役職定年とは?年収は2〜3割減・9割が年収ダウンの実態と50代の選択肢完全ガイド【2026年最新】廃止する大手の動き・残る/転職する/顧問になるの判断基準を高野秀敏が徹底解説

執筆者:高野秀敏
株式会社キープレイヤーズ/代表取締役
東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、12,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。80社以上の投資、9社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。178社上場支援実績あり。顧問、アドバイザー、社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。「ベンチャーの作法」ダイヤモンド社5万部を超えるベストセラー

こんにちは、キープレイヤーズの高野です。ヘッドハンター・転職エージェントとして約25年、のべ数千名のキャリア相談に乗ってきました。

ここ数年で、面談の相談内容として明らかに増えたテーマがあります。「来年、役職定年です。このまま会社に残るべきでしょうか」。大手メーカー、金融、商社、通信——名前を聞けば誰もが知る会社の部長・課長クラスの方が、50代前半で私のところにいらっしゃいます。共通しているのは、「まだ働けるのに、給料も肩書きも下がる」ことへの納得のいかなさです。

率直に申し上げると、役職定年は「これから来る危機」ではなく、「準備しなかった人にだけ来る危機」です。制度自体は1980年代からあり、対象年齢も減額幅もある程度予測できる。にもかかわらず、多くの方が通知を受け取ってから動き始めます。そして50代前半で動き始めた方と、55歳を過ぎてから動き始めた方では、選べる選択肢の数がまったく違います。

この記事では、役職定年の仕組みと導入率、年収がどれだけ下がるかの実データ、NEC・大和ハウスなど廃止に動く大手の背景、そして「残る」「転職する」「顧問・業務委託になる」の判断基準まで、実務のレベルでまとめました。50代の転職全般は50代の転職完全ガイド、年代ごとのキャリア戦略は年齢別転職ガイドにまとめてあります。

目次

結論:役職定年で決めるべきは「3つの問い」だけ

# 問い 確認すること 先送りしたときの損失
1 自社の制度で、何歳に、何がどう変わるか 対象年齢、役職手当・基本給・賞与の扱い、異動の有無、再任用の道 減額幅を知らずに住宅ローン・教育費の計画が崩れる
2 社外での自分の値段はいくらか いまの年収ではなく、市場が払う金額。エージェント・スカウトの反応 「残るしかない」と思い込み、条件の悪い再雇用まで待つ
3 60歳・65歳・70歳まで、どう働くか 正社員/転職/顧問・業務委託/独立の組み合わせ。年金との接続 65歳以降の「働く場所」がなくなる

役職定年の話は、つい「年収がいくら下がるか」に目が行きます。しかし本質は、65歳まで雇用が確保され、70歳までの就業確保が努力義務になった時代に、50代前半で一度キャリアを「畳まれる」制度が残っているという矛盾です。この矛盾を、会社が解消してくれるのを待つのか、自分で解消しにいくのか。この記事はその判断材料です。

役職定年とは何か:制度の仕組みと「ポストオフ」との違い

役職定年制とは、部長・課長などの役職に就いている社員が、一定の年齢(多くは55歳前後)に達した時点で、その役職から外れる制度です。雇用は続きますが、役職手当がなくなり、役職と等級が連動している会社では等級も下がって基本給・賞与が減ります。

制度の起源は1980年代。定年が55歳から60歳へ延長された際、ポストを若手に譲って組織の新陳代謝を促すために導入されました。つまり「定年が5年延びた分、役職は従来どおり55歳で外れてもらう」という、定年延長の帳尻合わせとして生まれた制度です。そして2025年4月、65歳までの雇用確保措置が完全義務化されたいま、「役職を外れてから10年以上、同じ会社で働く」という状況が当たり前になりました。

用語 意味 年齢の基準 雇用
役職定年 一定年齢で役職から外れる制度 年齢で一律(55歳など) 継続(正社員のまま)
ポストオフ 年齢に関係なく、任期・評価・組織再編で役職を外れること 年齢は無関係 継続
定年 雇用契約が終了する年齢 60歳が75.7%、65歳が19.6% 終了(再雇用で継続可)
再雇用(継続雇用) 定年後に嘱託・契約社員等で再契約 60〜65歳(会社により70歳まで) 新契約(条件は下がることが多い)
早期退職・希望退職 割増退職金を条件に退職を募る 45歳〜50歳以上が多い 終了

役職定年を廃止した企業の多くは、代わりに「任期制」や「評価によるポストオフ」に移行しています。年齢で一律に外すのではなく、成果や適性で判断する、というわけです。これは一見フェアに見えますが、年齢に関係なく降りる可能性があるということでもあります。廃止=安泰ではありません。希望退職との違いは希望退職・早期退職に応じるべきか完全ガイドで詳しく解説しています。

データで見る役職定年:導入率・年齢・年収減少の実態

指標 数値 出典・時点
役職定年制がある企業(全体) 16.7%(2007年は23.8%) 人事院 民間企業の勤務条件制度等調査/2023年
同・従業員規模別 500人以上 27.6%/100〜500人未満 18.4%/50〜100人未満 10.7%
役職定年制の導入率(大企業中心の調査) 28.1% 高齢・障害・求職者雇用支援機構/2019年
役職を降りる平均年齢 54.0歳 同/2017年
役職定年後のモチベーション 低下 59.2%/変わらない 35.4%
役職定年後の仕事内容 所属部署の主要業務 52.8%/補助・応援 20.3%/管理業務 10.8%/後輩教育 5.4%
役職定年で年収が減った人 9割以上 ダイヤ高齢社会研究財団「50代・60代の働き方に関する調査」/2018年
年収が50%未満になった人 約4割(60〜64歳では25〜50%に減った人が31.1%)
役職定年時に異動があった人 32.8%
男性の賃金ピーク 55〜59歳で月額 44万5,600円。60代前半で大きく低下 厚労省 令和7年賃金構造基本統計調査

2つ、注目していただきたい数字があります。

1つは、導入率が2007年の23.8%から2023年の16.7%へ減っていること。後述するNEC・大和ハウスのように、大手を中心に廃止の流れが進んでいます。ただし従業員500人以上の企業ではまだ27.6%が制度を残しており、大企業にお勤めの方ほど当事者になりやすいのが実態です。

もう1つは、役職定年後も52.8%の人が「所属部署の主要業務」を続けていること。つまり半数以上の方は、仕事の中身はほぼ変わらず、肩書きと給料だけが下がっている。モチベーションが下がる(59.2%)のも当然です。私が面談で聞く「納得がいかない」の正体は、まさにここにあります。

年収はいくら下がるのか:課長クラスの試算

減額幅は会社によってまったく違いますが、目安としては「年収の2割程度の減少」が最も一般的、大きい場合で3割です。国家公務員の定年延長では60歳以降の給与が「役職に就いていたときの7割」と定められており、民間もこの水準を参考にしている会社が少なくありません。

役職定年前の年収 2割減 3割減 5割減(約4割の人が該当) 60〜65歳まで累計の差額(2割減の場合)
800万円 640万円 560万円 400万円 約800万円(5年×160万円)
1,000万円 800万円 700万円 500万円 約1,000万円
1,200万円 960万円 840万円 600万円 約1,200万円
1,500万円 1,200万円 1,050万円 750万円 約1,500万円

ここで見ていただきたいのは、右端の「累計」です。55歳で2割下がり、60歳の定年後にさらに再雇用で下がる。役職定年から65歳までの10年間で失う金額は、年収1,000万円の方なら軽く2,000万円を超えます。そしてこの金額は、退職金の算定基礎給が下がることで、退職金にも跳ね返る会社があります。

年収の減り方と手取りの関係、住民税が翌年に来る仕組みなどは年収・手取りガイドにまとめています。減額後の年収で住宅ローン・教育費・親の介護が回るかどうかは、役職定年の2〜3年前に必ず試算してください。

廃止に動く大手企業:NEC・大和ハウス・ダイキンの事例

企業 時期 内容 私の見方
NEC 2021年 56歳で一律に管理職を外れる役職定年制を廃止。約1,000人(全社員の5%)を管理職に復帰させ、役員の上限年齢も撤廃 年齢ではなく職務・成果で処遇するジョブ型への移行と一体
大和ハウス工業 2022年4月 一律60歳の役職定年制を廃止。60歳以降も役職任用・昇格の機会を残し、減給前提の賃金体系を見直し。2025年4月からは65歳・67歳を選べる「67歳選択定年制度」を導入 「シニアに選ばれない会社は生き残れない」という危機感が背景
ダイキン工業 定年延長時 年功的・属人的な手当を廃止して総額人件費を抑制しつつ、賃金カーブ全体の引き下げは行わず 「下げる」のではなく「年功分をなくす」設計。若手にも公平

廃止の背景にあるのは、ジョブ型雇用への移行人手不足です。年齢で一律に役職を外し、給料を下げる制度は、「年齢ではなく職務で処遇する」というジョブ型の思想と矛盾します。そして何より、55歳の部長を一律に外す余裕が、もう多くの会社にありません。厚生労働省が2024年9月に公開した「高齢者の活躍に取り組む企業事例」14社のうち9社が役職定年制の廃止に言及しており、この流れは今後も続くと私は見ています。ジョブ型への移行が転職市場に与える影響はジョブ型雇用と転職完全ガイドで解説しています。

ただし、繰り返しますが廃止=安泰ではない。NECの事例は、裏を返せば「成果を出せなければ年齢に関係なく降りる」制度への移行でもあります。役職定年の廃止を「あと10年このまま」と受け取るのは危険です。

役職定年を迎えた人の3つの選択肢:残る/転職する/顧問・業務委託になる

選択肢 収入の目安 メリット デメリット 向いている人
①残る
(役職定年後も同じ会社で働く)
2〜3割減。60歳以降はさらに減 収入が途切れない。退職金・年金の見通しが立つ。慣れた環境 モチベーション低下(59.2%)。年下上司。60歳・65歳でまた条件が下がる 専門性が社内に紐づいている人。住宅ローンなど固定費が重い人
②転職する
(中堅・中小・ベンチャーの幹部へ)
現年収の7〜10割。役員なら上振れも 役職と裁量を取り戻せる。65歳以降も続く可能性 椅子の数が少ない。年収が一度下がることも。カルチャーギャップ マネジメント・専門性に市場価値がある人。50代前半までに動ける人
③顧問・業務委託・複業
(在籍しながら/退職して)
月10〜50万円×複数社 経験を「切り売り」できる。70歳以降も続けやすい。定年がない 収入が不安定。営業力が必要。社会保険の扱い 特定分野の実績・人脈がある人。会社の看板なしで語れる人

私が面談でお伝えしているのは、この3つは排他ではないということです。最も現実的なのは「①残りながら③を副業として始め、手応えがあれば②や③本業へ移る」という組み合わせです。副業を認める大手は増えており、役職定年後は残業も減るので、副業を始める時間的余裕はむしろある。副業経由でスタートアップに移る流れは副業・業務委託からのスタートアップ転職ガイドにまとめています。

②転職する場合:50代の「椅子」はどこにあるか

50代の転職で椅子があるのは、主に次の4つです。

  • 中堅・中小企業の経営幹部——大手で部長をやった人の「仕組み化」経験を、売上50〜300億円規模の会社が欲しがっている。年収は800〜1,200万円が中心
  • スタートアップのCxO・事業責任者——特に管理部門(CFO・CHRO・法務・内部監査)はIPO準備で需要が高い。CXO転職ガイドで詳述
  • PEファンドの投資先企業——ファンドが買収した会社に「プロ経営者・幹部」として入る。実績があれば年収は上振れする
  • 同業他社・取引先——最も現実的。業界知識と人脈がそのまま使える

一方で、「大手から大手へ、同じ役職で」という転職は、50代ではほぼ成立しません。転職先も同じ役職定年制を持っている可能性が高く、そもそも50代の部長を外から採る大手は稀です。50代のベンチャー転職の成功例・失敗例は50代のベンチャー・スタートアップ転職完全ガイドを参照してください。

③顧問・業務委託:「大手部長の経験」はいくらで売れるか

顧問の報酬相場は、月1〜2回の稼働で月10〜30万円、週1稼働で月30〜50万円が目安です。3社と契約できれば、役職定年後の減額分を埋めるどころか上回ることもあります。ただし、顧問として売れるのは「部長だった」という肩書きではなく、「〇〇業界の大手に営業ルートがある」「上場準備の内部統制を3回やった」といった、具体的で再現可能な経験です。顧問紹介サービスの仕組みはスタートアップの採用支援(RPO・エージェント・顧問)の違いでも触れています。

役職定年の3年前から始める準備:6ステップ

ステップ 時期の目安 やること
1. 自社制度を正確に把握する 3年前(52歳頃) 就業規則・賃金規程で対象年齢、減額の中身、異動の有無、退職金への影響、副業規定を確認。人事に直接聞いてよい
2. 家計の「減額後シミュレーション」 3年前 2割減・3割減・5割減の3パターンで、65歳までの収支を試算。住宅ローンの繰上げ・借換えの要否を判断
3. 社外での市場価値を測る 2〜3年前 職務経歴書を作り、エージェント2〜3社と面談。スカウトサービスに登録して反応を見る。市場価値の測り方参照
4. 社外で通用する「看板」を作る 2年前〜 社外セミナー登壇、業界団体、資格、SNS発信。会社名なしで自分を説明できる材料を作る
5. 副業・顧問を小さく始める 1〜2年前 副業が認められていれば、月数万円でも1社と契約してみる。「売れるか」を実地で確認
6. 役職定年の1年前に決断する 1年前(54歳頃) 残る/転職/顧問の組み合わせを決める。転職するなら役職に就いているうちに動く(肩書きがある方が採用されやすい)

ステップ6は特に重要です。転職市場では「現職・部長」と「元部長・専門職」では評価がまったく違います。同じ人でも、役職定年の前に動くか後に動くかで、オファーの役職と年収が変わる。私の経験上、これは本当に大きな差です。役職定年の通知が来てから動くのでは、この最大の武器を手放してから戦うことになります。

役職定年で失敗する7つのパターン

# 失敗パターン 何が起きるか 回避策
1 通知が来てから考え始める 選択肢が「残る」しか残っていない。転職するにも肩書きがすでにない 52歳までに制度確認と市場価値の確認を済ませる
2 「自分は例外」と思っている 実績があるから残してもらえると期待し、一律で外れて心が折れる 制度は一律。例外を期待せず、例外にならなくても困らない準備を
3 減額後の家計を試算していない 子の大学進学・住宅ローン・親の介護が重なり、資金が回らない 3パターンで65歳までの収支を作る
4 元部下の下で腐る モチベーション低下(59.2%)。「昔はこうだった」で周囲から距離を置かれ、再雇用の条件も下がる 役職を降りた瞬間に「元」を捨てる。若手を立てる側に回ると評価は上がる
5 肩書きで転職しようとする 「大手の部長でした」しか語れず、書類で落ち続ける 「何を・どれだけ・どうやって」を数字で。会社名を外しても通じる実績に翻訳する
6 年収を下げない転職に固執する 椅子が見つからず1年経過。焦って条件の悪い会社に決める 「今の年収」ではなく「役職定年後の年収」と比較する。それより上なら転職は成功
7 希望退職と役職定年を混同する 「どうせ下がるなら」と割増退職金に飛びつき、次が決まらない 希望退職は次が決まってから。希望退職に応じるべきかの判断基準を確認

7つのうち、私が最も多く見てきたのは6の「年収を下げない転職に固執する」です。比較対象を間違えている。役職定年で1,000万円が800万円になる方にとって、年収850万円で役員になれる転職は「150万円のダウン」ではなく「50万円のアップ+役職の回復」です。この比較ができるかどうかで、50代の転職の成否はほぼ決まります。転職で後悔するパターンはベンチャー転職の失敗・後悔ガイドにもまとめています。

年代別:役職定年に向けて、いま何をすべきか

年代 状況 いまやるべきこと
40代前半 役職定年まで10年以上。管理職に上がる時期 「役職定年がある会社かどうか」を認識する。あるなら、社外でも通用する専門性を1つ決めて深める
40代後半 部長・課長として最も脂が乗る時期。転職市場でも最後の売り時 エージェントと一度は会っておく。管理職の転職の相場を知る。副業規定を確認
50代前半(〜54歳) 役職定年の直前。役職があるうちに動ける最後の期間 制度・家計・市場価値の3点確認。転職するなら今。残るなら副業・顧問の準備
55〜59歳 役職定年後。60歳定年まで5年 「元」を捨てて社内で信頼を作り直す。顧問・業務委託の実績を積む。60歳以降の再雇用条件を確認
60代 再雇用または転職・独立 在職老齢年金(2026年4月から基準額65万円)を踏まえて働き方を設計。顧問・複業を本格化

60代の方に一点だけ補足すると、2026年4月から在職老齢年金の支給停止基準額が65万円(2025年度は51万円)に引き上げられました。給与と年金の合計が月65万円を超えなければ、年金は減額されません。以前は「働きすぎると年金が減る」と稼働を抑える方が多かったのですが、この改正で、60代でも顧問や業務委託でしっかり稼ぐ選択がしやすくなっています。

企業側のみなさんへ:役職定年を「残す」なら設計を変える

この記事は当事者向けですが、経営者・人事のみなさんにも一言。役職定年を残すこと自体は、ポストの流動性を保つ手段として合理的な面もあります。ただ、仕事の中身が変わらないのに年収だけ2〜3割下げる設計は、59.2%のモチベーション低下と、優秀な人ほど社外へ流出する結果を生みます。

私がスタートアップの採用を支援していて感じるのは、大手で役職定年を迎えた50代の方は、スタートアップにとって「宝の山」だということです。仕組み化、大企業との取引、上場準備——スタートアップに足りないものを持っている。大手が一律に外した人材を、スタートアップが幹部として迎える。この人材の流れは今後さらに太くなると見ています。採用側の設計はスタートアップ採用ガイドを参照してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 役職定年は何歳が一般的ですか?

高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査では平均54.0歳(2017年)で、55歳が最も多く、50代前半〜半ばに集中しています。定年60歳の会社では55歳、定年65歳の会社では57〜60歳に設定するケースもあります。自社の就業規則・賃金規程で必ず確認してください。

Q2. 年収はどのくらい下がりますか?

目安は2割程度、大きい会社で3割です。ダイヤ高齢社会研究財団の調査では9割以上の人が年収減となり、約4割が50%未満まで下がっています。役職手当の廃止だけで済む会社と、等級ダウンで基本給・賞与まで下がる会社で大きく差が出ます。

Q3. 役職定年は違法ではないのですか?

就業規則に定められ、合理的な制度として運用されていれば違法ではありません。年齢を理由とした差別との指摘はありますが、現行法で直ちに無効となるものではないのが実情です。ただし減額幅が著しく大きい、役職定年を口実に退職を迫るなどのケースは争いになることがあります。

Q4. 役職定年を廃止する企業が増えているのは本当ですか?

本当です。人事院の調査では役職定年制がある企業は2007年の23.8%から2023年には16.7%に減少しました。NEC(2021年)、大和ハウス工業(2022年)など大手の廃止事例が続き、厚労省の2024年の企業事例集でも14社中9社が廃止に言及しています。ただし従業員500人以上では27.6%が制度を残しています。

Q5. 役職定年後、転職はできますか?

できますが、役職に就いているうちに動くほうが圧倒的に有利です。「現職・部長」と「元部長」では評価が違います。椅子があるのは中堅・中小企業の幹部、スタートアップのCxO・管理部門責任者、PEファンド投資先、同業他社・取引先です。大手から大手への同格転職は50代ではほぼ成立しません。

Q6. 役職定年と希望退職はどう違いますか?

役職定年は雇用を続けたまま役職と給与が下がる制度、希望退職は割増退職金と引き換えに退職する募集です。役職定年の前後に希望退職の募集が重なることがあり、「どうせ下がるなら」と応じる方がいますが、次が決まっていない状態での応募は避けてください。判断基準は希望退職の記事で詳しく解説しています。

Q7. 副業や顧問はいつから始めるべきですか?

副業が認められていれば、役職定年の1〜2年前から小さく始めることを勧めます。月数万円でも「社外で自分の経験が売れるか」を実地で確認できるからです。役職定年後は残業も減るため時間的余裕はむしろ増えます。就業規則の副業規定と、競業避止の範囲は事前に確認してください。

Q8. 役職定年後に社内に残る場合、どう振る舞えばいいですか?

役職を降りた瞬間に「元」を捨てることです。元部下が上司になっても、「昔はこうだった」を言わない。若手を立て、自分の経験は求められたときにだけ出す。この振る舞いができる方は、社内での信頼が上がり、60歳以降の再雇用条件や、社外からの顧問の話にもつながります。

まとめ:役職定年は「通知が来る前」に勝負が決まる

もう一度、3つの問いを並べます。

  1. 自社の制度で、何歳に、何がどう変わるか——就業規則で確認。減額幅は2〜3割、約4割の人は半分以下
  2. 社外での自分の値段はいくらか——役職があるうちにエージェント・スカウトで確認する
  3. 60歳・65歳・70歳まで、どう働くか——残る/転職/顧問・複業を組み合わせる

役職定年制がある企業は減っていますが、500人以上の大企業では4社に1社以上がまだ残しています。そして制度が廃止されても、成果次第で降りるポストオフ型に変わるだけです。「会社が何とかしてくれる」時代は、大手であっても終わりました

最後に、25年やってきて確信していることを1つだけ。役職定年で人生が変わるのではありません。役職定年の3年前に、社外に自分の値段を確認しに行ったかどうかで変わります。通知を受け取ってから動き始めた方の選択肢は、いつも「残る」だけでした。52歳で動き始めた方は、役員として、顧問として、あるいは残りながら複業で、それぞれ納得のいく60代を迎えています。

キープレイヤーズでは、私自身が経営者と直接お会いしている企業を中心に、50代の経営幹部転職・顧問契約・複業のご相談を承っています。「役職定年まで2年。まず自分の市場価値を知りたい」「残るべきか、動くべきか、率直な意見が欲しい」——こうしたご相談にこそ、25年分の相場観でお答えできると思います。ベンチャー転職の完全ガイドとあわせて、ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、文部科学省アントレプレナーシップ推進大使。1万2000件以上のキャリア面談、4,000名以上の経営者と採用相談にのる。80社以上のエンジェル投資、投資して上場は9社。うち2社は役員として上場(クラウドワークス、メドレー)。178社以上の上場支援実績。顧問・社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数300回以上。「ベンチャーの作法」(ダイヤモンド社)5万部を超えるベストセラー

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