この記事の要点:CTOは技術戦略の最高責任者、VPoEは開発組織のマネジメント責任者。フェーズで必要な型が変わり、技術顧問から始める手もあります。年収目安は現金1000万〜3500万円+ストックオプション。
エンジニア組織のトップ、CTOとVPoE。この2つを混同した採用・転職は必ず失敗します。キープレイヤーズ代表の高野秀敏です。技術トップ人材の採用・転職を、企業側と個人側の両方に向けて解説します。
結論:CTOとVPoEは役割が違う
- CTO:技術選定・アーキテクチャ・技術で事業を勝たせる戦略の責任者
- VPoE:採用・育成・組織運営など開発組織のマネジメント責任者
求められるのは技術力より「技術で事業を伸ばす力」。ここを見誤ると優秀なエンジニアでもCTOとしては行き詰まります。
CTO・VPoEとは
CTO(Chief Technology Officer)は技術戦略の最高責任者で、技術選定やアーキテクチャ、技術で事業をどう勝たせるかを描きます。VPoE(VP of Engineering)は開発組織のマネジメント責任者で、採用・育成・ピープルマネジメントを担います。アーリー期は1人が兼ね、拡大期に分化するのが一般的です。
スタートアップCTOに必要な力
- 事業と技術を接続する力:技術を事業の勝ち筋に変える
- 組織を作る力:優秀なエンジニアを集め強いチームにする
- 経営と現場を翻訳する力:技術を経営の言葉で説明できる
実在のCTOに学ぶキャリア【実例】
上場企業のCTOの経歴を見ると、入り口も到達ルートもまったく違うことが分かります。公開情報で確認できる実例を挙げます。
- 中出匠哉氏(マネーフォワード 取締役執行役員 グループCTO):ジュピターショップチャンネルでITマネージャー→シンプレクスで証券トレーディングシステムやFXディーリングシステムのアーキテクト兼プロダクトマネジャー。2015年にマネーフォワード入社し、翻年1年でCTOに就任
- 笹川裕人氏(Sansan 執行役員/CTO):大学院でコンピュータサイエンスの博士号を取得。リクルートを経てエムスリーでAI・機械学習チームやSREチームの立ち上げを自ら手を動かしながらリード。2023年6月にSansanに入社しCTOへ
- 長瀬慶重氏(サイバーエージェント 常務執行役員CTO):2000年NTTソフトウェア(現NTTテクノクロス)入社。2005年にサイバーエージェントへ移り、AmebaやABEMAなどのサービス開発に関与。2015年執行役員、2018年取締役を経て現職
中出氏は金融システムのアーキテクトから、笹川氏は研究者・AI領域から。「この技術スタックだからCTOになれる」という定番ルートは存在しません。共通するのは、自ら手を動かして技術で事業を前に進めた実績です。
また中出氏のように入社から1年でCTOになるケースもあります。企業側は「CTO経験者」を探すより、自社のフェーズで成果を出せる人を見極め、入社後に役割を任せる発想が有効です。
(役職は各社公式ページにもとづき2026年7月時点)
【企業向け】CTO採用のポイント
CTO採用の失敗の多くは、フェーズと型のミスマッチです。0ー1の時期は自ら手を動かすCTO、拡大期は組織を作るCTOやVPoEが必要です。フルタイムが難しければ、まず技術顧問・業務委託から始めるのも有効です。
自社のフェーズにどんな型のCTOが必要か、判断がつかないというご相談は非常に多いです。キープレイヤーズでは、技術顧問から始める選択肢も含めて、採用要件の整理から対応しています。お気軽にご相談ください。
【個人向け】CTOになるには
技術力だけでは足りません。事業と組織にコミットした経験が問われます。現実的なのは、早期スタートアップでリードエンジニアとして入り、技術と組織を担いながらCTOになる道です。
【2026年の最新動向】CAIO(最高AI責任者)の新設が相次いでいる
今、技術トップの職域に大きな変化が起きています。CAIO(Chief AI Officer:最高AI責任者)を新設する企業が急増しています。
- パナソニック:2026年4月、榔原彰氏が同社初のCAIOに就任
- パーソルホールディングス:2026年4月、CAIOとグループAI本部を新設
- CAC:2026年6月、CAIOを新設
- イトーキ:2026年7月、竹内尚志氏が常務執行役員 DX本部長 CAIOに就任
- メルカリ:2026年6月、CTOの木村俊也氏がCHRO兼CAIOに就任
イトーキの発表によれば、CAIOの役割は全社AI戦略の策定・AIとデータ活用基盤の整備・AIガバナンスとセキュリティ・AI人材育成などです。つまりAIを業務効率化のツールではなく、経営判断と事業変革のテーマとして扱うためのポジションです。
これはCTOを目指す人にとっても、CTOを採用したい企業にとっても大きな意味を持ちます。技術トップの評価軸が、従来のプロダクトを作る力から、AIで事業と組織を再設計する力へと広がっているからです。
エンジニアの方は、AIを実装する力だけでなく、AIを前提に業務・組織・ガバナンスを設計できるかが、これからの差別化になります。逆に企業側は、CTO採用の要件にAI戦略を含めるかを今のうちに整理しておくべきです。
(各社の発表・報道にもとづき2026年7月時点)
自分はCTOを狙えるのか、今何を経験すべきか。ここは一人で考えても答えが出にくい部分です。市場でどう見られているかを知るだけでも次の一手が変わります。キャリアの壁打ちもお気軽にどうぞ。
CTO・VPoEの年収相場(目安)
- シード〜シリーズA:現金年収 1000万〜1800万円+SO
- シリーズB〜C:1500万〜2800万円+SO
- レイター〜上場:2500万〜3500万円超+SO
当社の支援実績にもとづく目安です。他のCxOの年収はCFOの記事やCOO採用の記事もご覧ください。
よくある質問(FAQ)
CTOとVPoEの違いは?
CTOは技術戦略の最高責任者、VPoEは開発組織のマネジメント責任者です。スタートアップでは1人が兼ねることもあります。
マネジメント未経験でもCTOになれますか?
なれます。早期スタートアップでリードエンジニアから技術と組織を担いCTOになる人が多いです。
技術顧問とCTOの違いは?
技術顧問は外部から支援する立場、CTOは経営の一員として技術と組織に責任を持ちます。
まとめ:CTO採用・転職は型の見極めがすべて
技術力の高さではなく、事業を技術で勝たせる力。企業も個人も、自社のフェーズに合う型を見極めることが成功の鍵です。
キープレイヤーズはスタートアップのCTO・VPoEの採用支援と転職支援の両方を手がけています。お気軽にご相談ください。

