IPO準備企業への転職ガイド【2026年最新版】N-3〜N期の実態・職種別求人・年収とストックオプションのリアルを高野秀敏が解説

執筆者:高野秀敏
株式会社キープレイヤーズ/代表取締役
東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、12,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。80社以上の投資、9社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。178社上場支援実績あり。顧問、アドバイザー、社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。「ベンチャーの作法」ダイヤモンド社5万部を超えるベストセラー

こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職支援を約25年続けているキープレイヤーズの高野です。

「IPO準備企業に転職したいのですが、実際どうなんでしょうか」——ここ2〜3年で明確に増えた相談です。上場を目指すフェーズの会社に入って、ストックオプション(SO)を持ち、上場を経験する。魅力的に見えるキャリアですが、私が毎年見ている現実として、IPO準備企業に入った方の体感で3〜4割は「予定していた期に上場できなかった」経験をしています

まず市況の一次データを置きます。東京証券取引所の集計によれば、2025年1〜12月の国内IPOは66社で、前年比20社減。2013年以来の低水準でした。市場別の内訳はプライム7社、スタンダード12社、グロース41社、その他6社。さらに象徴的なのが、2025年はTOKYO PRO Marketの新規上場46社がグロース市場の41社を初めて上回ったことです。国内スタートアップの資金調達も2025年上半期は3,810億円(前年同期比▲26.2%)と減速しており、「上場の門は明確に狭くなっている」というのが2026年時点の前提です。

それでも私がIPO準備企業への転職を止めないのは、このフェーズでしか手に入らない経験があり、しかも人材需要は市況と逆行して強いからです。この記事では、①N-3期〜N期の各フェーズで何が起きるか/②職種別の求人ニーズと求められる要件/③年収相場とSOのリアルな期待値/④メリット・デメリット/⑤向いている人・向いていない人/⑥転職ステップ6段階/⑦入社前の見極めチェックリスト10項目/⑧失敗パターン5つ/⑨年代別戦略/⑩FAQ8問——を整理します。

目次

IPO準備企業とは:N-3期からN期までの3〜4年間

IPO準備企業とは、証券取引所への新規上場を目指して社内体制の整備を進めている未上場企業のことです。準備には一般的に3年前後かかり、上場申請期を「N期」として逆算した呼び方をします。

フェーズ 主にやること 採用の中心 忙しさ SOの取りやすさ 頓挫リスク
N-3期以前 CFO着任、監査法人の予備調査、資本政策の設計 CFO、管理本部長、経理責任者 ◎(最も有利) 高い
N-2期(直前々期) 監査対応開始、規程整備、内部統制の構築、労務管理の是正 経理、内部監査、法務、人事、情シス 高い 中〜高(ここで止まる会社が多い)
N-1期(直前期) 主幹事証券の引受審査、Ⅰの部作成、予実精度の担保 開示担当、IR、経理実務者、事業側の売上責任者 非常に高い △(付与枠が絞られる)
N期(申請期) 上場申請、取引所審査、ロードショー、上場 IR、開示、事業拡大の即戦力 非常に高い ×〜△ 低〜中(延期はある)
上場後 四半期開示、成長ストーリーの実行 全方位。特に事業側とM&A 高い ×(有償SO/RS中心に)

重要なのは、「N-3期」「N-2期」という呼び方は、あくまで会社の計画上のものだという点です。私の感覚では、N-2期を名乗る会社のうち、宣言どおりの期に上場できるのは半分程度。残りは1〜2年後ろ倒しになるか、そのまま準備を止めます。この現実を織り込んだうえで意思決定してください。

なぜ今、IPO準備企業は採用を強化しているのか

IPO件数が減っているのに求人が減らない。この一見矛盾した状況には、はっきりした理由があります。

  1. 審査が厳しくなり、必要な管理人材が増えた:内部統制・労務・情報セキュリティの審査水準が上がり、N-2期時点で必要な人員が以前より増えている
  2. 上場が後ろ倒しになった分、準備期間が長期化した:本来2年で終わる準備を3〜4年やる会社が増え、その間ずっと人が要る
  3. 「上場できる会社」に人材が集中している:投資家がグロース重視から収益性重視に転換したため、黒字化と成長を両立できる会社に採用予算が集中
  4. TOKYO PRO Marketという別ルートが増えた:2025年に46社が上場したTPMは審査基準が異なり、中堅企業の上場準備需要を生んでいる

つまり、市況が悪いからこそ、上場準備を本当にやり切れる会社に人材ニーズが集中しているという構図です。裏を返せば、会社選びの精度がこれまで以上に重要になっています。

職種別:IPO準備企業の求人ニーズと求められる要件

職種 着任の目安 求められる経験 未経験からの難度
CFO N-3期〜N-2期 IPO経験、資本政策、証券・監査法人との折衝 非常に高い
管理本部長 N-3期〜N-2期 経理・人事・法務・総務の横断統括 高い
経理マネージャー・実務者 N-2期 連結決算、月次早期化、監査対応 中(事業会社経理からの転身が最多)
開示・IR担当 N-1期〜N期 Ⅰの部・有報作成、決算説明資料 中〜高
内部監査 N-2期 J-SOX、監査法人・コンサル出身が有利
法務・コンポラ N-2期 契約審査、規程整備、株主総会運営
人事(労務) N-2期 労務是正、就業規則、勤怠管理の再構築 中(労務経験があれば十分狙える)
情シス・セキュリティ N-2期 アクセス権管理、IT統制、ログ管理
事業側(営業・PdM・エンジニア) 全期 予実を外さない実行力 低〜中(最も門戸が広い)

誤解されがちですが、IPO準備企業=管理部門の求人、ではありません。上場審査で最も重視されるのは「事業計画の合理性と達成確度」であり、売上を計画どおりに積む事業側の人材こそ、実は最も切実に求められています。管理部門経験がない方も、ここから狙えます。

CFOポジションを狙う方はスタートアップCFOのキャリアガイド、CxO全般の設計はCXO転職ガイドを併読してください。

年収相場:フェーズと職位でここまで違う

私が実際に扱っている求人の肌感です。地域・業種・調達額で幅は出ますが、目安として使えます。

ポジション N-3〜N-2期 N-1期〜N期 上場後
CFO 1,000〜1,800万円+SO 1,200〜2,000万円 1,500〜2,500万円
管理本部長 900〜1,400万円+SO 1,000〜1,500万円 1,100〜1,600万円
経理マネージャー 700〜1,000万円+SO 750〜1,100万円 800〜1,200万円
開示・IR 700〜1,100万円 800〜1,300万円
内部監査 650〜950万円 700〜1,000万円 750〜1,100万円
人事(労務) 550〜850万円+SO 600〜900万円 650〜950万円
事業責任者クラス 800〜1,300万円+SO 900〜1,400万円 1,000〜1,600万円

ポイントは、N-3〜N-2期は現金報酬が抑えめな代わりにSOが厚く、N-1期以降は現金報酬が上がる代わりにSOが薄くなるという構造です。どちらを取るかは、家庭の固定費とリスク許容度で決めるべきで、正解はありません。年収の考え方全般は年収・手取りガイドにまとめています。

ストックオプションのリアル:期待値を正しく持つ

ここは最も誤解が多いところなので、率直に書きます。

SOで得られる金額の考え方

SOの期待値は、単純化すると「付与株数 ×(想定上場時株価 − 行使価額)× 上場確率 × 残存確率」です。多くの方が最初の2項だけを見て、後ろの2項を見落とします。

  • 上場確率:N-2期を名乗る会社が予定どおりに上場する確率は、私の体感で5割前後
  • 残存確率:SOは通常「上場まで在籍していること」が行使条件。途中で辞めれば原則ゼロ
  • ベスティング:付与から2年経過後に一定割合ずつ、という条件が付くのが一般的
  • ロックアップ:上場後180日程度は売却できない期間が設定されることが多い

必ず確認すべき5点

  1. 付与株数と、発行済株式総数に対する比率(「何株」ではなく「何%」で聞く)
  2. 行使価額(直近ラウンドの株価と比べて何倍か)
  3. 税制適格か非適格か(適格なら売却時に譲渡所得約20%、非適格だと給与所得課税で最大55%)
  4. ベスティング条件と、退職時の扱い
  5. SOプール全体の残枠(残枠が少なければ、後から追加付与は期待しにくい)

私が繰り返しお伝えしているのは「SOは0円になっても生活が成り立つ条件で入りなさい」ということです。SO込みで年収を計算して転職した方が、上場延期で身動きが取れなくなるケースを何度も見てきました。詳しくはストックオプションと転職、失敗事例はストックオプションで後悔しないためにをご覧ください。

IPO準備企業に転職するメリット5つ

  1. 再現性のあるスキルが最短で身につく:内部統制構築、開示書類作成、監査対応は、一度経験すれば他社でも通用する。特に管理部門では、この経験の有無が生涯年収を変えます
  2. 市場価値が明確に上がる:「IPO経験者」は求人票の必須要件に書かれるほど希少。次の転職で選択肢が跳ね上がります
  3. 経営に近い距離で仕事ができる:数十名〜百数十名規模なので、社長・CFOと日常的に議論しながら意思決定できる
  4. SOによる上振れの可能性:上場すれば数百万〜数千万円のリターンになりうる(ただし上記の前提つき)
  5. 年功序列がない:30代で管理部長、20代で開示担当という抜擢が普通に起きます

IPO準備企業に転職するデメリット5つ

  1. 上場できない可能性が現実的にある:2025年のIPOは66社で2013年以来の低水準。準備中止・延期は日常茶飯事です
  2. N-2期〜N-1期の業務負荷が重い:監査対応と日常業務が並走し、繁忙期は相当ハードになります
  3. 整っていないものを整える仕事が中心:仕組みを使う側ではなく作る側。マニュアルはありません
  4. 現金年収は下がることがある:特にN-3〜N-2期は、大手からの転職だと2〜3割ダウンもあります
  5. 上場後に役割が変わる:「作る人」から「回す人」への転換に適応できず、上場後1〜2年で辞める人も少なくありません

向いている人・向いていない人

向いている人 向いていない人
ルールや仕組みを「作る」ことに面白さを感じる 整った環境で専門性を深めたい
職種の垣根を越えて動ける 職務記述書どおりの範囲で働きたい
SOが0円でも成り立つ生活設計ができている SOを年収の一部として計算している
計画が2年後ろ倒しになっても耐えられる 明確な期限とゴールが必要
監査法人・証券会社との折衝を楽しめる 社外との調整業務にストレスを感じる
「上場」ではなく「事業」に興味がある 上場そのものが目的化している

最後の行が本質です。上場はゴールではなく資金調達の手段であり、上場後の方が長い。ここを取り違えている方は、上場した瞬間にモチベーションを失います。

他の選択肢との比較:IPO準備企業はどこに位置するのか

「ベンチャーに行きたい」と相談に来られる方の多くは、実はIPO準備企業・上場後グロース企業・メガベンチャー・大手企業の4択で迷っています。整理しておきます。

比較軸 IPO準備企業(N-3〜N-1期) 上場直後のグロース企業 メガベンチャー 大手企業
現金年収 △(下がることも)
株式報酬の上振れ ◎(SO) △(有償SO・RS) ×
裁量・意思決定への距離 ×
雇用の安定性
仕組みの整備度 ×(自分で作る)
市場価値の伸び方 ◎(希少経験)
向く年代 20〜30代中心 全年代 全年代 全年代

IPO準備企業は「裁量・市場価値・株式報酬」を取りにいく代わりに、「安定性・仕組み・現金年収」を差し出すポジションです。どれが優れているという話ではなく、いま自分が何を積み増したいかで決めるべきです。大手との比較で迷っている方は大手企業とベンチャーの比較も参考になります。

上場準備の現場で実際に起きる3つのこと

求人票には書かれない、現場のリアルを3つだけ書いておきます。ここを知らずに入って驚く方が多いところです。

1. 過去にさかのぼって整えるので、最初の半年は「掘り起こし」

監査は過去2期分をさかのぼって見ます。つまり入社後まずやるのは、数年前の契約書・議事録・稟議・給与台帳を探し出して、整合を取る作業です。地味ですが、ここを丁寧にやれる人が最も感謝されます。

2. 「証券会社の指摘で方針が変わる」ことが日常的に起きる

主幹事証券の引受審査部からの指摘は、事実上の決定事項です。自分たちで決めたはずのルールが、外部の指摘で一晩でひっくり返る——これに耐えられるかどうかは適性の分かれ目です。

3. 事業側と管理側の緊張が必ず高まる

売上を積みたい事業側と、統制を効かせたい管理側は、N-1期に必ずぶつかります。私が見てきた中で上場をやり切った会社は、例外なくここを社長が調停していました。面接で「事業と管理が対立したとき、どう決めていますか」と聞いてみてください。答え方に会社の成熟度が出ます。

職務経歴書で見られるポイント

IPO準備企業の書類選考では、「規模」ではなく「整備の経験」が見られます。私が添削でよく指摘するのは次の3点です。

  • 「何人の組織で」ではなく「何がない状態から何を作ったか」を書く:制度・規程・フロー・数値管理のいずれかで、ゼロから作った経験を具体的に
  • 数字は「担当した規模」ではなく「改善幅」で書く:例)月次決算を12営業日→5営業日に短縮、勤怠の申請漏れ率を◯%改善
  • 職種の越境経験を隠さない:「経理だけどSFAの運用も見ていた」は、IPO準備企業では強い加点材料です

ベンチャー向けの書き方全般はベンチャー転職の職務経歴書にまとめています。

転職ステップ6段階

  1. 自分の「持ち込める型」を言語化する——経理なら月次早期化、人事なら労務是正、事業側なら予実管理。IPO準備企業は「型を持ち込める人」を求めています
  2. フェーズの希望を決める——SO重視ならN-3〜N-2期、確実性重視ならN-1期以降
  3. 会社の一次情報を集める——直近ラウンドの時期と金額、投資家の顔ぶれ、主幹事証券、監査法人
  4. カジュアル面談でCFOに会う——上場準備の実態を最も正確に知っているのはCFOです
  5. オファー面談でSO条件を書面確認する——口頭の「たくさん出します」は無効だと思ってください
  6. 入社日を決算期・監査スケジュールと合わせる——期初着任は立ち上がりが圧倒的に楽です

オファー面談の進め方はベンチャー転職のオファー面談が参考になります。

入社前チェックリスト10項目

# 確認項目 危険信号
1 監査法人はどこか、いつ契約したか まだ決まっていない/直近で交代した
2 主幹事証券は決まっているか N-1期を名乗るのに未定
3 CFOの在任期間 1年以内に交代している
4 上場予定期は過去に変更されたか 2回以上の後ろ倒し
5 直近の資金調達時期 18ヶ月以上前
6 ランウェイ(資金余命) 12ヶ月未満
7 単月黒字化の見込み時期 答えが曖昧・毎回変わる
8 SOの税制適格・行使価額・ベスティング 書面で示せない
9 直近1年の管理部門の離職 経理・法務が続けて退職
10 労務是正の進捗(未払い残業・36協定) 「これから着手」

10項目中3つ以上に危険信号が付いたら、私は一度立ち止まることをおすすめします。特に3・4・6は、上場延期の予兆として実際によく当たります。企業の見極め方全般はおすすめしないベンチャー企業の特徴もご覧ください。

よくある失敗パターン5つ

失敗1:SO込みで年収を計算してしまう

最も多い失敗です。現金年収を200万円下げてSOを受け取ったものの、上場が2年延期。生活が回らなくなって、SOを放棄して転職——というケースを何度も見ています。SOは「当たったら嬉しいボーナス」として扱ってください

失敗2:「IPO準備中」の言葉を信じすぎる

監査法人も主幹事証券も決まっておらず、社長が「3年後には上場したい」と言っているだけの会社も「IPO準備企業」を名乗ります。監査法人と主幹事証券の有無が、実質的な線引きです。

失敗3:管理部門経験だけで飛び込む

大手で経理をやってきた方が、IPO準備企業で苦戦するのは「仕組みがない状態で自分で作る」経験がないときです。前職で仕組みを作った経験があるか、自問してください。

失敗4:上場後の自分の役割を想像していない

上場準備は3年で終わりますが、その後のキャリアは20年以上あります。上場後に何をしたいのかを面接段階で会社とすり合わせておくことが、定着の分かれ目になります。

失敗5:フェーズと自分のリスク許容度がずれている

40代でローンと教育費がある方がN-3期の会社に入って、資金ショートで転職を余儀なくされたケースもあります。年齢と固定費に応じてフェーズを選ぶべきです。失敗の全体像はベンチャー転職 失敗・後悔ガイドにまとめました。

年代別のIPO準備企業転職戦略

20代:フェーズを問わず飛び込んでいい

20代なら、たとえ上場が頓挫しても「上場準備の実務を経験した20代」という市場価値は残ります。むしろN-2期の混沌とした時期に入って、規程を作り、監査法人と喧嘩し、というのが最高の修行になります。

30代:N-2期〜N-1期がスイートスポット

30代はSOの上振れと確実性のバランスが取れるN-2期後半〜N-1期を私はすすめています。この時期はポジションも明確で、上場までの距離も見える。前職の型を持ち込みやすい時期でもあります。

40代以降:N-1期以降+ポジションの明確さ

40代以降はN-1期以降で、かつ役割と権限が明文化されている会社を基本線に。CFO・管理本部長として入るなら、社長との相性と資本政策への関与範囲を必ず事前に握ってください。年齢別転職ガイドも参考にどうぞ。

よくある質問(FAQ)

Q1. IPO準備企業は本当に上場できるのですか?

全社ができるわけではありません。2025年の国内IPOは66社と2013年以来の低水準で、N-2期で準備が止まる会社も、撤退する会社もあります。「上場しなくても、この会社で働く価値があるか」で判断してください

Q2. 未経験でもIPO準備企業に転職できますか?

可能です。特に事業側(営業・PdM・エンジニア)と人事労務は、IPO経験がなくても十分に狙えます。経理も、事業会社での月次決算経験があれば道はあります。難しいのはCFOと開示担当で、ここは経験者採用が基本です。

Q3. IPO準備企業は激務ですか?

職種とフェーズによります。N-2期〜N-1期の経理・開示は繁忙期にかなりハードになります。一方、事業側は通常のスタートアップと大きく変わりません。「全社が常に激務」というのは誤解です。

Q4. 上場が延期されたら辞めるべきですか?

一度の延期で辞めるのは早計です。見るべきは①延期の理由(事業の未達か、管理体制の不備か)、②延期後の新しい計画に説得力があるか、③CFOと主幹事証券が変わっていないかの3点。2回目の延期が起きた時点で、私は一度キャリアを見直すことをすすめています。

Q5. SOはどれくらいもらえるのが普通ですか?

会社と役職で大きく異なりますが、目安としてCFOクラスで発行済株式の0.5〜2%、部長クラスで0.1〜0.5%、メンバークラスで0.01〜0.1%程度が一つのレンジです。ただし付与総枠(SOプール)が全体の10%前後に収まるよう設計されるのが一般的で、後から入るほど薄くなります。

Q6. 上場したら年収は上がりますか?

上がる会社が多いですが、自動的ではありません。上場によって役員報酬が開示対象になり、報酬水準が「説明できる範囲」に制約される面もあります。上場後の等級・報酬テーブルがどうなるかは、入社前に聞いておくと安心です。

Q7. TOKYO PRO Market上場でもキャリア上の価値はありますか?

あります。2025年はTPMが46社とグロース市場の41社を上回りました。ただし審査基準・開示義務・流動性がグロース市場とは異なるため、SOの換金性という点では期待値を下げて考えるべきです。実務経験としての価値は十分にあります。

Q8. IPO準備企業の求人はどこで探せばいいですか?

公開求人になりにくい領域です。特にCFO・管理本部長クラスはほぼ非公開でエージェント経由か、投資家からの紹介で決まります。ベンチャー・スタートアップに強いエージェントに登録し、フェーズ指定で相談するのが近道です。転職エージェント選び方ガイドも参考にしてください。

まとめ:上場は目的ではなく、通過点

  • 2025年の国内IPOは66社(前年比20社減、2013年以来の低水準)。上場の門は狭くなっている
  • それでも準備期間の長期化と審査厳格化で、IPO準備企業の人材需要は強い
  • フェーズ選びが最重要。SO重視ならN-3〜N-2期、確実性重視ならN-1期以降
  • 管理部門だけでなく、事業側の求人が実は最も多い
  • SOは「0円でも生活が成り立つ条件」で入るのが鉄則
  • 入社前チェックリスト10項目のうち3つ以上に危険信号が付いたら一度立ち止まる
  • 上場はゴールではなく通過点。上場後に何をするかまで面接で握っておく

関連記事:ベンチャー転職完全ガイドCXO転職ガイドスタートアップのフェーズ別 転職ガイドベンチャー・スタートアップの離職率の真実年収・手取りガイド

キープレイヤーズでは、IPO準備企業のCFO・管理本部長・経理責任者から事業側の幹部まで、上場前後のフェーズの採用支援を約25年続けてきました。「この会社は本当に上場できそうか」「このSO条件は妥当か」といった、外からは判断しづらいご相談こそ歓迎です。判断に迷ったら、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事を書いた人

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、文部科学省アントレプレナーシップ推進大使。1万2000件以上のキャリア面談、4,000名以上の経営者と採用相談にのる。80社以上のエンジェル投資、投資して上場は9社。うち2社は役員として上場(クラウドワークス、メドレー)。178社以上の上場支援実績。顧問・社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数300回以上。「ベンチャーの作法」(ダイヤモンド社)5万部を超えるベストセラー

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