こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職支援を27年続けているキープレイヤーズの高野秀敏です。
ここ数日、上場企業の経営企画や管理部門の責任者の方から「CTOとCISOを急いで採りたい」というご相談が相次いでいます。情報漏洩やランサムウェアのニュースが続き、2026年10月21日にはPHPの緊急脆弱性について総理大臣がXで直接対応を呼びかけるという、異例の事態も起きました。正直に申し上げると、私の実感ではいまCISO・CTOの採用相談は殺到していて、候補者側の市場は完全に売り手です。
この記事では、経営者の方に向けて「なぜ今CISO・CTOを置くべきなのか」をデータで整理したうえで、年収相場、採り方の比較、ヘッドハンティングの仕組みと費用まで、公開情報で確認できた数字と私の現場感でまとめました。
この記事でわかること
- いま経営者がCISO・CTOを採るべき理由(被害事例と2026年の制度の変化)
- 日本企業のCISO・CTOの設置状況(日米比較と新規上場103社の自社調査)
- CISO・CTO・VPoE・情シス部長の役割の違い
- CISO・CTOの年収相場(日本・米国)と外部CISOの月額相場
- 採り方の比較と、ヘッドハンティングの仕組み・費用・期間
- 採用で失敗しないために経営者が先に決めておくこと
なぜ今、経営者はCISO・CTOを採るべきなのか

結論から申し上げると、サイバー攻撃はもう「情シスの問題」ではなく、決算に直結し、株価にも響く経営の問題になりました。2025〜2026年に起きたことを並べると、それがよくわかります。
| 時期 | 出来事 | 経営への影響 |
|---|---|---|
| 2025年〜2026年 | アサヒグループHDがランサムウェア被害 | 2025年12月期の決算発表が約5ヶ月遅れ(2026年7月8日)、純利益は前期比36.7%減。漏えいを確認した個人情報は約11.5万件 |
| 2026年1月 | アスクルがランサムウェア障害の対応費用を公表 | 特別損失 約52億円 |
| 2026年上半期 | 警察庁へのランサムウェア被害の報告 | 123件で半期として過去最多。復旧に1,000万円以上かかった組織が約6割 |
| 2026年10月1日 | 能動的サイバー防御関連法が一部施行 | 基幹インフラ事業者にインシデント報告の義務 |
| 2026年10月21日 | PHPに緊急脆弱性2件(CVSS v4.0で9.2) | 認証なしで遠隔からコードを実行されるおそれ。高市総理がXで「今夜に対応して頂きたい大至急のお願いです」と異例の呼びかけ |
PHPは世界のWebサイトの約7割で使われていると報じられています。WordPressで作られたコーポレートサイトや採用サイトもPHPで動いていますので、「うちはIT企業ではないから関係ない」という会社はほぼありません。問題は、その夜に「誰が判断して、誰が動くのか」を決めている会社が少ないことです。
開示の面でも流れははっきりしています。米国SECは、重大なサイバーインシデントと判断してから4営業日以内の開示を上場企業に求めています(2023年12月から適用)。日本でも2026年のコーポレートガバナンス・コード改訂で、取締役会が整備・監督するリスク管理体制の考慮事項として、サイバーセキュリティのリスクが明記されました。「誰が責任者なのか」を株主や取締役会から問われやすくなっているのは間違いありません。
データで見る:日本企業のCISO・CTOは足りていない

では、日本企業の責任者の配置はどうなっているのでしょうか。公開されている調査と、キープレイヤーズが独自に行った新規上場企業の調査を並べます。
| 指標 | 日本 | 比較 | 出典 |
|---|---|---|---|
| CISOを置いている企業 | 39.4% | 米国96.2%・豪州96.0% | NRIセキュア(2022年12月公表) |
| 従業員1万人以上の企業のCISO設置率 | 65.3% | 大企業でも3社に1社は不在 | 同上 |
| セキュリティ人材が「不足している」と答えた企業(「どちらかといえば」を含む) | 89.8% | 米国9.7%・豪州10.8% | 同上 |
| CDO(最高デジタル責任者)が在籍する企業 | 11.7% | 米国50.5% | IPA『DX動向2025』 |
| 新規上場企業で上場時にCTOの肩書を確認できた企業 | 20.4%(103社中21社) | 約8割で確認できず | キープレイヤーズ調べ(2026年10月) |
NRIセキュアの調査では、不足している人材でいちばん多かったのが「セキュリティ戦略・企画を策定する人」(50.9%)でした。つまり、手を動かすエンジニアより先に、経営と技術の間に立って判断できる人が足りていないということです。ISC2の調査でも、日本のセキュリティ人材の不足は約11万人(2023年)と推計されています。
CTOも同じ構図です。キープレイヤーズが2025年1月〜2026年9月の新規上場企業103社を調べたところ、上場時点でCTOの肩書を確認できたのは21社だけでした。一方で、自社サービスにAIを組み込んでいる企業ではCTOの設置率が47.1%、それ以外の企業では15.1%と、約3倍の差がありました。詳しくは新規上場103社のCTO調査をご覧ください。
CISO・CTO・VPoE・情シス部長の違い

ご相談を受けると、「CTOとCISOを1人で兼ねられないか」「情シス部長を昇格させればいいのでは」という質問をよくいただきます。まず役割の違いを整理します。
| 役職 | 主な責任 | 経営会議での役割 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| CISO(最高情報セキュリティ責任者) | セキュリティ戦略、インシデント対応の指揮、規程・監査・開示 | サイバーリスクを経営リスクとして報告し、投資判断を求める | 個人情報・決済・基幹システムを持つ会社、上場企業 |
| CTO(最高技術責任者) | 技術戦略、プロダクト・AIの方向性、技術組織づくり | 技術で事業をどう伸ばすかを決める | 自社サービスを持つ会社、AIを事業に組み込みたい会社 |
| VPoE(エンジニアリング部門の責任者) | エンジニアの採用・育成・評価、開発プロセス | 開発組織の生産性と採用計画を報告 | エンジニアが20〜30人を超えてきた会社(私の経験上の目安) |
| 情シス部長 | 社内IT・端末・アカウント管理、ベンダー管理 | 社内ITの運用状況を報告 | すべての会社 |
私の実感として、小さな会社ではCTOがCISOを兼ねるケースは現実的です。ただし、事業が伸びて「攻め(プロダクト開発)」と「守り(セキュリティ・ガバナンス)」の両方が重くなると、1人では回りません。特に上場企業やIPO準備企業では、監査や開示に対応できるCISOを別に置くほうが安全です。情シス部長の昇格も選択肢ですが、経営会議でリスクと投資を語れるかどうかが分かれ目です。CTOの役割についてはCTO採用の進め方完全ガイドでも詳しく書いています。
CISO・CTOを置くべきタイミング

「いつ置けばいいのか」もよくいただく質問です。私がご相談を受けてきた中で、次のような状況になったら、責任者を決めるタイミングだと考えています。
| 会社の状況 | 起きやすい問題 | おすすめの体制 |
|---|---|---|
| IPO準備に入った(N-2期〜) | 監査法人・証券会社の審査でIT統制・セキュリティ体制を問われる | CTOに加えて、セキュリティの責任者を明確にする。CISOの兼任でも可 |
| 上場している | インシデントが起きると開示・株価・決算に直結する | 専任のCISOを置き、取締役会への報告ラインをつくる |
| 個人情報・決済データを大量に扱う | 漏えい時の賠償・信用低下が大きい | 専任CISO、または週1回以上関与する外部CISO |
| AIを自社サービスに組み込みたい | 技術の方向性を決める人がいないと、外注頼みで止まる | CTOを置く(AIの実装経験がある人) |
| エンジニアが20〜30人を超えた | 採用・評価・開発プロセスが回らなくなる | CTOとVPoEで役割を分ける |
| M&Aで会社を買った・統合する | システムや規程がばらばらで、穴ができやすい | グループ全体を見るCISO・CTOを置く |
ここで強調したいのは、CISO・CTOは「事故が起きてから」探しても間に合わないということです。後で説明するとおり、経営幹部の採用には半年前後かかります。インシデントが起きた直後は、社内も混乱していて候補者に会社の魅力を伝える余裕がありませんし、候補者からも「火消し要員」に見えてしまいます。
実際、今回のように脆弱性やランサムウェアのニュースが続くと、多くの会社が同じタイミングで「CISOを採りたい」と動き出します。候補者の数は急には増えませんから、早く動いた会社から良い人と出会っていくのが現実です。私のところにも、ここ数日で上場企業から同様のご相談が続けて届いています。
日米の事例:CTO・AI責任者を外から採った会社、つまずいた会社

「本当に外から責任者を採って成果が出るのか」と思われる経営者の方もいると思います。そこで、IT企業ではない事業会社が技術・デジタル・AIの責任者を置いて成果を出した例を、米国と日本から集めました。外部から責任者を招いて成果を出している会社が目立つのが特徴です。
| 企業(業種) | 誰が率いたか | 主な成果(会社発表) |
|---|---|---|
| Walmart(小売・米) | Google・Amazon出身のSuresh Kumar氏を2019年にCTOとして招へい | 生成AIで商品データ8.5億件超を作成・改善 |
| Lowe's(小売・米) | Target出身のSeemantini Godbole氏を2018年にCIOとして招へい | AIアドバイザーの利用客は非利用客の約3倍購入に至る(相関) |
| JPMorgan Chase(金融・米) | 2023年にCDAO(最高データ・アナリティクス責任者)を新設し社内から起用 | 週約15万人が社内AIを利用 |
| 日清食品HD(食品) | アクセンチュア・DeNA・メルカリ出身の成田敏博氏(2019年入社、のちにCIO) | 生成AIで年32,591時間の削減見込み |
| 中外製薬(製薬) | 日本IBM出身の志済聡子氏(2019年入社)、後任もマイクロソフト出身 | DX全体で約31万時間の業務削減(2024年まで) |
| 旭化成(化学) | 日本IBMのCTOだった久世和資氏(2020年入社) | デジタルプロ人材250人(2021年度)→1,206人(2023年度上期)、増益貢献28億円(2022年度) |
| カインズ(小売) | 日本オラクル・マイクロソフト・ミスミ出身の池照直樹氏(2019年入社、CDO) | デジタル組織を10人未満→約200人に |
| ヤマト運輸(物流) | 日本IBM・SOMPO出身の中林紀彦氏(2019年入社) | 外部から100人超を採り、約300人規模のデジタル組織に |
一方で、うまくいかなかった例にも共通点があります。
| 企業 | 何が起きたか | 教訓 |
|---|---|---|
| GE(米・製造) | Cisco出身者を2011年に招き、2015年にGE Digitalを設立。ソフトウェアに巨額を投じたが売上目標を下方修正し、2018年に責任者が退任・分社化 | 現場の課題より「ソフト会社になる」という外向きの目標を優先した |
| McDonald's(米・飲食) | 2019年にAI企業Dynamic Yieldを買収したが、2021年に売却で合意。IBMと組んだドライブスルーのAI注文も2024年に試験を終了 | AI企業を買って自前で抱えても、数年で手放して外部との提携に切り替える例もある |
| Klarna(スウェーデン・金融) | 2024年に「AIが700人分の仕事をしている」と発表したが、2025年に品質低下を理由に人間の採用を再開 | AIで人を置き換える方針を先に打ち出すと、品質で揺り戻しが来る |
| ソフトバンク(通信) | 「1人100個のAIエージェント作成」を指示し250万個できたが、大半が業務で使えなかったと報じられ「量から質」へ転換 | 量のノルマは使えない成果物を量産する |
成功例と失敗例を並べると、差は「技術の目利きができる責任者に、経営として権限と予算を渡したかどうか」にあると私は見ています。外から招いた責任者が数年で退任し、取り組みが続かなくなる例もありますので、採って終わりではなく、経営陣として支え続ける覚悟が必要です。なお、PwC Japanの2025年春の調査では、生成AIを活用している日本企業のうち「期待を上回る効果」が出たと答えたのは13%で、米国(51%)の約4分の1にとどまっています。12社それぞれの詳しい経緯と、AIを人事評価に組み込んだ事例は事業会社のAI推進 成功事例と失敗例【日米12社】で解説しています。
CISO・CTOの年収相場(日本・米国)

経営者の方が一番気にされるのが年収です。CISO・CTOとも、公開データの幅がかなり大きいのが実情です。外資・大手のハイエンドと、中堅・スタートアップでは1,000万円以上の差があると考えてください。
CTOの年収相場
| データ | 年収 | 出典・注記 |
|---|---|---|
| CTOの平均決定年収(JAC経由の決定者) | 約1,700万円 | JAC Recruitment(同社経由の転職決定者、2024年1月〜2026年2月) |
| 大企業/中堅/中小 | 約2,600万円/約1,500万円/約1,300万円 | 同上 |
| 想定給与(25%点/中央値/75%点) | 1,500万円/1,800万円/2,500万円 | ロバート・ハーフ(賞与除く) |
| 米国スタートアップCTOの平均給与 | シード14.6万ドル/シリーズA22.3万ドル/シリーズB24.5万ドル | Kruze Consulting(2024年) |
CISOの年収相場
| データ | 年収 | 出典・注記 |
|---|---|---|
| CISOの想定給与(25%点/中央値/75%点) | 2,800万円/3,500万円/4,300万円 | ロバート・ハーフ(全国の想定給与、賞与除く) |
| 外資系企業のCISO | 1,400万〜1,800万円 | Morgan McKinley(2023年、賞与除く) |
| 一部の大企業のCISO | 2,000万〜2,500万円超 | 同上 |
| 米国CISOの平均総報酬(株式報酬込み) | 164.8万ドル | Heidrick & Struggles(2024年調査、大企業中心) |
| 米国・カナダのCISOの報酬の伸び | 前年比+6.7% | IANS・Artico Search(2025年) |
私がご支援している現場の感覚では、グロース上場・中堅企業でCISO・CTOを採るなら、年収1,500万〜2,500万円が一つの目安です。スタートアップでは年収を1,000万〜1,500万円に抑え、ストックオプションで差を埋めるケースが多くあります。途中参画のCTOに付与するストックオプションは、私の見てきた範囲では発行済株式の0.5〜2%程度がよくある水準です。報酬の考え方は年収・報酬・ストックオプションのまとめも参考にしてください。
なお、正社員でいきなり採るのが難しい場合は、外部のCISO(vCISO・CISO顧問)を使う手もあります。ベンダーが公表している価格の一例では、関与時間に応じて月10万〜80万円程度、週1回は会議に参加するような深い関与だと月100万〜300万円という価格帯があります。
CISO・CTOの採り方を比較する

採り方は大きく5つです。それぞれ向き・不向きがあります。
| 採り方 | メリット | デメリット | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 社内登用 | 社内事情に詳しい、採用費がかからない | 経営視点・社外の知見が足りないことが多い | 候補になる人材がすでに社内にいる |
| 求人広告・ダイレクトリクルーティング | 費用を抑えられる | CISO・CTO級が転職市場に出てくることは少ない | マネージャー・リード層の採用 |
| 人材紹介(成功報酬型) | 採用できるまで費用がかからない | 紹介会社は決まりやすい案件を優先しがち。母集団は登録者に限られる | 要件が一般的で、急ぎでない |
| ヘッドハンティング(エグゼクティブサーチ) | 転職活動をしていない層にも直接アプローチできる | 着手時や月額の費用がかかる | CISO・CTO・CxOなど経営幹部 |
| 外部CISO・技術顧問 | すぐに始められる、月額で調整できる | 社内に常駐しない。責任の所在があいまいになりやすい | 正社員採用までのつなぎ、小規模な会社 |
CISO・CTOクラスの方は、ほとんどが今の会社で活躍していて、自分から転職サイトに登録することはほとんどありません。ですから、求人を出して待つだけでは出会えないのが現実です。採用手段の全体像は企業側の採用・人材戦略のまとめでも整理しています。
事業会社は「技術顧問から始める」のはありか

製造・小売・物流などの事業会社の経営者からは、「いきなり年収2,000万円のCTOを採るのは不安。まず技術顧問に入ってもらうのはどうか」というご相談もよくいただきます。私の答えは、「ありです。ただし、正社員の責任者を採るまでの“助走”と位置づけるなら」です。
| 観点 | 技術顧問・外部CISOから始める | 正社員のCTO・CISOを採る |
|---|---|---|
| 費用 | 月額で始められ、合わなければ見直せる | 年収1,500万円以上+採用費。簡単には戻れない |
| スピード | 早ければ数週間で始められる | 採用まで半年前後 |
| 責任の所在 | 最終責任は社内に残る。顧問は助言役 | 責任者として意思決定と実行を担う |
| 社内への浸透 | 月数回の関与では現場が変わりにくい | 日々の判断・採用・育成まで任せられる |
| 向いている使い方 | 現状診断、要件定義、CTO・CISO候補の面接同席 | 中長期の技術戦略・組織づくり |
事業会社が技術顧問をうまく使っている例では、顧問に「自社に必要なCTO・CISO像を言語化してもらい、採用面接にも同席してもらう」という使い方をしています。経営者だけでは技術の目利きが難しいので、ここを顧問が補うわけです。逆に、顧問を入れたことで安心して責任者の採用を先送りし、何年も「助言はもらっているが誰も実行しない」状態になる会社も少なくありません。顧問の契約期間のうちに、責任者を採るか育てるかを決めることをおすすめします。
ヘッドハンティングの仕組みと費用

ヘッドハンティングとは、企業から依頼を受けたヘッドハンターが、転職市場に出ていない人も含めて候補者を探し、直接アプローチする採用手法です。料金の受け方で大きく2つに分かれます。
| 項目 | 成功報酬型(コンティンジェンシー) | リテイナー型(リテインド) |
|---|---|---|
| 費用の発生 | 入社が決まったときだけ | 着手時や月額で発生し、入社時に残りを支払う |
| 手数料の目安 | 理論年収の30〜35%前後(一般的な人材紹介は25〜35%) | 理論年収の30〜35%前後。届出の実例では「年収の3分の1を3回に分けて支払い、最低800万円」というものも |
| ヘッドハンターの動き方 | 複数社の案件を並行し、決まりやすいものを優先しがち | その会社の案件に時間を確保して探す |
| 向いている採用 | マネージャー層・一般的な職種 | CISO・CTO・CxO・事業責任者 |
厚生労働省の職業紹介事業報告(2024年度実績の速報、2026年3月公表)によると、民営の職業紹介で常用就職1件あたりの手数料は約103万円です。ただしこれは全職種の平均で、経営幹部のヘッドハンティングでは年収が高いぶん手数料の額も大きくなります。手数料率の実態は厚労省データで見る人材紹介の手数料で詳しく比較しています。
ヘッドハンティングの流れと期間
| ステップ | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 要件定義 | 社長・経営陣と、ミッション・権限・年収・ストックオプションをすり合わせる | 1〜2週間 |
| 2. 候補者リスト作成 | 競合・同業・異業種から候補を洗い出す(ロングリスト) | 2〜4週間 |
| 3. アプローチ | ヘッドハンターが直接連絡し、カジュアルに話す場をつくる | 1〜2ヶ月 |
| 4. 面談・選考 | 社長面談、経営陣との会食、リファレンスチェック | 1〜2ヶ月 |
| 5. オファー・入社 | 条件交渉、現職の引き継ぎ | 1〜3ヶ月 |
ロバート・ハーフも、ヘッドハンティング(エグゼクティブサーチ)の期間は4〜6ヶ月程度、エグゼクティブでは1年以上かかることもあるとしています。CISO・CTOは「急いで採る」ほど失敗しやすいので、半年はかかる前提で動き出すことをおすすめします。ヘッドハンティングそのものの基本はヘッドハンティングとは?仕組み・費用相場の解説にもまとめています。
キープレイヤーズが月額制にしている理由
キープレイヤーズのヘッドハンティングは、月額20万円〜・6ヶ月契約からの月額制です(成功報酬など詳細は個別にご相談)。成功報酬だけの形はお受けしていません。正直に申し上げると、成功報酬型ではヘッドハンターは「決まりそうな案件」から動きます。CISO・CTOのように難しい案件ほど後回しになり、結果が出ないのです。月額をいただくことで、その会社のために時間を確保し、転職を考えていない方にまで一人ひとり会いに行くことができます。
CISO・CTO採用で失敗しないために経営者が決めておくこと

経営者JPの調査(2022年、有効回答101名と小規模な調査)では、マネジメント層の採用でミスマッチを経験したエグゼクティブが86.2%にのぼり、原因の最多は「環境への適応」(61.4%)でした。幹部採用の失敗は、スキル不足より「入ってから役割がかみ合わない」ことで起きるケースが多いことがうかがえます。私の実感とも一致します。
| よくある失敗 | 何が起きるか | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 役割があいまい | CISOが「なんでも屋の情シス」になり、半年で辞める | 責任範囲と、経営会議・取締役会への報告ラインを決める |
| 権限と予算がない | 課題を指摘しても投資が通らず、形だけの責任者になる | 初年度のセキュリティ・技術投資の予算枠を用意する |
| 年収を社内基準で決める | 市場相場とかけ離れ、最終面接で辞退される | 市場相場をもとに、例外の報酬テーブルを用意する |
| 社長が面接に出ない | 候補者が「本気ではない」と判断する | 初回面談から社長が会う |
| 1人に攻めと守りを両方任せる | CTOがセキュリティ対応に追われ、プロダクト開発が止まる | CTOとCISOの役割を分けるか、外部CISOで補う |
幹部採用の失敗パターンはCxO・経営幹部のキャリアと採用のまとめでも取り上げています。「何を任せ、どこまで権限を渡すか」を社長が言葉にできるかどうかで、採用の成否はほぼ決まります。
CISO・CTO採用に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 中小企業やスタートアップにもCISOは必要ですか?
専任のCISOが必要かどうかは規模によりますが、「セキュリティの責任者が誰か」を決めておくことは、どの規模の会社でも必要です。最初はCTOや管理部門の役員が兼任し、外部CISOで補う形でも構いません。
Q2. CTOとCISOは1人で兼任できますか?
創業期や数十人規模なら現実的です。ただし、上場準備に入ったり、個人情報・決済を大量に扱うようになったりしたら、役割を分けることをおすすめします。
Q3. CISO・CTOの年収はどれくらい用意すればいいですか?
中堅・グロース上場企業なら年収1,500万〜2,500万円が一つの目安です。ロバート・ハーフの想定給与では、CISOの中央値が3,500万円(賞与除く)というデータもあります。スタートアップでは年収を抑え、ストックオプションで補うのが一般的です。
Q4. 採用までにどれくらいの期間がかかりますか?
ヘッドハンティングで4〜6ヶ月、長いと1年以上かかります。急ぎの場合は、外部CISOや技術顧問でつなぎながら正社員採用を進めるのが現実的です。
Q5. 成功報酬型の人材紹介ではなぜ採れないのですか?
CISO・CTO級の方は転職サイトに登録していないことが多く、登録者の中から紹介する方式では母集団が足りません。また、成功報酬型では難しい案件ほど後回しになりやすいという構造的な問題があります。
Q6. 情シス部長をCISOに昇格させるのはありですか?
ありです。ただし、経営会議でリスクと投資を説明でき、インシデント時に社外(顧客・当局・株主)への対応を指揮できるかが条件です。足りない部分は外部の専門家で補う形もよく見ます。
Q7. ヘッドハンティングを頼むとき、何を準備すればいいですか?
任せたいミッション、報告ライン、年収とストックオプションの上限、社長が面談に使える時間の4つです。これが決まっていれば、すぐに候補者探しを始められます。
まとめ:CISO・CTOは「事故が起きてから」では採れない

この記事のポイントをまとめます。
- サイバー攻撃は決算に直結する経営の問題になり、「誰が責任者か」が株主や取締役会から問われやすくなっている
- 日本企業のCISO設置率は39.4%(米国96.2%)、新規上場企業でCTOを確認できたのは約2割
- 年収の目安は中堅・グロース上場で1,500万〜2,500万円、CISOは想定給与の中央値が3,500万円というデータもあり、上位層はそれ以上
- CISO・CTO級が転職市場に出てくることは少ないため、ヘッドハンティングで直接会いに行くのが基本
- 採用期間は半年が目安。事故が起きてから探し始めても間に合わない
キープレイヤーズでは、21年にわたり、CTO・CFO・COOなど経営幹部の採用を数多くご支援してきました。CISO・CTO・VPoEの採用でお困りの経営者の方は、ぜひ一度キープレイヤーズにご相談ください。社長との面談から、要件のすり合わせ、候補者へのアプローチまで、私が直接伴走します。
また、私のオンラインサロンでは、経営や採用のご相談に日々お答えしています。ご興味のある方は高野秀敏のオンラインサロンものぞいてみてください。

