伸びるベンチャー企業の特徴7つ【2026年最新版】調達社数35%減の選別時代に成長企業を見極める15チェックを高野秀敏が解説

執筆者:高野秀敏
株式会社キープレイヤーズ/代表取締役
東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、12,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。80社以上の投資、9社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。178社上場支援実績あり。顧問、アドバイザー、社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。「ベンチャーの作法」ダイヤモンド社5万部を超えるベストセラー

こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職支援を約25年続けているキープレイヤーズの高野です。

「伸びるベンチャーの特徴を教えてください」——この質問を、私はほぼ毎日いただきます。10年前も同じ質問を受けていましたが、2026年のいま、答えの中身はかなり変わりました。理由ははっきりしていて、資金の流れが変わったからです。

スピーダの「Japan Startup Finance 2026上半期」によると、2026年上半期の国内スタートアップの資金調達総額は5,033億円(前年同期比+4%)とほぼ横ばいである一方、調達社数は1,061社で前年同期比35%減。50億円以上の大型調達は345億円→780億円へ2倍超に膨らみ、資金が一部の企業に集中しています。IPOは18件で前年同期比10%減、逆にM&Aによる買収は128件で29%増でした。

つまり「調達できる会社」と「できない会社」の二極化が、この1年で一気に進んだということです。数年前なら「なんとなく雰囲気が良さそう」で入っても資金が続きましたが、いまは続きません。転職者側の見極め精度が、そのまま自分のキャリアの安全性に直結する時代になりました。

この記事では、私が約25年・のべ数千名の転職相談と数百社の経営者との対話から見えてきた伸びるベンチャー企業の7つの特徴を、2026年のデータと照らしながら整理します。そのうえで、選考中に実際に使える15項目の見極めチェックリスト、危ない会社のシグナル、フェーズ別・年代別の判断軸、FAQまでまとめました。ベンチャー転職の全体像はベンチャー転職 完全ガイド、失敗パターンの詳細はベンチャー転職の失敗・後悔ガイドと併せてご覧ください。

目次

結論:伸びるベンチャーの7つの特徴(2026年版サマリー)

# 特徴 選考中に確認する方法 重要度
1 市場が伸びている その市場の3年後の規模と成長率を、面接官が数字で即答できるか ★★★★★
2 経営者・経営チームが良い 創業者の過去の実績、CxOの構成、直近1年の役員入退社 ★★★★★
3 ミッション・ビジョン・バリューが機能している 現場社員がバリューを自分の言葉で語れるか(暗記ではなく) ★★★★
4 競合(敵)が弱い、または不在 競合3社を挙げてもらい、勝ち筋の説明が具体的か ★★★★
5 社員がやりがいを持って働いている カジュアル面談での目の輝き、離職者の口コミの「辞め方」 ★★★★
6 組織力がある(採用と再現性) 2人目・3人目の営業/エンジニアが立ち上がっているか ★★★★
7 案外堅実で地味 ランウェイ、粗利率、ユニットエコノミクスを答えられるか ★★★★★

先に一番大事なことを申し上げます。この7つのうち、2026年に重みが増したのは1番と7番です。市場の伸びと、財務の堅実さ。派手な調達ニュースや有名投資家の名前は、以前ほど当てになりません。調達社数が35%減という数字は、「去年まで調達できていた会社の3社に1社が、今年は調達できていない」という意味だからです。

2026年、ベンチャー選びのルールが変わった

資金は集まっているが、集まる先が絞られている

指標(2026年上半期・国内) 数値 前年同期比 転職者への意味
資金調達総額 5,033億円 +4% 市場全体のパイは縮んでいない
資金調達社数 1,061社 -35% 調達できない会社が急増。ランウェイ確認が必須に
50億円以上の調達 780億円 2倍超 勝ち組への一極集中が進行
IPO件数 18件 -10% 「上場したらSOで一発」の確率はさらに低下
買収(M&A)件数 128件 +29% EXITの主流はIPOからM&Aへシフト

この表で私が最も注目しているのは、調達社数-35%と買収件数+29%が同時に起きていることです。資金が続かない会社が増え、その受け皿としてM&Aが増えている。つまり「入った会社が3年以内に別の会社の一部になる」確率が、明確に上がっているということです。

これは必ずしも悪いことではありません。私の支援先でも、M&A後にグループ内で事業責任者に上がった方は何人もいます。ただし「上場して株で報われる」前提で入社した人にとっては、想定と違う着地になります。ストックオプションの扱いは買収条件次第でまったく変わるので、詳しくはストックオプション(SO)完全ガイドを先に読んでおいてください。

「有名VCが入っている」は保証にならない

率直に言います。私は約25年この業界にいますが、有名VCが出資していても潰れる会社は普通に潰れます。VCはポートフォリオで勝負しているので、10社に投資して1社が大きくなれば成功です。残り9社が事業を畳んでも、VCとしては失敗ではない。しかしそこに転職した個人にとっては、9分の1ではなく100%の出来事です。

「〇〇キャピタルから出資を受けています」は、「一定の審査を通った」以上の意味を持たせないでください。見るべきは、その調達がいつで、いくらで、いま残りいくらか、です。

特徴1:市場が伸びている(最重要)

個人の努力より、市場の傾きのほうが強い

身も蓋もない話をします。伸びている市場の平凡な会社と、縮んでいる市場の優秀な会社なら、前者のほうが個人のキャリアは伸びます。私が20代の頃はこれを信じていませんでしたが、25年見てきて確信に変わりました。

成長市場にいる会社は、多少の意思決定ミスを売上の伸びが吸収してくれます。縮む市場では、正しい判断をしていても椅子が減っていく。同じ人が同じ努力をしても、5年後の年収と役職はまるで違う場所に着地します。

面接で市場の伸びを確かめる3つの質問

  • 「この市場は3年後にどれくらいの規模になる想定ですか?その根拠は?」——数字とロジックが即答で出てこない経営陣は、市場を定義できていません
  • 「御社のシェアはいま何%で、3年後に何%を狙いますか?」——シェアで語れる会社は、自社の位置を把握しています
  • 「市場が伸びなかった場合のプランBは?」——ここで詰まる会社は、単一シナリオに賭けています

2026年時点で私が「傾きが強い」と感じている領域は、生成AIの業務実装(PoCではなく本番運用まで到達したもの)、医療・介護のオペレーション改革、防衛・宇宙関連、電力・エネルギーマネジメント、そして人手不足を前提にした現場向けSaaSです。逆に、広告テック単体、汎用的なマッチングプラットフォーム、目的が曖昧なWeb3系は、資金の入り方が明らかに細くなっています。業界別の詳細はSaaSスタートアップに転職するのはあり?も参考にしてください。

特徴2:経営者・経営メンバーが良い

「良い経営者」の定義は、人柄ではなく「意思決定の質と速さ」

ここは誤解されやすいところです。優しい経営者=良い経営者ではありません。私が見てきた伸びる会社の経営者に共通するのは、次の3点です。

  1. 撤退の意思決定が速い——伸びない事業を、感情ではなく数字で畳める。これができない経営者の会社は、赤字事業がバーンレートを食い潰します
  2. 自分より優秀な人を採り、権限を渡せる——創業者が全部の意思決定を握っている会社は、社員30人前後で必ず詰まります
  3. 悪い情報が上がってくる状態をつくれている——「社長には言えない雰囲気」がある会社は、問題の発見が半年遅れます

経営チームの構成で分かること

状態 読み取れること 判定
創業者以外にCxOが2名以上、うち1名は外部からの参画 権限委譲ができ、外部人材が定着している
CxOが創業メンバーのみ(全員が学生時代からの知人など) 同質性が高く、意思決定の死角が生まれやすい
直近1年でCxOが2名以上退任している 経営の不和か、事業計画の未達が疑われる ×
CFOが不在で、調達を控えている 資金繰りが属人化。IPOを狙うなら必ず必要になる
社外取締役・監査役に実務家がいる ガバナンスが機能し、暴走が抑止される

特に「直近1年のCxO退任」は最も分かりやすい危険信号です。役員は簡単には辞めません。辞めるときは、事業か経営者に見切りをつけたときです。これは登記簿(法人登記の役員欄)を取れば数百円で確認できます。転職前に600円で確認できるリスクを、確認しない手はありません。CxO層のキャリア構造についてはCXO転職ガイドにまとめています。

特徴3:ミッション・ビジョン・バリューが「機能」している

額縁に飾ってあるかではなく、意思決定に使われているか

MVVは「あるかどうか」を見ても意味がありません。見るべきは「使われているか」です。私が確認するのは、次の質問への答え方です。

「直近で、バリューに沿って何かを断った例はありますか?」

この質問に具体例が出てくる会社は、MVVが意思決定の基準として本当に機能しています。「短期の売上は立つが、バリューに反するから受注を断った」「バリューに合わないから、スキルの高い候補者を見送った」——こういう話が出てくる会社は強い。逆に、綺麗な言葉を復唱されるだけの会社は、MVVがブランディング用の飾りです。

現場社員に聞くのが一番速い

面接の逆質問ではなく、カジュアル面談で現場のメンバーに「入社してからバリューを意識した瞬間ってありますか?」と聞いてください。経営陣は必ず良いことを言います。現場が同じ温度で語れる会社は、浸透しています。ここが空白な会社は、経営と現場が分断されています。面談の準備はベンチャー転職の面接対策も参考にしてください。

特徴4:競合(敵)が弱い、または不在

「競合はいません」は良いサインでも悪いサインでもある

「うちに競合はいません」と言う経営者は多いのですが、これは二通りに分かれます。

  • 良いケース:市場を新しく定義していて、既存プレイヤーの構造では追随できない。この場合、必ず「なぜ大手が入ってこられないのか」を構造で説明できます(規制、データ蓄積、業界特有の商習慣など)
  • 悪いケース:単に市場がない。誰もやっていないのは、儲からないからかもしれません

見分け方はシンプルで、「その課題を、いまお客さんは何で解決していますか?」と聞くことです。「Excelと気合いです」という答えが返ってくるなら、代替手段があるということで、市場は存在します。「誰も解決していません」なら、そもそも課題として認識されていない可能性が高い。

大手が参入してきたときに何が残るか

これは私が必ず聞く質問です。「明日、大手が同じサービスを無料で出したら、御社に何が残りますか?」

良い答えは、データの蓄積、業界内のネットワーク、オペレーションの深さ、切り替えコストの高さ、といった時間をかけないと積み上がらないものです。「機能で勝ちます」「UIが優れています」は、残念ながら大手の物量で消えます。

特徴5:社員がやりがいを持って働いている

口コミサイトは「点数」ではなく「辞め方」を読む

OpenWorkや転職会議の点数だけを見る方が多いのですが、ベンチャーの点数は母数が少なく、ほとんど参考になりません。読むべきは退職者のコメントの中身です。

退職者コメントの傾向 読み取れること 判定
「成長できたが、次のフェーズに行きたくなった」 健全な卒業。組織として機能している
「事業は面白いが、労働時間が厳しかった」 覚悟次第。フェーズ相応の負荷
「評価基準が不透明で、納得感がなかった」 制度未整備。30人の壁を越えられていない
「社長の一言で方針が毎月変わる」 意思決定が属人化。疲弊が起きやすい ×
「入社時に聞いていた話と全然違った」 採用時の説明に問題あり。最も危険 ×

最後の「聞いていた話と違った」は特に重く見てください。エン・ジャパンの調査(AMBI、20〜30代900人)では入社後にギャップを感じた経験がある人は87%そのギャップが理由で転職を考えた人は67%にのぼります。ギャップ自体は誰にでも起きますが、「説明と現実が違う」タイプのギャップは会社側の問題であり、繰り返されます。

面談で見る、言葉より確かなサイン

  • 現場社員が、自分の担当外の事業についても語れる(情報が流れている)
  • 「うちの課題は〜」と、弱みを自分から話せる(隠す文化がない)
  • 入社1年未満の社員が複数いて、その人たちが成果を出している(受け入れが機能している)
  • 面談の日程調整が速い(オペレーションが回っている)

特徴6:組織力がある(採用と再現性)

「2人目が立ち上がっているか」を見る

創業期のベンチャーは、たいていスーパーマン1人で売上が立っています。トップセールスの創業者、天才エンジニア。それ自体は普通です。問題は次で、「2人目・3人目が同じように成果を出しているか」が、組織力の分岐点です。

これができている会社は、営業なら商談プロセスが型化され、エンジニアなら設計思想が共有されています。できていない会社は、何人採っても創業者の負荷が減らず、売上も伸びません。

採用の質と速度は、成長の先行指標

確認項目 良い状態 危ない状態
直近1年の社員数 計画に沿って着実に増えている 横ばい、または減っている
採用の意思決定 1〜2週間で結論が出る 1ヶ月以上音沙汰がない
リファラル比率 2〜4割程度ある ほぼゼロ(社員が友人を誘わない)
候補者への説明 デメリットも先に開示する 良いことしか言わない
入社後の受け入れ オンボーディングの設計がある 「見て覚えて」しかない

リファラル比率は特に正直な指標です。社員が自分の友人を誘える会社は、中にいる人が本気で良いと思っている。ここがゼロに近い会社は、外向きの発信と内部の実態がずれています。リファラル採用の実態はベンチャーのリファラル転職ガイドにまとめました。

特徴7:案外、堅実で地味

伸びる会社ほど、話が地味です

これは25年やってきて最も強く感じることです。本当に伸びる会社の経営者ほど、話が地味で、数字が細かい。逆に、ビジョンの話が9割で数字が出てこない会社は、だいたい途中で止まります。

地味というのは、たとえばこういうことです。顧客単価を月次で追っている。解約理由を1件ずつ潰している。粗利率が改善している理由を説明できる。営業1人あたりの生産性を把握している。——派手さはありませんが、この積み上げが3年後に効きます。

2026年、必ず聞くべき財務の3つの数字

指標 意味 安全ライン 危険ライン
ランウェイ いまの現金で事業を続けられる月数 18ヶ月以上 12ヶ月未満
バーンレート 1ヶ月あたりの現金の減り方 売上成長率と連動している 売上が伸びていないのに増えている
粗利率 売上から直接原価を引いた比率 SaaSなら70%以上 30%未満(人力頼み)

ランウェイ18ヶ月が一つの目安です。次の調達には準備から着金まで6〜9ヶ月かかりますから、18ヶ月あれば「1回失敗しても立て直せる」。12ヶ月を切っている会社は、いま調達活動の真っ最中か、コスト削減に入る直前です。

「そんなことを聞いていいのか」と心配される方がいますが、最終面接で聞いて嫌な顔をされる会社なら、入らないほうがいいと私は思っています。まともな経営者は、むしろ「よく見ている」と評価します。実際、私が紹介した候補者でランウェイを質問して落ちた例は記憶にありません。

【保存版】入社前チェックリスト15項目

選考の各段階で、以下を埋めていってください。×が4つ以上つく会社は、私なら見送りをおすすめします

# カテゴリ チェック項目 確認先
1 市場 3年後の市場規模と根拠を、経営陣が数字で説明できる 面接
2 市場 自社のシェアと目標シェアを把握している 面接
3 市場 大手参入時に残る優位性を構造で説明できる 面接
4 財務 ランウェイが18ヶ月以上ある 最終面接・オファー面談
5 財務 直近の調達時期が18ヶ月以内、または黒字化している 公開情報・面接
6 財務 粗利率と、その改善トレンドを説明できる 面接
7 経営 直近1年でCxOの退任が1名以下 登記簿・公開情報
8 経営 外部から参画したCxOが定着している 面接・LinkedIn
9 経営 撤退した事業と、その判断理由を話せる 面接
10 組織 2人目・3人目の同職種が成果を出している 現場面談
11 組織 リファラル採用が一定割合ある 人事面談
12 組織 直近1年の社員数が計画通り増えている 面接・公開情報
13 条件 オファー内容が書面で、SOの条件も明記されている オファー面談
14 条件 評価制度と昇給の仕組みが説明される オファー面談
15 カルチャー 現場社員が会社の弱みを自分から話せる カジュアル面談

オファー段階での条件確認は、後から取り返しがつきません。詳しくはベンチャー転職のオファー面談・条件交渉完全ガイドを必ず読んでおいてください。

逆に「危ない会社」の7つのシグナル

  1. 調達のニュースリリースが2年以上出ていない——出せる話がないか、出したくない状況にある
  2. 採用ページの募集職種が急に10以上に増えた——調達直後で組織設計が追いついていないケースが多い
  3. 面接官が毎回「これから作るフェーズです」しか言わない——1年後も同じことを言っている可能性が高い
  4. 年収の提示が相場より明らかに高い——採用に困っているか、退職前提の設計になっている
  5. SOの話ばかりして、現金の条件が曖昧——現金が出せない状態のサイン
  6. 「聞いていた話と違う」という口コミが複数年にわたって出ている——構造的な問題です
  7. 選考が異常に速い(1回の面接で即オファー)——見極める気がない会社は、入社後も個人を見ません

4番については補足します。年収を相場より2割以上高く提示してくる会社は、「短期で成果が出なければ切る」前提で設計していることがあります。それ自体は経営判断として理解できますが、入る側はその前提を知ったうえで受けるべきです。年収・手取りガイドで相場感を掴んでから判断してください。

成長ベンチャーが向いている人・向いていない人

向いている人 向いていない人
不確実性を「面白い」と感じられる 3年後の自分の役職が見えないと不安になる
指示がなくても自分で仕事を定義できる やることが明確に決まっているほうが力を出せる
意思決定の変更を「進化」と捉えられる 方針が変わることに強いストレスを感じる
制度が未整備でも自分で作りにいける 整った人事制度・研修があることを重視する
年収の一時的な下振れを許容できる 住宅ローン等で年収の下限が固定されている
職種の境界を越えて動ける 専門領域に集中したい

誤解のないように言っておくと、右側が劣っているわけではありません。大手や成熟企業のほうが力を発揮する優秀な方を、私は何人も見てきました。相性の話です。合わない場所に無理に行くと、双方が不幸になります。

フェーズ別:どの段階の会社を選ぶべきか

フェーズ 社員数 年収水準 SO期待値 向いている人 主なリスク
シード 〜15名 前職比 -20〜-40% 大きいが実現確率は低い 創業に近い経験を積みたい人 事業転換・資金枯渇
シリーズA 15〜50名 前職比 -10〜同水準 中〜大 0→1の型づくりをしたい人 組織の急拡大による混乱
シリーズB〜C 50〜150名 同水準〜+10% 1→10のスケールを担いたい人 「30人の壁」「100人の壁」
プレIPO 150名〜 +10〜+30% 小〜中(現実味は高い) 上場実務・管理体制を作りたい人 上場延期・管理業務の増大
上場後 +20〜+40% ほぼなし(RSU等) 安定と成長のバランス重視 大企業病の萌芽

2026年の環境で私が最も推しやすいのはシリーズB〜Cの、粗利率が高くランウェイ18ヶ月以上ある会社です。理由は単純で、選別が進んだ市場で「調達できている」こと自体が強いフィルターになっているからです。シードは面白いですが、調達社数35%減の環境では、以前より慎重さが必要です。

年代別:見極めの重心をどこに置くか

20代:市場の伸びと、身につくスキルを最優先に

20代なら、多少会社が傾いても取り返しがつきます。年収より「3年後に何ができる人になっているか」で選んでください。伸びる市場で修羅場を踏んだ経験は、30代の市場価値に直結します。詳しくは20代のベンチャー転職完全ガイドを。

30代:組織力と、任される範囲を見る

30代は「何をやったか」だけでなく「どの範囲を持ったか」が問われます。マネジメントか、事業責任か、専門性の深さか——どれを取りに行くかを決めてから会社を選んでください。特徴6の「組織力」が最も効く年代です。

40代以降:財務と経営陣を最優先に

40代以降は、やり直しの回数が限られます。ランウェイ、経営陣の質、自分に渡される権限の3点を、他の何より優先してください。年収の下振れ許容度も現実的に計算する必要があります。年齢別転職ガイドに年代ごとの戦略をまとめています。

私が実際に見た、判断が分かれた3つのケース

ケース1:大手メーカー32歳 → シリーズBのSaaS(成功)

年収は680万→650万で微減。ただし入社前にランウェイ22ヶ月・粗利率78%を確認し、外部から来たCOOが2年定着していることも見ていました。3年後に事業部長、年収950万円。「地味な数字を全部確認してから入った」典型例です。

ケース2:コンサル28歳 → シードのAI系(判断が割れた)

「有名VCが入っている」「代表がメディアで有名」という理由で決めた方です。年収は780万→560万。入社10ヶ月で事業をピボットし、当初のミッションは消滅。ただしご本人は0→1の経験を評価され、2年後に別のシリーズBへCOOとして移りました。結果的にはキャリアが伸びましたが、これは本人の力量で拾った結果で、再現性のある選び方ではありません。

ケース3:事業会社41歳 → シリーズAのHR系(失敗)

年収850万→800万、SO付き。ただし直近1年でCFOとCTOが退任していました。この時点で止めるべきでしたが、事業内容への共感が強く決断されました。入社14ヶ月で資金調達が不調に終わり、人員削減。特徴2の「直近1年のCxO退任」を無視した典型的な失敗です。40代でこれは重い。

3件を並べて分かるのは、成否を分けたのは事業の魅力ではなく、事前に確認した項目の数だということです。ケース1は15項目のうち13を確認し、ケース3は3つしか確認していませんでした。

よくある質問(FAQ)

Q1. 調達額が大きい会社を選べば安全ですか?

いいえ。調達額の大きさは「使う予定のコストが大きい」という意味でもあります。100億円調達しても、月間バーンレートが8億円なら12ヶ月で尽きます。額ではなく、額÷バーンレート=ランウェイで見てください。

Q2. ランウェイを面接で聞くのは失礼ではないですか?

失礼ではありません。むしろ聞かない候補者のほうが、経営者からは「事業を見ていない」と思われます。聞き方は「私が入って中長期でコミットしたいので、資金計画の前提を教えていただけますか」で十分です。答えられない、あるいは不快感を示す会社は、その反応自体が答えです。

Q3. 未上場企業の財務情報はどこまで調べられますか?

登記簿(役員構成・資本金・増資履歴)は誰でも取得できます。調達情報はSTARTUP DBやINITIALで確認できます。決算公告を出している会社なら、官報や自社サイトで純資産まで見られます。ここまで調べて面接に臨む候補者は5%もいません。それだけで差がつきます。

Q4. 「伸びる会社」と「良い会社」は同じですか?

違います。伸びる会社は往々にして負荷が高く、制度は未整備で、方針も変わります。「伸びる」は「働きやすい」とイコールではありません。何を取りに行くかを先に決めてください。

Q5. 上場を目指していない会社は避けるべきですか?

いいえ。2026年はIPOが18件(前年同期比-10%)まで減る一方、M&Aによる買収は128件(+29%)に増えています。EXITの主流はすでにM&Aに移りつつあります。上場だけを成功の定義にすると、選択肢を不必要に狭めます。ただしSOの価値は買収条件で大きく変わるので、そこは事前に確認してください。

Q6. 転職エージェントは、こうした内部情報を教えてくれますか?

エージェント次第です。その企業の経営者と直接会っているエージェントかどうかで、情報の質が10倍変わります。求人票を読み上げるだけの担当なら、自分で調べたほうが速い。選び方は転職エージェントの選び方 完全ガイドにまとめました。

Q7. 見極めきれず入社してしまい、違和感がある場合は?

まず3ヶ月は判断を保留してください。入社直後のギャップは87%の人が経験するもので、慣れで解消するものも多くあります。ただし「説明と事実が違う」「資金繰りが明らかに厳しい」といった構造的な問題なら、早い判断が正解です。ベンチャー転職の失敗・後悔ガイドに、撤退判断の基準をまとめています。

まとめ:2026年の見極めは「地味な数字」に戻ってきた

もう一度、7つの特徴を並べます。

  1. 市場が伸びている(3年後の規模を数字で語れるか)
  2. 経営者・経営チームが良い(撤退判断と権限委譲ができるか)
  3. MVVが機能している(バリューで何かを断った例があるか)
  4. 競合が弱い、または構造的な参入障壁がある
  5. 社員がやりがいを持っている(弱みを自分から話せるか)
  6. 組織力がある(2人目・3人目が立ち上がっているか)
  7. 案外堅実で地味(ランウェイ18ヶ月・粗利率・単位経済性)

2020年頃までは、1〜5だけ見ていれば概ね当たりました。資金調達社数が35%減った2026年は、7番の財務の堅実さを外すと危険です。逆に言えば、ここを見られる人にとっては、選別が進んだ分だけ「本当に伸びる会社」が見分けやすくなったとも言えます。

そしてもう一つ。見極めは入社前で終わりません。どんなに良い会社に入っても、最初の3ヶ月で立ち上がれなければ評価は固まってしまいます。入社後の動き方は転職後の最初の90日 完全ガイドに、30日/60日/90日単位で整理しました。会社選びと立ち上がりは、セットで準備してください。

キープレイヤーズでは、私自身が経営者と直接会っている企業を中心に、ベンチャー・スタートアップへの転職支援を行っています。「この会社、実際どうなんですか」という率直な質問にこそ、25年分の情報でお答えできると思っています。会社選びで迷われている方は、お気軽にご相談ください。

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