こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートをしているキープレイヤーズの高野です。
2020年6月、「デザインの力を証明する」というミッションのもと、経営されているグッドパッチさんに上場承認がおりましたね。最近ではデザインを重視する企業が増えており、デザイナーの需要が高まっています。
しかし、デザイナーを採用したい企業の方からは、採用が難航していると相談いただくことも多くあります。むしろ、デザイナーの採用に成功しています!という企業の方が少ないかもしれません。一方で、望む条件で転職できない、転職活動が難しい、とデザイナーの方からはよくご相談いただきます。
優秀なデザイナーを採用したい企業と優秀でも望む条件が得られないデザイナー、新たに注目が集まってきた領域のため、少し転職市場にねじれがある状態なのかもしれません。
そこで、今回はデザイナー採用に成功している企業の方にご協力いただきながら、デザイナーを取り巻く環境や年収、転職・キャリアアップするために求められる力についてまとめました!
採用する企業の方は、ぜひこちらの記事も合わせてご覧ください。
デザイナー採用は難しい…成功するために重要な視点・ポイント
目次
SaaS型ビジネスの広がりに伴いデザイナーの重要性が高まっている
近年、SaaS型のビジネスが急速に台頭していますね。SaaS型のビジネスは、単発購入ではなく定期購入にすることで、サービスを利用する入り口のハードルを下げ、顧客が長く継続するほど売上が上げられるストック型のビジネスモデルとなっています。
そうなった場合に重要になるのが、
・短期的なトライアルでもユーザーに利便性を感じてもらいやすいサービス体験
・解約せずに継続的に利用したくなるインセンティブ設計、独自性の強化
といったことです。
ユニットエコノミクスとは?SaaSビジネスを理解する上で重要な用語/計算式を徹底解説!
簡単に試して利便性を感じられるが、他社に変えたいとは簡単に思わせない設計をしなくてはいけないわけですね。言うのは簡単ですが、実現するのはかなり難しいです。
こうした高度なサービス設計を実現するために、サービスデザインの力が見直されています。これまでは、いわゆるヴィジュアルを整えることがデザイナーの業務の中心として見られてきたところがありましたが、これからはサービス全体の体験を設計する力が求められているわけです。
そのため、デザイナーの方にとっては非常にチャンスのある状況なのですが、チャンスを掴むために何をしていいか分からない方が多いのだと思います。そこで、これからキャリアアップしたいデザイナーのための情報をまとめていきます。
デザイナーの年収レンジ
クリエイティブ作成だけで年収を上げるのは難しい
まず、デザイナーと言っても、クリエイティブを作成するだけで活躍していくのは難しいです。非の打ちどころのない期待を超えるデザインを出せる場合を除いては、企画からできます、フロントエンド実装までできます、という方が評価されやすいですね。
デザインがあってもコーディングする際に認識の相違から、実際にできたページが意図していたものの全く違うものになってしまった、というケースは多くあります。そういった事態を防ぐために、デザイン作成からコーディングまでを担当できると、評価が高くなりますね。
UIのみで400万、UXまでできると600から700万
UIのみか、UXまでできるかで、デザイナーの年収は大きく変わってきます。
いわゆるプロダクトデザイナー、アプリケーションデザイナーと呼ばれるような、プロダクト・アプリ全体のUX設計ができる人は少なく、年収が上がりやすいです。このことをご存知でないデザイナーの方は意外と多いのではないかと思います。
デザイナーの中でも、Webサイトのバナー、広告、バナー、LPのデザイナーの方は比較的多くいらっしゃいます。個人でも勉強すればバナーなどは作れるようになるので、人材供給が多く年収は上がりづらいのが実情です。
そのため、年収や市場価値を高めていきたいデザイナーの方は、コミュニケーション設計までやれるプロジェクトになるべく多く関わっていくことをおすすめします。
デザイナーのマネジメントができる人材は希少
デザイナーのマネジメントを求められる求人はあまり多くはないです。ただ、デザイナーとしてマネジメント経験を積んでおくと、希少な人材になれます。論理だけでは説明しづらい部分もある領域なので、デザイナーとコミュニケーションをとってマネジメントするのは経験を積んだ人でないと難しいです。
BtoCサービスを運営していて、たくさんのUIデザイナーをマネジメントする必要がある企業の場合は、マネージャーの需要が高く、年収が上がりやすいかもしれません。
デザイナーが評価されるためのポイント
職務経歴書よりもポートフォリオ
これは以前から大きく変わりないかもしれませんね。デザイナーの場合、職務経歴書以上にポートフォリオが重視されます。
ビジネス職だと、「○○(企業名)にいたのか!優秀に違いない」という評価が働きがちですが、デザイナーの場合は目に見えるアウトプットが残るケースが多いので、実物を見せることが大切になります。
静的なポートフォリオよりも動的なポートフォリオ
ポートフォリオの中でも、静的に見る画像・ヴィジュアルではなく、設計したサービスを実際に体験できる動的なポートフォリオがあると評価が高くなりやすいです。
冒頭で案内した内容とかぶりますが、今はサービス体験を向上させることがデザイナーの重要な役割の一つになっています。静的な画像では、実際に体験した際にどんなユーザーメリットがあるのか、理解するのが難しいです。
採用側がそのサービスに対しての理解があるか、といった不確実な要素に左右されてしまうので、実際に手を動かして想像してもらえる環境を作ることが大切です。
(※Call To Action:行動喚起)
BtoBとBtoCでデザイナーに求められる力の違い
BtoBとBtoCで、上流に行った際に求められるスキルが変わってくるので、その点について紹介します。
BtoBサービスの場合:グロースするサービスを設計する力
BtoBサービスの場合、サービスをグロースさせるための知識・スキルが求められます。事業を拡大していけるデザイナーを企業は採用していきたいんですね。
BtoBサービスは、BtoCと比べて登場人物が多いケースが多いです。様々な利用者を想定して、全体的なサービス設計をする力が求められるんですね。BtoCについては後述しますが、特定のターゲットユーザーを集めるために分析・検証する力が求められることが多いです。
例えば、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」だと、人事部署、労務の人たちが導入して使用するケースが多いと思いますが、実際に手を動かす社員も使いやすい設計にする必要がありますよね。人事の人が気に入って導入しても、社員が使いづらいと感じたら解約してしまう可能性があります。そのため、社員の方も直感的に使いやすい設計にしているわけです。
他にも、電子契約クラウド「クラウドサイン」だと、行政か民間か、法人か個人かなど、発生しうる関係者も多くなります。すると、それぞれの関係者が「どういった立場から、どういった目的で関わることになるのか」を洗い出した上で、フロー・動線を描く必要がありますよね。
また、いずれもフェーズごとに登場人物が変わるので、フェーズが変わったときにも対応しうる設計にすることも期待されます。場合によっては、「切り分けた方がいい」という判断もありますが、なるべくシームレスに繋がっていたほうが、利用者としては利便性が高まりやすい気がしますよね。
最近ではスタートアップのビジネスが模倣されてしまった!と話題になることが多いですね。資金力がある大企業が後から競合として参入してくることは、新規事業の立ち上げではよくあることです。
たとえ模倣されてしまってもユーザーを掴んで離さない、独自性の高いサービス体験をデザインすることが必要となっています。
BtoCサービスの場合:より多くのユーザーを集めるために分析・検証する力
BtoCビジネスの場合は顧客が個人になるので、BtoBビジネスと比較して客単価が低くなりやすいです。そのため、より多くのユーザーを集めること、多くのユーザーを成約に繋げることが重要になります。
そのときに必要になるのが、Google Analyticsなどの分析ツールを使って、アクセス情報からより多くのユーザーを集めるための仮説を立てて検証する力です。
例えば、BtoCの予約サイトでは、CTA(※Call To Action)ボタンの色やLP(ランディングページ)などで、成約に至る数が大きく変化することがあります。
そのためBtoCでは、分析して仮説を立てる力、具体的なUIデザインを改善し続ける検証する力がある人材のニーズが高いです。
BtoC・BtoBどちらに寄せるかでキャリア設計する
以上、デザイナーを取り巻くビジネス環境や年収、求められているスキルについて紹介してきました。なお、今回の記事執筆にあたって、デザイナー転職に強い転職エージェント「エージェントセブン」にご協力いただきました。ありがとうございます!
ちなみに、デザインについて知りたい、あるいはデザイナー市場について勉強したいときは、
上記のブログが非常に参考になります。私はTwitterで下記の方のツイートもチェックしています。
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総じて言えるのは、BtoC、BtoBどちらでキャリアを歩んでいくかで、磨くべきスキルや積むべき経験が変わってくるということです。キャリア設計をするときは、必ず考えるようにしましょう。
事業会社でもほぼ要件が決まった状態でデザイナーに依頼が来て、ビジュアル作成・修正しかできないというUIデザイナーの方も多くいらっしゃいます。全体の設計を誰が担当するか、設計と作成を分業するか兼任するか、といった社内体制によって、自分にできることが決まってしまうことは多くあります。
特にUX設計については、プロダクトマネージャーが兼任しているケースも多いので、今の職場の開発環境ではUX設計に携わっていくのが難しいケースもあります。そのときは、今の職場で積極的に仕事をとりにいくか、他のUX設計に携われる環境への転職するか、検討してみてもいいかもしれません。
キープレイヤーズではチャレンジしたい方の応援を惜しみなく行っていますので、キャリアについて相談したい方はお気軽にご連絡ください!
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