こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職支援を27年続けているキープレイヤーズの高野です。
「やりたい仕事」と「需要のある仕事」——転職で後悔しない人は、この2つの重なりを冷静に見ています。逆に、後悔する人は自分のやりたい仕事だけにこだわり、市場の需要を見ない傾向があります。
私はこれまで数千人のキャリアに立ち会ってきましたが、同じ実力でも「伸びる市場」にいる人と「縮む市場」にいる人とでは、5年後の年収もポジションも大きく変わります。本記事では、厚生労働省の最新データ(2026年)と世界経済フォーラムの長期予測をもとに、これから需要が伸びる職種・業界と、需要を味方につける転職戦略を率直にお伝えします。
- 2026年の求人倍率で見る「需要のある職種」ランキング
- これから伸びる6大領域と年収レンジ
- 世界経済フォーラムが示す2030年までの職業予測
- 逆に縮小リスクのある業界と、その中でも伸びる会社の見分け方
- 需要のある職種に移る人・移れない人の違い
- 未経験から需要のある職種へ移る4ステップ
- 年代別の需要の捉え方(20代/30代/40代/50代)
- 需要のある職種で「年収を伸ばす」考え方
- 需要を見極める3つのチェックポイント/FAQ
▶ あわせて見たい高野の解説動画:「【転職相談】AI(ChatGPT等)に淘汰されにくい仕事とは?」
2026年「需要のある職種」を求人倍率で見る
需要は感覚ではなくデータで測れます。職種別の有効求人倍率(1人あたり何件の求人があるか)が高いほど、その職種は人手が足りず、年齢や経歴のハンデが効きにくくなります。
厚生労働省の職業安定業務統計で見ると、2026年6月の全体の有効求人倍率は1.18倍(季節調整値)。ただし職種によっては大きな偏りがあり、労働政策研究・研修機構(JIL)の2026年4月公表資料(2025年度・大分類ベース)では以下が高倍率となっています。
| 職種領域 | 有効求人倍率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 保安職業(警備・海上保安 等) | 約6.41倍 | インフラ・施設警備の恒常的な人員不足 |
| 建設・採掘従事者 | 約5.02倍 | インフラ更新・技能者高齢化 |
| 建設躯体工事(中分類) | 約7.72倍 | 技能継承不足で慢性的需要 |
| 土木作業(中分類) | 約6.21倍 | 国土強靱化予算・公共投資 |
| 介護サービス | 約3.8〜4.2倍 | 高齢化で恒常的に人手不足 |
| 自動車運転(物流) | 約3.0〜4.0倍 | EC拡大・2024年問題の余波 |
| IT技術(エンジニア) | 約3.0〜3.5倍 | DX・AIで需要が拡大継続 |
| 看護・医療技術 | 約2.3〜3.0倍 | 病院・在宅医療とも慢性的に不足 |
注目は、人手不足職種が「現場系(建設・警備・物流・介護)」と「IT・AI系」に二極化していることです。前者は参入しやすく安定需要、後者は習得に時間がかかる分、年収の伸びが大きい。どちらを選ぶかは、後述する「自分の強みと需要の重なり」で考えます。
一方、民間調査でも傾向は似ています。2025年12月に行われたビジネスパーソン500人への調査では、「将来性があると思う仕事」の上位は看護師・介護職・医師と続き、ITエンジニアが4位、AIエンジニアが6位。対人サービス(医療・介護)とIT・AIの二軸が、現場感覚でも将来性が高いと認識されていることがわかります。
これから伸びる6大領域と年収レンジ(2026年)
需要のある職種は、見方を変えると「成長投資が集まる領域」でもあります。私が普段から相談を受ける中で、特に伸びが大きい6領域を年収レンジ付きで整理しました。
| 領域 | 代表職種 | 年収レンジの目安 |
|---|---|---|
| IT・テクノロジー | クラウド/セキュリティ/データ基盤 | 600〜1,200万円(年5〜15%上昇) |
| 生成AI関連 | AI導入コンサル/AI活用CS/プロンプトエンジニア | 600〜1,500万円(市場は2030年に約10倍予測) |
| GX(脱炭素)・エネルギー | 再エネPM/環境技術職/ESGアナリスト | 技術職450〜700万/PM職600〜1,200万円 |
| デジタルヘルス・ヘルステック | 医療×IT企画/ヘルステック営業/デジタル治療 | 500〜900万円(2026年国内約5,000億円規模) |
| SaaS・カスタマーサクセス | CS/インサイドセールス/FS | 400〜1,000万円(未経験参入しやすい) |
| 半導体・ディープテック | プロセス/回路設計/装置営業 | 500〜1,200万円(補助金・設備投資の追い風) |
特に私が注目しているのは、生成AIと既存職種の「掛け算」です。AIそのものを作る人材は限られますが、「AIを使って成果を出せる人」——AI導入コンサル、AI活用のカスタマーサクセスなどは、これから爆発的に需要が伸びます。実際、米国LinkedInの「2026年急成長職業」ランキングでも1位がAIエンジニア、2位がAIコンサルタントで、同じ流れが日本にも来ています。
SaaS領域の具体的な職種はスタートアップ採用ガイドもあわせてご覧ください。年収の伸び方は年収・手取りガイドで詳しく解説しています。
世界経済フォーラムが示す2030年までの職業予測
世界経済フォーラム(WEF)の「Future of Jobs Report」では、2030年までに世界で約1億7千万の新規雇用が創出され、9千2百万が消失し、差し引き約7千8百万の純増と予測されています。
創出が大きい領域と、消失が大きい領域を日本に当てはめると、次のように読み替えられます。
| 伸びる職種(創出側) | 縮む職種(消失側) |
|---|---|
| AI・機械学習スペシャリスト | 事務系の定型データ入力 |
| ビッグデータアナリスト | 銀行の窓口・会計補助 |
| 再生可能エネルギー技術者 | 郵便事務・レジ係 |
| サイバーセキュリティ | 書類整理・一般事務補助 |
| 看護・介護・保育 | 印刷・組版オペレーター |
消失側に出てくる職種は、いずれも「定型・単純・判断の少ない事務作業」。逆に、創出側は「非定型の判断」「対人サービス」「技術・分析」の3つに分類できます。定型事務の仕事を続けるなら、キャリアの耐久年数は確実に短くなる——これは率直にお伝えしておきます。
逆に縮小リスクのある業界
需要を語るなら、縮む側も正直にお伝えすべきです。以下は構造的に市場が縮小しているか、縮む見込みが強い業界です。
- 小売(実店舗中心):EC・無人化シフトで店舗オペレーション職が縮小傾向
- 教育(従来型):少子化で対象人口が構造的に減少(2040年までに18歳人口は約2割減)
- 印刷・紙メディア:デジタル化で市場が長期縮小
- 汎用的な事務・経理補助:RPA・AI化で業務量そのものが減少
- 銀行の窓口・個人営業:ネット銀行・BaaSで店舗網が縮小中
誤解しないでいただきたいのは、「これらの業界はダメ」ではないことです。縮む市場の中でもDX・新規事業に動いている企業は伸びています。重要なのは業界そのものより「その会社がどちらを向いているか」です。
縮む業界の中でも伸びる会社を見分ける4つの視点
- 直近3年の売上と営業利益が増加トレンドにあるか
- 経営トップの発信(決算説明資料・インタビュー)に「DX・新規事業・越境」が入っているか
- 中途採用の求人が、既存職種ではなく「DX推進」「事業開発」「データ」などの新規領域か
- 社員の年齢分布が偏っていないか(若手採用が止まっていないか)
この4点を公開情報で確認するだけでも、同じ業界の中で「伸びる側」「縮む側」のどちらに属する会社かが、かなりの精度で判別できます。
需要のある職種に「移れる人」と「移れない人」
| 観点 | 移れる人 | 移れない人 |
|---|---|---|
| 基準 | 需要×自分の強みの重なりで選ぶ | やりたいことだけで選ぶ |
| 学習 | 越境のために学び直す | 過去スキルだけで勝負しようとする |
| 時間軸 | 3年後の市場を見て動く | いまの肩書きにこだわる |
| 越境の仕方 | 隣接領域から滑らかに移る | いきなり完全未経験に飛ぶ |
| 情報源 | 1次情報(求人票・経営者発信)を読む | まとめ記事・ランキングを信じる |
| 相談相手 | 同業の経営者・現役プレイヤー | 同じ会社の同僚だけで決める |
未経験から需要のある職種へ移る4ステップ
ステップ1:自分の「移植可能スキル」を洗い出す
営業力・折衝力・数値管理・改善力などは、業界を越えて通用するポータブルスキルです。これが越境の足場になります。たとえば小売店舗長の「数値管理+人材育成+顧客対応」は、SaaSのカスタマーサクセスの「KPI管理+オンボーディング+顧客伴走」と直結します。
ステップ2:隣接領域を狙う
「営業→SaaSのカスタマーサクセス」「経理→ヘルステックの管理部門」「人事→HRテックの導入支援」のように、強みが活きる隣を選ぶと未経験ハンデが消えます。私の実感では、1段飛ばしの越境は年収が下がりやすく、2段飛ばしはそもそも通りにくいです。
ステップ3:伸びる企業をベンチャーから探す
伸びる領域は、大手より先にベンチャー・スタートアップが採用を増やします。選考スピードも早く、未経験可の求人もまだ存在します。ベンチャー転職完全ガイドで全体像を確認してください。
ステップ4:年代に合った戦い方をする
20代はポテンシャル、30代以降は越境元の実績が武器になります。年代別の戦略は年齢別転職ガイドを参照してください。
年代別・需要の捉え方(20代/30代/40代/50代)
| 年代 | 狙うべき領域 | 勝ち筋 |
|---|---|---|
| 20代 | IT・AI・SaaS・ベンチャーCS | 未経験でも「学習意欲×ポテンシャル」で突破。異業種からの越境がしやすい |
| 30代 | 生成AI活用/ヘルステック/GX/SaaS営業 | 既存スキル×伸びる領域で希少化。マネジメント経験があれば年収は維持しやすい |
| 40代 | 管理職ポジション/PMI・新規事業/AI導入推進 | 「現場実務+マネジメント+業界知見」の3点セットで差別化。CxO候補も視野 |
| 50代 | 顧問・社外取締役/伝統産業のDX推進/教育・人材育成 | 経験値を「若手にはできない役割」に変換。副業からの導線も有効 |
年代が上がるにつれて、「現場職」より「橋渡し役・翻訳役」の需要が増えます。たとえばAIを導入したい企業は、技術そのものを作る若手より、業界に詳しいベテランが「どこに使うか」を設計してくれるほうを強く求めている——これは40〜50代の方の相談でよく感じる傾向です。CXO転職ガイドも参考になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. やりたい仕事と需要のある仕事、どちらを優先すべき?
両者の重なりを狙うのが正解です。需要ゼロの「やりたい」は続きにくく、強みゼロの「需要」は苦しい。重なる一点を見つけてください。
Q2. AI関連は文系・未経験でも狙えますか?
狙えます。AIを「作る」のではなく「使って成果を出す」職種——導入支援、活用コンサル、AI活用CSは、対人力やドメイン知識が武器になります。むしろ現場感を持つ文系出身者のほうが導入支援では強いケースも多いです。
Q3. 安定と成長、どちらの需要を取るべき?
介護・建設・物流は安定需要、IT・AI・GXは成長需要です。安定志向なら前者、年収を伸ばしたいなら後者を、自分の価値観で選んでください。両立したい方は、安定需要の中でもDX推進ポジション(医療法人のIT統括、建設DXのPM 等)を狙うのが現実的です。
Q4. 40代から需要のある職種に移れますか?
移れます。完全未経験ではなく、これまでの実績が活きる隣接領域を選ぶのがコツです。マネジメント経験・業界知見があれば、CxO候補・部長職として伸びる領域に移れることも多いです。
Q5. 需要があるか個別に相談できますか?
もちろんです。ご経歴を伺えば、どの伸びる領域と相性が良いかを具体的にお伝えできます。
Q6. 給与の伸びが大きい職種を具体的に知りたいです。
直近で特に伸びているのは、AI導入コンサル、クラウド/セキュリティ、ヘルステックの事業開発、SaaSのエンタープライズセールスです。いずれも需要が供給を大きく上回っており、転職市場での年収交渉がしやすい状況です。
Q7. 需要のある職種に転職エージェントは必要ですか?
必須ではないですが、情報の非対称性が大きい領域ほどエージェントの価値は高くなります。特にAI・SaaS・ヘルステックは非公開求人が多く、エージェント経由でないと見えないCxO案件も多いです。選び方は転職エージェント選び方ガイドをご覧ください。
需要のある職種で「年収を伸ばす」考え方
需要のある職種に移っても、入り方を間違えると年収は伸びません。私が見てきた中で、需要を年収に変えられる人には共通点があります。
| 考え方 | 年収が伸びる人 | 伸び悩む人 |
|---|---|---|
| 市場の選び方 | 人手不足×単価が高い領域を選ぶ | 人手不足だが単価が低い領域に留まる |
| スキルの掛け算 | 既存スキル×伸びる領域で希少化 | 単一スキルで横並び競争 |
| 企業フェーズ | 伸びる企業に早く入る | 成熟企業で枠を待つ |
| 報酬の見方 | 年収+SO+賞与+昇給率で総額を見る | 基本給だけで比較する |
| 提案の仕方 | 役割と成果で金額を交渉する | 提示額をそのまま受ける |
たとえば「経理」という安定スキルも、ヘルステックやSaaSベンチャーの管理部門に持ち込めば希少人材になります。需要のある領域に「既存の強み」を掛け算するのが、年収を伸ばす最短ルートです。具体的な報酬設計は年収・手取りガイドを参照してください。
需要を見極める3つのチェックポイント
求人広告の「将来性あり」は当てになりません。私が候補者に伝えている、需要を自分で見極める実践的な視点は次の3つです。
- 求人倍率が1倍を大きく超えているか:人手不足の領域は、年齢・経歴のハンデが効きにくく、年収交渉もしやすい
- その需要は構造的か、一時的か:高齢化(介護)・脱炭素(GX)・DX(IT)のように10年単位で続く構造的需要を選ぶ。流行りの一時需要は数年で消える
- 賃金が上昇トレンドか:人手不足でも単価が上がらない領域より、年5〜15%昇給するIT・AIのような領域のほうが資産になる
この3点を満たす領域に、自分の既存スキルを掛け算できれば、転職は「運」ではなく「設計」になります。どの企業フェーズで入るかはベンチャー転職完全ガイドもあわせてご検討ください。失敗を避けるならベンチャー転職の失敗・後悔ガイドにも目を通してください。
成功事例と失敗事例
大手小売の店舗運営をしていた30代の方が、培ったオペレーション改善力を武器にSaaSのカスタマーサクセスへ越境。3年で年収が約1.5倍に。縮む市場の強みを、伸びる市場へ翻訳できた典型です。
銀行の法人営業で業界知識を蓄えていた30代前半の方が、生成AIサービスを扱うベンチャーのAI導入コンサルへ転身。顧客の業務プロセスを言語化できる強みが評価され、年収は維持しつつSO付きのオファーを獲得。
製造業で工場の生産管理を長年担当していた40代の方が、再エネスタートアップのPM職へ。設備投資・工程管理の経験が、太陽光/蓄電池プロジェクトのマネジメントに直結し、年収は約2割アップ。
需要のある職種を探すときに使うべきツール
最後に、需要を自分で確認するときに役立つ情報源をまとめておきます。無料で確認できるものばかりなので、相談前に目を通しておくと話が早いです。
- 厚生労働省「一般職業紹介状況」:有効求人倍率を職種別に確認できる1次情報
- 労働政策研究・研修機構(JIL)のコラム:職業分類ごとの倍率を解説つきで読める
- 世界経済フォーラム「Future of Jobs Report」:世界レベルで創出/消失する職種
- ビズリーチ・LinkedInのスカウト動向:市場からの引き合いを定点観測
- ベンチャー・スタートアップの採用公開求人:どの職種を今まさに増やしているか
まとめ:需要は「読む」のではなく「乗る」もの
27年見てきた実感として、キャリアで伸びる人は「やりたいこと」だけでなく「世の中が必要としていること」に自分を重ねるのが上手です。需要は予測するものではなく、データを見て早く乗るものです。
キープレイヤーズでは、伸びる領域のベンチャー・スタートアップ求人を多数扱っています。「自分の強みがどの市場で活きるか」を一緒に整理するところからご支援します。お気軽にご相談ください。
キープレイヤーズでは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートを実施しています。


コメント