「結婚相手にするなら年収500万円以上の人でないと!」「年収600万はないと子供は持てないよね」などという発言を、ニュースやネットで見かけることもあります。しかし、2021年における給与所得者の平均給与は443万円という結果が出ているなか、少々現実離れした意見のように感じます。
年収300万というと決して高収入とはいえませんが、間違った世論に圧倒されて自信を無くしてしまうほどの収入ではありません。この記事では年収300万円の生活がどのようなものか、また少しでも年収アップしたい人のために役立つ情報を紹介します。
年収300万円の手取り額と暮らしの実態
年収300万円の人はどのような生活ができるのでしょうか。年収300万の人の暮らしの実態を分析してみましょう。
年収300万円の手取り額は?
手取り額とは、社会保険料や税金などを差し引いて、実際に受け取れる金額のことを言います。年収300万円の人の手取り額は、約240万円です。月収は、ボーナスを考えなければ20万円ほどになります。
大企業でも初任給は額面で20万円前後に設定しているケースは多く、手取り20万を超えるのは入社数年目以降です。都市部であっても若い世代には一般的な範囲の給与水準といえるでしょう。
年収300万円の社会保険料と税額はどれくらい?
給与額面から差し引かれる項目は、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険などの社会保険料と、所得税や住民税などの税金です。ここでは、年収300万円を12ヶ月で割った、25万円を月額報酬として算出します。
【社会保険料】
・健康保険料
20等級で、40歳未満で介護保険の支払いがない場合は12,792円、40歳以上65歳未満では15,132円です。
・厚生年金保険料
16等級で、21,960円になります。
・雇用保険
雇用保険料率は業種にもよりますが、一般の事業における従業員負担率は0.3%です。そのため750円ほどになります。
社会保険料の従業員負担分を合計すると毎月35,502円(40歳以上65歳未満の場合は37,842円)、年間では426,024円(同454,104円)がかかることになります。
【税金】
・所得税
課税所得に応じて国から徴収される税金のことをいいます。課税所得とは基礎控除、配偶者控除、扶養控除など15種類の所得控除を引いた後の金額です。そのため、同じ給与であっても、人によって所得税の金額は変わります。仮に、独身者で所得控除が基礎控除(48万円)しかない場合を想定すると、年収300万円の所得税は55,650円。復興特別所得税(1200円)を合わせると56,800円になります。
次に住民税です。住民税は課税所得の10%と考えて良いでしょう。地域によって、均等割という課税対象の住民が一律に納める住民税がありますが、ここでは考慮しないことにします。上記の独身者の場合では住民税は20万円以上かかるとみておきましょう。
以上をまとめると、年収300万円の手取りは240万円ほどになると計算できます。
どれくらいの家賃が払える?
家計における家賃が占める割合は手取りの3分の1程度といわれています。つまり、年収300万円の人が無理なく暮らすためには、家賃の上限は約65,000円ということです。
ただし、年収1000万の3分の1と、年収300万の3分の1では、当然ながら金額が大きく異なります。手取り20万円から約65,000円を引くと、残りは13万円と少し。そこから通信費・光熱費・食費などを捻出していくのは、家族構成や地域の物価水準によっては少し心許ないかもしれません。
年収300万円の人が毎日の生活に余裕を持たせるためには、大きな固定費である家賃をできるだけ下げるのが決め手になりそうです。これから物件を探す場合は、立地や設備など、妥協できるところはできる限り妥協することが大切です。
可能であれば親族の土地家屋を使わせてもらったり、社宅などの利用を検討したりするなど、住居費を抑えるための手段を考えましょう。
住宅ローンは組めるの?
地域や時勢によっては、家を借り続けるよりも買ってしまった方が安くなる場合があります。特に日本は低金利が続いているので、今はローンを組みやすい状況といえるでしょう。
多くの人が利用するフラット35の金利は、融資率9割超の場合年率1.750%です。これを元に融資可能額を計算すると、年収300万円では1800万〜2000万円の融資を受けられます。この場合、月々の支払いは6万円程度になるでしょう。
ただし、年収300万円の人が頭金ゼロで35年ローンを組むためには、厳しい審査のハードルをクリアする必要があります。場合によっては金利が上乗せされてしまったり、金融機関やローン商品によっては審査が通らなかったりすることもあるかもしれません。
2022年現在は不動産価格が上がっているということも考え、一旦は焦らず頭金を貯める努力をする時期と考えても良いでしょう。また、無理してローンを組んで生活が苦しくなるよりも、賃貸住宅に住みながらゆとりのある暮らしをするのも良いかもしれません。
子供は育てられる?
2019年度国民生活基礎調査の概況によると、1世帯当たり平均所得金額は552万3千円でした。
「一世帯当たり」ということは、共働き家庭なども含めているということです。このうち、「児童のいる世帯」の平均所得金額は745万円と少々高めです。ただし、この金額には稼働所得の他に、児童手当や給付金、仕送りなども含まれているため、実際の給与所得としてはこれよりも少ない金額でしょう。それでも、年収300万円での育児は楽ではなさそうということがわかります。
子供にかける食費や教育費にゆとりを持たせるためには、配偶者が働きに出るなど、収入を増やす努力が必要かもしれません。ただし、母子世帯の所得平均は、児童のいる世帯平均の半分以下の306万円で子育てをしているという結果も出ており、現実には多種多様な「子育ての形」があると考えられます。
また、世帯主が18歳以上65歳未満で子どもがいる世帯の貧困率は、大人が一人の世帯で48.1%に登っている一方で、大人が二人以上の世帯では10.7%となっていることからも、二馬力以上で収入を得られる体制は大切といえそうです。
年収300万円の収入帯は普通?
現代日本において、年収300万円は一般的な収入帯です。庶民的とはいえ、ごくごく一般的な生活が送れるといって良いでしょう。ここでは、年収300万円がどのようなポジションに位置するのか、データから見てみましょう。
年収300万円の人はどれくらいいるの?
国税庁「民間給与実態統計調査(2019年分)」によると、1年を通じて勤務した給与所得者のうち、平均給与が300万円〜400万円以下の人が17.0%と最も多く、次いで200万円〜300万円以下の人が14.9%でした。このデータからわかるように、年収300万円は給与所得者のボリュームゾーンといえるでしょう。
一般に平均年収は女性よりも男性の方が高くなる傾向があります。男性では400万円〜500万円以下の人が最も多く、その次に多いのが300万円〜400万円以下の人です。 一方、女性では、100万円〜200万円以下が最も多く、その次に多いのが200万円超300万円以下の人でした。
年収300万円は男女全体で見ればごくごく普通ではありますが、男性の場合は「もう少し上げたいな」と感じやすい収入帯かもしれません。
都市部と地方で認識は違う!
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」では、調査月に18日以上勤務しているなどの要件を満たした労働者について、月の賃金額を集計しています。
この調査における月の賃金額の全国平均は30万7000円でした。「都道府県別にみた賃金」によると、最も賃金が高いのは東京(36万4000円)で、神奈川(33万6000円)、大阪(32万6000円)と続きます。このデータを見ると、平均よりも高い賃金が得られるのは、東京をはじめとした都市部ということがわかります。
一方で、最下位になってしまった宮崎(24万4000円)や、青森(24万5000円)、秋田(24万7000円)のように、地方においては、フルタイムで働いても年収300万円に届かない人も多くいるようです。
これは、地域によって最低賃金に差異があることはもちろんですが、地方に大規模企業が少ないことが理由の一つに挙げられます。なぜなら、企業の資本金額が大きくなるほど従業員の給与水準も上がることがわかっているからです。現に、大手自動車関連企業が集まる愛知県は東海地方では突出して賃金が高くなっています。
このように、住んでいる地域によって、「年収300万円」への認識は大きく異なります。都市部のように物価も地価も高いところで暮らすのは心許なくても、地方で暮らすには十分な年収であるといえるでしょう。
年収300万円の人の生活レベルをシミュレーション
ここでは、年収300万円の人の生活レベルを以下の4つの状況ごとに解説します。
- 一人暮らし
- 実家暮らし
- パートナーとの二人暮らし
- 結婚して子供が一人いる
手取り額20万円で計算してみるので、参考にしてみてください。
h3.一人暮らしの場合
一人暮らしの場合のシミュレーション | |
家賃 | 5万円 |
水道光熱費 | 1万円 |
食費 | 3万〜4万円 |
通信費 | 1万円 |
交際費 | 2万円 |
趣味・娯楽費 | 2万円 |
雑費・その他 | 1万円 |
生活費の合計 | 16万円 |
貯金額 | 4万円 |
年収300万円で一人暮らしをする場合は、なるべく節約を心がけることをおすすめします。
節約しやすい項目は、家賃、水道光熱費、食費、通信費です。特に趣味や娯楽にお金を使いたい人は、なるべく節約しないと貯金までお金をまわせないでしょう。
h3.実家暮らしの場合
実家暮らしの場合のシミュレーション | |
家賃 | 0円〜3万円(実家にお金を納めることを考慮) |
水道光熱費 | 0円 |
食費 | 2万〜3万円 |
通信費 | 5千〜1万円 |
交際費 | 2万円 |
趣味・娯楽費 | 4万円 |
雑費・その他 | 1万円 |
生活費の合計 | 10万〜14万円 |
貯金額 | 6万〜10万円 |
実家暮らしのメリットは、家賃や水道光熱費といった生活に関する費用の負担が減らせることです。そのため、趣味・娯楽に使えるお金が多く、貯金もしやすいでしょう。
実家にいくらか生活費を納めるとしても、一人暮らしをするよりは自由に使えるお金が多くなるので、実家から職場へ通える場合にはおすすめです。
h3.パートナーと二人暮らしの場合
パートナーと二人暮らしの場合のシミュレーション | |
共働きで、パートナーは毎月15万円の収入があると想定 | |
家賃 | 7万円 |
水道光熱費 | 1万5千円 |
食費 | 5万円 |
通信費 | 1万円 |
交際費 | 3万円 |
趣味・娯楽費 | 4万円 |
雑費・その他 | 2万円 |
生活費の合計 | 23万5千円 |
貯金額 | 11万5千円 |
年収300万円の収入だけでは、二人が生活するだけの費用をまかなえないため、共働きは必要です。パートナーの収入状況を考慮して、必要な生活費と貯金額を算出することが大切です。
結婚や出産を考えている場合には、将来的なことも考えて節約と貯金をするようにしましょう。
h3.結婚して子供が一人いる場合
結婚して子供が一人いる場合のシミュレーション | |
共働きで、パートナーは毎月15万円の収入があると想定 | |
家賃 | 7万〜8万円 |
水道光熱費 | 2万円 |
食費 | 5万円 |
通信費 | 1万5千円 |
交際費 | 3万円 |
生命保険・医療保険 | 1万5千円 |
趣味・娯楽費 | 3万円 |
雑費・その他 | 2万円 |
生活費の合計 | 26万円 |
貯金額 | 9万円 |
結婚して子供ができた場合には、子供にかかるお金が増えるため、パートナーにもしっかり稼いでもらう必要があります。日々の節約に加えて、使える助成金などを調べてみましょう。
年収300万円が受けられる補助や手当
年収300万円は、さまざまな公的な補助や手当が受けられる収入帯です。手取り金額以上に豊かな生活が送れるといわれるのも、利用できるサービスが多いせいかもしれません。ここでは年収300万円の人が受けられる補助や手当について解説します。
保育園が安く利用できる!
年収300万円は子育て関連では特に「得する」収入帯です。そもそも、2019年10月より開始した「幼児教育・保育の無償化(幼保無償化)」制度があるため、一般的な保育園・幼稚園の3〜5歳児クラスに通う場合の保育料は基本無料です。私立幼稚園を利用する場合もプラス数千円で済む場合が多いでしょう。
ただし、幼保無償化制度は0〜2歳児クラスには適用していないため、2019年以前同様保育料を支払わなくてはなりません。認可保育園の保育料は地域によって異なりますが、いずれも月の利用料は世帯の住民税額(所得)に応じて決定されます。
例えば、東京都武蔵野市の場合、世帯年収350万円の保育料は12,500円、500万円では19,000円、650万円では27,000円、800万円では46,800円、1,000万円では58,500円、というように、年収が多ければ多いほど、認可保育園の利用料は高くなります。年収が300万円の場合、どの地域でも一番安い料金で利用できるので、子供が0〜2歳のうちの職場復帰も検討しやすいでしょう。
児童手当は強い味方!
年収300万円に限らず、児童手当は幅広い世帯が受給できますが、子供がいるだけで毎月もらえる手当は、年収300万円の家計に大きな意味を持つでしょう。
児童手当で受け取れる金額は、3歳未満一律15,000円、3歳〜小学校修了前10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生一律10,000円です。月1万円であっても節約して捻出しようと思えばとても大変なことです。子供の人数にもよりますが、税金が引かれない10万円以上が純粋に収入プラスされるのは非常に助かります。年収300万円で育児をする家庭にとっては、児童手当は心強い味方になるはずです。
高等学校等就学支援金で高校の学費も大丈夫!
高等学校に通う子どもがいる家庭は、高等学校等就学支援金を受け取ることができます。公立高校だけではなく、私立高校、高等専門学校、高等専修学校、中等教育学校(4~6年)などに通う生徒も対象になるので、教育費が心許なくても、子供にはしっかりと高校に進学させてあげることが可能です。
支給額は公立高校は年額11万8,800円まで、私立高校は最大で年額39万6,000円までとなっています。この支援金は授業料と相殺されるので、「高校授業料実質無償化」ともいわれています。
ただし高等学校等就学支援金が適用されるのは授業料のみです。高校に通うためには、修学旅行費や教科書代、PTA会費、制服代などが必要であり、年収300万円の家庭にとっては大きな負担になるかもしれません。
そのようなときは、高校生等奨学給付金制度が利用できないか確認してみましょう。この制度は、授業料以外の教育費の支援をする制度です。高校生等奨学給付金制度の対象者は、生活保護の受給世帯もしくは、住民税所得割非課税世帯のみなので、年収が270万円未満でなければ適用されません。
通常の年収は300万円でも、その年によって変動があったり、コロナ禍で賃金が下がってしまったりといった状況がある場合は利用できるかもしれません。
いざというときは就学援助制度も!
就学援助制度とは、公立小中学校に通う子供を養育する家庭が、経済的な事情で就学が困難である場合に、学用品費や給食費など就学にかかる費用の一部を援助する制度です。対象となるのは以下のような家庭です。
- 生活保護(教育扶助)を受けている世帯(要保護世帯)
- 生活保護を受けている世帯に準じると認められる世帯(準要保護世帯)
年収300万円の家庭は上記のどちらにも属しませんが、以下のような生活状況から判断して適用される場合もあります。
- 失業・休業・死亡などで収入が著しく減少した場合
- 病気・災害のような特段の事情がある場合
もしもの時に子供のためのセーフティーネットとなる制度として覚えておくと良いでしょう。
高額医療費も心配しすぎることはない!
将来の病気に備えて、医療保険に加入する必要性を感じる人は少なくありません。最近ではネット保険など手頃な保険料で加入できる医療保険も増えています。しかし、年収300万円の家計にとっては、たった数千円でも保険料は重い負担となる可能性があるので注意です。
医療保険に入れなかったとしても、健康保険には高額療養費制度があります。高額療養費制度とは、ひと月のうちに医療機関や薬局に支払った金額が上限額を超えた場合、その超えた金額を支給する制度です。つまり、どんなに医療費がかかっても、一定金額以上は医療費の負担がなくなるのです。年収約370万円までの人は、医療費の上限は57,600円です。
世帯合算や多数該当と呼ばれる、さらに負担を下げる制度もあるため、医療費が支払えなくて高額な医療が受けられないといったリスクは低いでしょう。
ただし、いくら金額の上限が定められているとはいえ、ひと月57,600円は大金です。また入院時の食費負担や差額ベッド代などは含まないため、大きな病気に罹ればそれなりの出費は覚悟しなければならないでしょう。高額療養費制度のことを頭に入れつつ、負担軽減になるような安価な医療保険を検討するのがおすすめです。
結論!年収300万円の人の暮らし
年収300万円の月の手取りは20万円程度ですが、この数字を多いと見るか、少ないと見るかは、地域、家族構成、住宅事情などによって大きく変わることがわかりました。
例えば、物価の安い地方で、安い賃貸住宅に住む独身者であれば、年収300万円はゆとりある生活ができる収入帯です。また、家庭を持った場合も、家賃などの固定費を増やし過ぎなければ暮らしていくことは十分可能でしょう。子供を持った場合も、公的な補助や制度のおかげで、十分な教育を受けさせることもできます。
さらに、年収300万円に見合った暮らしをしながら、夫婦で共働きをすれば生活はどんどん良くなるはずです。年収300万円は、決して人生を悲観的になる収入帯ではないということです。
年収300万円稼げるのはどんな職種?
年収300万円は「この仕事だからこれだけ稼げる」という事例が挙げにくい収入帯です。上述の通り、地域や年齢によって給与水準が異なるため、東京で年収400万円の仕事が年収300万円であったり、同じ職種でも若手のうちは年収300万円だったりするからです。ここでは、年収300万円の人の実態を掴みやすくするため、平均年収が年収300万円程度の職種を紹介します。
事務職
一般的な事務職のイメージは、厳しいノルマなどがなく、基本的にはデスクワーク、定時で帰れる、など比較的ラクな仕事といったところでしょう。事務職に従事するのは女性が多く、出産育児などで業務を離れがちなこともあり、大きな昇給や昇進は狙いにくい職種です。実際に、事務職の年収は300万円台でほぼ固定され、年齢や勤続年数に応じて昇進・昇給がしにくいといえます。
事務職といっても、一般事務から貿易事務、医療事務、パラリーガルと呼ばれる法律事務まで多種多様な仕事があります。このうち、特に年収が低くなりがちなのが一般事務や営業事務です。勤続年数を積んだとしても、よほど大企業でもなければ400万円に届くか届かないかといったところです。また、資格講座などで人気の医療事務もそれほど収入アップが見込めるとはいえないようです。大病院では賃金が高いなど、勤務場所によって賃金水準が大きく異なるというデータもあります。
一方、貿易事務は語学力や法知識などが必要とされるため事務職全体で見ても高めの年収です。法律事務になると、知識量によって専門職の域になるため、事務職の中では高年収を目指せるといえるでしょう。事務職が収入アップを目指すためには、専門性に特化するのがポイントかもしれません。
飲食関連
飲食業はサービス業全体と比べても収入が低めであり、業界平均年収は300万円台です。理由としては、飲食事業の利益率の低さが挙げられます。コストをギリギリに抑えようとするため、従業員の働き方も厳しいものとなり、離職率の高さにも拍車をかける悪循環に陥っている業界ともいえます。また、ここ数年はコロナ禍で大きな打撃を受けた業界でもあり、大変な思いをしている事業者も少なくありません。
ただし、飲食業でも、大規模なチェーン店などは企業体力もあり、従業員の働きに見合った賃金を還元することが可能です。転職が多い業界でもあるため、中途入社の受け入れをしている企業も多く、より良い職場・条件が目指しやすい業界といえるでしょう。
営業職
営業職の年収は、扱う商材や働き方によってかなりの差があります。営業職といっても、新規開拓営業や反響営業、ルート営業など、営業手法はさまざまであり、給与体系も歩合制や固定給などがあります。
例えば、不動産営業など、高収入の事例が多く語られる営業職不動であっても、全く成果をあげられない月の給与は大きく下がる場合もあるでしょう。このように、営業職にはゴリゴリの1000万プレイヤーもいれば、既存の顧客との関係を大切にするゆったりした働き方も存在するのです。そのため、年収300万円ほどの営業職は少なくないと考えられます。自分に合った働き方であれば、無理なく成績を伸ばすことができるでしょう。
技術職
ものづくり大国日本を支えるさまざまな技術分野のスキルが発揮できる職種です。技術職の分類によって、必要なスキルや専門性、難易度は異なります。大きく分けると、メディカル・化学・食品の分野、建築・土木の分野、IT・通信の分野、電気・電子・機械の分野などがあります。それぞれ経済活動にとってはなくてはならない大切な職種ですが、平均年収は300万〜400万円ほどです。
これは、技術の習得に年数を要し、それまでの間は賃金が上がりにくいことが一因しています。また、同じ技術分野に従事していても、スキルが向上したり専門性に特化したりすることで賃金が上がる、完全な実力主義の世界だからといえるでしょう。つまり、自身の適性にマッチした技術分野であれば、じっくり腰を据えて働くことで収入アップが目指せるでしょう。
年収300万円の人が収入アップする方法
企業に所属し、しっかりと年収300万円を稼げている人ならば、収入アップはそう難しくありません。収入を上げるためには、今の自分を客観視し、得意なものは何か、足りないものは何か、分析することが大切です。年収300万円の人には、社会人としての基礎的な能力は身に付いているはずなので、「今の自分に足りないものを補う」ことをテーマに、収入アップのためにできることを考えていきましょう。
資格を取得する
いきなり難しい取得にチャレンジするのではなく、現在の仕事がワンランクアップできるような資格取得を検討しましょう。基本給は変わらなくても、企業によっては資格手当がプラスされるかもしれません。また、挑戦する姿は誰の目にも好印象に映るものです。資格へのチャレンジが思わぬ人事上の高評価や、新しい仕事を任せてもらうきっかけになるかもしれません。もし、将来的に転職を考えている場合も、強い武器となるでしょう。
転職を考える
我が国は少子高齢化による労働人口不足に直面しています。すでに深刻な人材不足に陥っている業界も多いため、転職しやすいタイミングともいえます。現在所属している企業に、将来的な希望を見いだせない場合などは、しがみつくよりも見切りをつけて転職してしまった方が年収アップにつながるかもしれません。
副業をする
収入を増やしたい場合、今の仕事の他に別の仕事を持つのも一つの手です。最近では、働き方の多様性が提唱されているため、従業員の副業を許可する企業は増えています。家でもできる業務であれば体力的な負担は少ないので、ちょっとしたものから挑戦してみると良いかもしれません。副業を通じ、これまで携わったことのない仕事を経験したり、人脈を作ったりすることもできるでしょう。
収入アップを狙えるのはこんな仕事!
一気に収入アップできる魔法のような仕事は存在しませんが、今よりも収入を上げやすい仕事を知っておくことでより効率的な転職活動ができるはずです。ここでは、年収300万円の人にとっての収入アップの近道となるキーワードを紹介します。
IT業界に挑戦するなら今
IT人材は慢性的に不足しているため、スキルを身につければ希少性の高い人材として重宝されます。最近では、入社後の指導や研修によって一人前に育て上げる前提で未経験者を採用する企業も少なくありません。今現在ITのスキルがなくても、挑戦しやすく、その後も同じ業界で活躍できるという点で魅力的です。
歩合制の給与体系に挑戦する
営業職などでは、契約数や売上によって一定額が給与に上乗せされる制度を導入している企業があります。スキルと適性によっては、やればやるだけ稼げる働き方ができるかもしれません。ただし、歩合制の場合、固定給は一般よりも低い水準に設定されていることが多いので、成績を上げられなければ給与は前職よりも下がってしまう可能性があります。仕事内容やノルマの方針が理に適っているか、自分にこなせそうかをしっかり考えることが大切です。
管理職に早くなれる職種を選ぶ
飲食などのサービス業は、従業員を比較的早く管理職に登用する傾向があります。また、ベンチャー企業やスタートアップなどの小さな新しい組織では、積極性が認められれば、早いうちから責任ある立場を任せてもらえるかもしれません。
管理職として現場を任されるようになれば、管理職手当などで収入アップが狙えるでしょう。また、店舗や組織をマネジメントした経験は、次に転職する際にもアピールポイントになります。
ただし、管理職になれば、売上や従業員管理に対して責任の程度が大きくなり、労働時間も長くなる可能性が高いです。ワークライフバランスを考えて、無理のない範囲で挑戦することが重要です。
転職エージェントサービスにアドバイスをもらおう
転職を検討しているなら、キャリアコンサルタントやキャリアアドバイザーに相談するのが一番の近道です。現状は年収300万円でも、個性やスキルを深掘りしていけば、もっと高収入の仕事を目指せる要素が見つかるかもしれません。キャリアコンサルタントやキャリアアドバイザーとの相談のなかで、自分自身も知らなかった「転職市場における自分の価値」を知ることが大切です。
また、転職エージェントサービスはハイスキルな人材やハイキャリアな人材向けだと思っている人は多いですが、そうでなくてもサポートが受けられる転職支援サービスは存在します。ここでは年収300万円の人が利用しやすい転職エージェントサービスを紹介します。
JAIC(ジェイック)
出典:JAIC
JAICは、フリーター・未経験・既卒・大学中退の人向けに特化した就職支援会社です。書類選考無しで面接できる求人を多く取り揃えているため、経歴に自信のない人や、面接の場数を踏みたい人にも最適です。
対象年齢が18〜35歳までなので、比較的若い人が今よりも良い職場に転職したい時に利用されています。また、ビジネスマナーをいちから学び直せる就職支援講座もあるので、自信を持って転職活動に望むことができます。
ハタラクティブ
出典:ハタラクティブ
ハタラクティブは、フリーターや第二新卒など、キャリアに自信がない方に特化した転職エージェントです。求人の紹介以外にも、キャリアアドバイザーによるキャリア相談、面接対策、履歴書の書き方などのサポートを無料で受けることができます。
ハタラクティブの魅力は、高い内定率です。内定率は80.4%にも及ぶと言われており、大企業に就職を決めた人も少なくありません。ただし、東京・神奈川・埼玉・愛知・大阪・福岡などの都市部エリアが中心なので、地方の求人には少し弱いかもしれません。
就職Shop
出典:転職Shop
就職Shopは、未経験からでも正社員への就職にチャレンジできるリクルート運営の転職支援サービスです。
若手向けの求人が多いため、新しい職種にチャレンジしたい20代などに向いているでしょう。紹介される企業は審査をクリアした優良企業ばかりで、書類選考なしに面接に進めるのも嬉しいポイントです。リクルート運営というだけあってキャリアアドバイザーの質も高く、親身な姿勢で相談に乗ってもらえます。
まとめ
年収300万円は決して高収入とはいえませんが、日本全体で見れば一般的ともいえる収入帯です。公的な補助制度を積極的に利用し、固定費の支出を抑えていけば、家族を持ち、豊かな家庭を築き上げることも可能です。
また、年収300万円を稼ぎ出す能力は、就職市場全体で見ればとても貴重です。自分自身が知らないだけで、多くの可能性を秘めている人が多いのもこの収入帯の特徴です。
努力や挑戦が収入アップにもつながりやすいため、高い意識で自分のキャリアをデザインしていきましょう。
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