下振れすると年収は600万円を切ります。固定部分がいくらかを必ず確認してください。

失敗5:入社初年度の賞与がゼロ・寸志であることを想定していない

4月入社で夏賞与の算定期間(前年10月〜3月)に在籍していなければ、支給はゼロか寸志です。転職1年目は年収が一時的に下がることを前提に、生活設計をしてください。住宅ローンを組む予定がある方はとくに影響が大きいので、事前にシミュレーションを。

失敗6:サインオンボーナスの返還条項を読まずにサインする

前述のとおりです。受け取った金額と返す金額が一致しません。

失敗7:賞与のために我慢を続け、キャリアの機会を失う

これは金額の話ではありません。「あと半年」を毎年繰り返して、5年経ってしまった方を私は何人も見てきました。賞与は年2回来ますが、成長中の会社に入るタイミングは年2回来ません。ここは冷静に天秤にかけてください。

「賞与を待つべきか、今動くべきか」の判断基準

状況 判断 理由
支給日まで2ヶ月以内 待つ 選考期間と重なるので実質的なコストがない
支給日まで4ヶ月以上 待たない 内定保持期間の限界を超える。機会損失が大きい
年収アップ幅が賞与額を超える 待たない 1年以内に差額を回収できる
転職先が業績連動で賞与が読めない 現職の賞与は確保する 収入の谷を作らない
現職の業績が悪化している 待たない そもそも賞与が減額・不支給になる可能性
相手企業が入社時期を強く希望している 待たずにサインオンボーナスを交渉 交渉材料が最も強いタイミング

年代別アドバイス

20代:賞与よりも「次の3年で何が身につくか」で決める

20代の賞与は金額としてはまだ小さく、賞与を理由に転職を先延ばしにするのは合理的ではありません。この年代で優先すべきは、成長環境と学べる上司です。とはいえ支給日まで1〜2ヶ月なら待てばいい。それだけの話です。20代のベンチャー転職完全ガイドも参考に。

30代:賞与額が大きくなり、判断が難しくなる年代

30代になると賞与が年80万〜150万円規模になり、住宅ローンや教育費とも重なります。ここは「待つコスト」を金額で計算してから決めることをおすすめします。年収アップ幅が賞与額を上回るなら待つ理由はありません。30代からのベンチャー転職ガイドを。

40代:賞与だけでなく退職金の支給率も併せて計算する

40代は勤続年数が退職金に大きく効いてくる時期です。賞与の数十万円より、退職金の支給率の差のほうが大きいことがあります。就業規則の退職金規程で、勤続年数ごとの支給率カーブを必ず確認してください。40代のベンチャー転職は遅い?も併せて。

50代:役職定年と賞与の関係を確認する

50代では役職定年によって賞与算定の基準額そのものが下がるケースがあります。「あと2年待てば」と思っていたら、その2年で年収が2割下がっていた、ということが起こり得ます。制度を確認したうえで判断してください。50代の転職完全ガイドを参照。年代ごとの戦略全体は年齢別転職ガイドにまとめています。

よくある質問(FAQ)

Q1. ボーナスをもらってすぐ辞めるのは、法的に問題ありますか?

まったく問題ありません。賞与は過去の労働に対する対価と将来への期待が混ざったものですが、受け取った後に退職しても返還義務は生じません(返還条項のあるサインオンボーナスは別です)。民法上、期間の定めのない雇用契約は退職の申し入れから2週間で終了します。ただし実務上は就業規則の定め(1〜2ヶ月前の申し出)に従うのが穏当です。

Q2. 支給日在籍要件は就業規則に書いていなくても有効ですか?

労使間の慣行として確立していると認められれば有効とされることがあります。ただし争いになりやすい領域なので、まずは就業規則・賃金規程を確認し、記載がなければ人事に書面での説明を求めてください。

Q3. 退職を伝えたら「賞与はゼロだ」と言われました。従うしかないですか?

まず賃金規程の該当条文の提示を求めてください。支給日在籍要件があり、あなたが支給日前に退職するなら不支給は原則有効です。一方、算定式が固定で定められているのに退職を理由に一律ゼロとするのは、根拠を確認する価値があります。金額が大きい場合は労働基準監督署や弁護士への相談も選択肢です。

Q4. 有給消化中に支給日を迎えれば、賞与はもらえますか?

有給消化中も在籍していますから、支給日在籍要件だけであれば受け取れる可能性が高いです。ただし「支給日以降も勤務が見込まれる者」という条件がある場合は対象外になり得ます。規程の文言を確認してください。

Q5. 転職先の初年度賞与はどのくらい期待できますか?

算定期間の在籍月数に応じた日割り、または寸志(5万〜20万円程度)が一般的です。ゼロの会社も珍しくありません。オファー面談で「入社1年目の賞与実績」を必ず確認してください。

Q6. 「年収650万円(賞与込み)」と提示されました。何を確認すべきですか?

①月給の額面、②賞与の想定月数、③その賞与が固定か業績連動か、④過去3年の実績、の4点です。最悪ケースの年収を必ず把握してください。想定より100万円低い着地は普通に起こります。

Q7. サインオンボーナスは誰でも交渉できますか?

誰でも切り出せますが、通るのは企業側に採用の緊急度がある場合に限られます。複数社から内定を得ている、あるいは早期入社を強く求められている——こうした状況が交渉力になります。制度自体がない会社に無理に求めると心証を悪くするので、「制度としてお持ちですか」と確認する形で切り出すのが安全です。

Q8. ベンチャーに転職したら賞与がなくなりました。年収は下がりますか?

年俸制で月給が上がっていれば、年間の総支給は変わらないか増えていることがあります。賞与の有無ではなく、年間総支給額で比較してください。加えてストックオプションの潜在価値も含めて考えると、判断が変わることがあります。

Q9. ボーナス支給直後の退職は、次の会社の選考でマイナスになりますか?

なりません。採用側も同じことをしています。面接で退職時期を「賞与をもらってから」と正直に言う必要もありません。「引き継ぎを終えてから」で十分です。

Q10. 賞与を待つか迷っています。判断の軸を一つ挙げるとしたら?

「その賞与を、次の会社の年収アップで何ヶ月で取り戻せるか」です。年収が100万円上がるなら、80万円の賞与は10ヶ月で回収できます。回収期間が1年以内なら待つ理由は薄い。逆に、年収が横ばいなら賞与を確保してから動くべきです。

まとめ:規程を読み、金額に換算し、感情ではなく数字で決める

ここまで、賞与の法的位置づけ、支給日在籍要件の判例、損しない退職スケジュール、賞与の相場と手取り、転職先の賞与制度で確認すべき7項目、ベンチャーの賞与事情、サインオンボーナスの交渉術、失敗パターン7つ、年代別アドバイス、FAQ10問を整理してきました。要点は次のとおりです。

  • 賞与に法的な支払義務はない。就業規則・賃金規程がすべて
  • 支給日在籍要件は最高裁(大和銀行事件)で有効とされている。支給日前の退職は原則もらえない
  • 鉄則は「着金を確認してから1〜2週間置いて伝える」
  • 2026年夏の賞与は大手平均104万2,537円、中小含む全体平均47.7万円と2倍以上の差
  • 賞与の手取りは額面の75〜85%。失う金額は手取りベースで考える
  • 転職先の提示年収に賞与見込みが含まれていないかを必ず確認する
  • ベンチャーは賞与なしが多い。年俸の分割か上乗せかを見分ける
  • サインオンボーナスは返還条項を読んでからサインする
  • 判断軸は「その賞与を年収アップで何ヶ月で回収できるか」

私はこの25年、賞与を待って正解だった方も、待ちすぎて機会を逃した方も見てきました。共通しているのは、うまくいった方は必ず金額に換算して比較していたということです。「なんとなくもったいない」で決めると、たいてい後悔します。就業規則を取り寄せ、失う金額を計算し、次の会社で回収できる期間を出す。この3つをやれば、答えはだいたい自動的に出てきます。

賞与のタイミングを含めた転職スケジュールの立て方、オファー条件の妥当性、サインオンボーナスの交渉について相談したい方は、キープレイヤーズの高野秀敏までお気軽にご相談ください。ベンチャー・スタートアップを中心に、報酬設計まで踏み込んだご提案をしています。

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