エンジニア採用が難しい理由と、うまくいっている会社の10のポイント【2026年最新】求人倍率11.06倍の実態・PayCareer終了後の採用手法比較・スタートアップの選考フロー設計・AI時代の要件定義を高野秀敏が解説

執筆者:高野秀敏
株式会社キープレイヤーズ/代表取締役
東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、12,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。80社以上の投資、9社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。178社上場支援実績あり。顧問、アドバイザー、社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。「ベンチャーの作法」ダイヤモンド社5万部を超えるベストセラー

こんにちは、ベンチャー・スタートアップ・CxO転職の支援をしているキープレイヤーズの高野秀敏です。27年、経営者・CxO・幹部人材の転職を1,000人以上、面接前後で伴走してきました。企業側の採用支援も含めると、これまで関わった会社は数千社になります。

「エンジニアが足りない、採用したい」という相談は、この10年ずっと途切れたことがありません。一方で「エンジニア採用が順調すぎて困る」という会社の話はほとんど聞かない。ただ、私の実感では採れている会社と採れていない会社の差は、お金の差ではなく設計の差です。年収を100万円積んでも採れない会社がある一方、相場並みの年収でも毎月コンスタントに採れている会社がある。

この記事は2021年に「エンジニア採用がうまくいっている会社の5つのポイント」として書いたものを、2026年の市場データで全面的に書き直しました。当時おすすめしていた面談課金型サービスのPayCareerは、2025年4月の職業安定法改正で面談課金モデルが継続できなくなり、2025年6月30日にサービス自体を終了しています。そうした環境変化も踏まえて、なぜエンジニア採用が難しいのか、うまくいっている会社は何が違うのか、手法ごとの費用と向き不向き、選考フローの設計、AI時代に要件をどう変えるべきかまで整理します。

採用戦略の全体像はスタートアップ採用ガイド、CTO・VPoEクラスの採用はCTO/VPoE採用・転職ガイド、ミスマッチの防ぎ方は採用ミスマッチが起こる7つの原因と防ぐ対策もあわせてご覧ください。

エンジニア採用がうまくいっているBespoke社の事例は、こちらの動画でも紹介しています。

この記事でわかること
  • 2026年のエンジニア採用市場——転職求人倍率11.06倍(doda 2026年6月)と2030年の人材不足予測
  • エンジニア採用が難しい7つの理由(外的要因と自社に原因があるもの)
  • うまくいっている会社の10のポイント(CTOの信頼、プロダクト、働き方、カルチャー、発信、年収公開、選考スピード、現場の関与、AI活用、英語)
  • 採れている会社/苦戦している会社の比較表
  • 採用手法9つの費用・向き不向き比較(スカウト媒体・求人広告・エージェント・リファラル・RPO)
  • スタートアップのエンジニア採用フロー7ステップと、フェーズ別に効く手法
  • 生成AIで変わった採用要件(レバテック調査:採用担当の4割超が「求めるスキルが変わった」)
  • 失敗パターン8つ、候補者の年代別の口説き方、FAQ 10問
目次

今回の相談

相談者(シリーズA・BtoB SaaSの代表・従業員25名):高野さん、エンジニアを今期3人採る計画なのですが、半年で1人も採れていません。スカウト媒体を2つ入れて、月に100通くらい送っていますが返信率は5%以下。エージェントにも頼んでいますが「御社の年収帯だと厳しい」と言われます。年収を上げるしかないでしょうか。

高野の回答:年収を上げる前に、まず3つ確認させてください。①求人票に年収レンジと技術スタックが具体的に書いてあるか、②スカウトの文面を誰が書いているか(人事だけで書いていないか)、③書類選考から一次面接まで何日かかっているか。私の経験上、返信率5%以下の会社はこの3つのどれかが崩れています。年収は「最後に上げる変数」です。この記事の順番で見直していきましょう。

2026年のエンジニア採用市場——なぜ「難しい」が続くのか

まず数字で市場を見ておきます。感覚で「厳しい」と言っているだけでは、経営会議で採用予算の議論ができません。

指標数値出典・時点
転職求人倍率(全職種)2.55倍doda転職求人倍率レポート 2026年6月
転職求人倍率(エンジニア・IT/通信)11.06倍(4月10.36→5月10.67→6月11.06)同上
参考:他職種の倍率営業2.85倍/企画・管理3.05倍/機械・電気エンジニア6.02倍/事務0.53倍同上(2026年6月)
求人数・転職希望者数の前年比求人数+16.6%/転職希望者数+6.7%同上(2026年6月)
2030年のIT人材不足最大約79万人(低位シナリオで約16万人)経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年)
ITエンジニアの平均年収469万円(全職種平均429万円)/20代398万・30代519万・40代649万・50代716万doda 平均年収ランキング2025(2024年9月〜2025年8月、約60万人)
エンジニアが転職で最も重視すること(1位回答)年収24.7%/働き方18.7%/やりたいことができるか14.1%/事業内容10.0%LAPRAS 2025年3月調査(エンジニア1,064名)
生成AIで「求めるスキルが変化した」採用担当4割超レバテック 2024年11月調査(企業担当者1,000名)

エンジニアの求人倍率は全職種の4倍以上です。「1人の候補者に11社の求人がある」市場で、会社側が選ぶ発想のままだと、選ばれる前に候補者が消えます。これが最初に頭を切り替えるべきポイントです。

エンジニア採用が難しい7つの理由

外的要因(市場)と内的要因(自社)を分けて考えるのが大事です。外的要因は嘆いても変わりませんが、内的要因は今日から直せます。

外的要因:市場の構造

  1. 需給の逆転が固定化している——上の表のとおり11倍。DX投資、データセンター・半導体関連、セキュリティの需要増で、2026年に入っても求人は増え続けています。
  2. 優秀な人ほど転職市場に出てこない——リファラルやスカウトで決まる層は、求人媒体に登録すらしません。「応募が来ない」のは当然で、待っていても会えない人たちがいます。
  3. フリーランス・副業という選択肢がある——正社員として囲い込もうとしても、業務委託で複数社に関わる働き方を選ぶ人が増えました。正社員一択の求人は母集団が小さくなります。

内的要因:自社で直せるもの

  1. 求人票に情報が無い——技術スタック、開発体制、年収レンジ、リモート可否が書いていない求人は、エンジニアには「読む価値がない」と判断されます。
  2. スキルの見極めができない——社内に評価できる人がいないと、レジュメの見た目で判断して優秀な人を落とし、口のうまい人を通してしまう。
  3. 選考が遅い——type転職エージェントの調査では、書類選考に4日以上かかると辞退率が約3割に上がります。平均は3.8日、1営業日以内に返す企業は約4割です。
  4. 経営陣がエンジニアを「コスト」として見ている——これが一番根深い。営業出身の経営者に多く、開発を「発注先」のように扱う会社は、採用できても定着しません。

エンジニア採用がうまくいっている会社の10のポイント

2021年版で挙げた5つに、この5年で確信を持った5つを足しました。全部やる必要はありません。ただ、①〜④のどれかが欠けている会社は、残りをどれだけ頑張っても採れないというのが実感です。

①CTO・技術リーダーがエンジニアから信頼されている

最初から一番難しいテーマで恐縮ですが、これが最重要です。エンジニア界隈で名前が知られている方がCTOやVPoEを務めている会社は、採用に困っていません。「あの人の下で働きたい」が最強の動機だからです。逆に言えば、優れたCTOかCTOクラスのリードエンジニアを1人採ることができれば、その後の採用難易度は一気に下がります。CTO自身の採用についてはCTO・VPoE採用/転職ガイドで詳しく書いています。

②プロダクトのユーザー数・ポテンシャルがある

せっかく作るなら多くの人に使われるサービスを作りたい、というエンジニアは多いです。受託やコンサルが悪いわけではありませんが、自社サービス志向のエンジニアは相対的に多い。現在受託中心でも、今後どんな自社プロダクトを作る計画があるのかを具体的に打ち出すと応募が変わります。もちろん、実現可能な計画であることが前提です。

③リモート・働き方の選択肢がある(ただし2026年は「ハイブリッド」が主戦場)

2021年の時点では「フルリモート可」が強力な武器でした。2026年はやや事情が変わり、大手を中心に出社回帰が進んだ結果、フルリモート求人そのものが減っています。だからこそ、リモート可の会社は今も差別化できます。全国どこからでも採用できるのは大きいですし、東京より給与水準が低い地方在住の優秀な方を採用できるケースもあります。バーチャルオフィスのovice(約4,000社導入)のようなツールで「リモートでも孤立しない」体制を作っている会社は、定着率も高い印象です。求職者側の実態はフルリモート転職完全ガイドにまとめています。

④プロダクトと技術を重視するカルチャー

ベンチャー・スタートアップは今も昔も、営業や事業開発の人が強い立場にある会社が多い。開発が軽視されている会社は、エンジニアにすぐ見抜かれます。「経営者に言ってもわからない」と思われた瞬間、採用できても定着しません。引く手あまたのエンジニアは、合わないと思えば短期で転職できてしまうのが現実です。技術投資の意思決定に、エンジニアの発言権があるかどうか。ここは面接で必ず見られています。

⑤英語だけでも仕事ができる体制

楽天だけでなく、英語だけで採用する会社が以前より増えました。U-NEXTもそうですね。英語で仕事ができる環境があると、海外在住のエンジニアや日本語に不安のある外国籍エンジニアが選択肢に入ります。母集団が一気に広がります。ベトナムなどでのオフショア開発でうまく回している会社も増えています。

⑥技術発信をしている(テックブログ・登壇・OSS)

採れている会社は例外なく発信しています。テックブログ、カンファレンスでの登壇、OSSへの貢献。エンジニアは応募前に必ず「この会社のエンジニアはどんな人か」を調べます。発信がゼロの会社は、その時点で候補から外れます。発信は採用広報であると同時に、社内エンジニアの学びとリテンションにも効きます。

⑦年収レンジを公開し、市場相場に合わせている

doda調べでITエンジニアの平均年収は469万円、30代で519万円、40代で649万円です(2025年版)。この相場を知らずに「月給25万円で経験者を採りたい」という求人を出しても応募は来ません。採れている会社は求人票に年収レンジ(例:600万〜900万円)を明記し、レンジ内で何が評価されるかも書いています。年収設計の考え方はエンジニアの年収査定と年収アップ完全ガイドを参考にしてください。

⑧選考スピードが速い(1営業日ルール)

書類が届いたら1営業日以内に返す。面接後は当日中にフィードバックを返す。これだけで辞退率が変わります。優秀なエンジニアは同時に3〜5社を受けています。返事が遅い会社は「自分に興味がない」と解釈され、他社に決まります。

⑨現場のエンジニアが選考と口説きに入る

人事だけでスカウト文を書き、人事だけで一次面接をしている会社は苦戦します。エンジニアはエンジニアの言葉でしか動きません。スカウトの技術的な部分は現場が書く、一次面接から現場エンジニアが出る、内定後に現場との面談を組む。この3つを徹底している会社は、決定率が明らかに高いです。

⑩AI活用の姿勢を明確に打ち出している

2026年に新しく加えたのがこれです。生成AIをどう開発に組み込んでいるか、AIツールの利用を推奨しているか、AI活用のガイドラインがあるか。ここが曖昧な会社は「時代に遅れている」と見られます。逆に「AIコーディングツールを全員に支給している」「AI前提で開発プロセスを再設計した」と打ち出せる会社は、今もっとも採用で差をつけています。

採れている会社/苦戦している会社の比較

項目採れている会社苦戦している会社
求人票技術スタック・開発体制・年収レンジ・リモート可否を明記「Web系開発」「年収:経験に応じて」だけ
年収設定市場相場を調べ、ターゲット層に合わせて設定社内の給与テーブルを基準に設定(相場と乖離)
ターゲットスキル優先で年齢幅を広げる「20代後半〜30代前半のみ」に固執
書類選考1営業日以内。迷ったら会う4日以上放置。レジュメの見た目で落とす
面接官一次から現場エンジニアが出る人事のみ、または社長のみ
面接内容スキル確認と動機づけを半々。技術的な課題を正直に話すスキル確認のみ、または「うちはすごい」の一方通行
選考回数2〜3回、2週間以内に完結4回以上、1ヶ月超
内定後現場メンバーとの食事や面談を組む。オファー面談で懸念を潰す内定通知を送って放置
発信テックブログ・登壇・OSSが継続的にあるコーポレートサイトの採用ページのみ
AIAIツール支給・活用方針を明示「セキュリティ上禁止」で止まっている

採用手法9つの比較——費用と向き不向き

2021年版では「そもそも接触できないならPayCareer」と書きました。会いたい人材に面談課金(1面談4.5万円)で会えるサービスで、実際に効果がありました。しかし2025年4月1日施行の職業安定法改正で、求職者に金銭などの利益を提供して応募や面談を促すことが禁止され、PayCareerは2025年3月31日に面談課金モデルを終了、同年6月30日にサービス自体を終了しました。同じモデルは今後使えません。現在の選択肢を整理します。

手法代表的なサービス(登録者規模)費用の目安向いている会社
エンジニア特化スカウトFindy(約9万人)、LAPRAS(約3万人)、Offers(約3.5万人)、Forkwell(約5万人)初期費用+成功報酬、または月額固定。Forkwellは6ヶ月60万円+成功報酬25%、または190万円で成功報酬なし現場エンジニアがスカウト文を書ける会社。GitHub等のアウトプットで見極めたい会社
汎用スカウト(ハイクラス)ビズリーチ(約319万人)、dodaダイレクト(約469万人)初期費用+成功報酬PM・テックリード以上、年収700万円超のポジション
SNS型スカウトYOUTRUST、Wantedly月額課金中心20〜30代、副業からの入社導線を作りたいスタートアップ
IT系求人広告Green(約130万人)、type(約439万人)掲載課金または成功報酬若手〜中堅の経験者を継続的に採りたい会社
エンジニア特化エージェントレバテック(約45万人)、Geekly、paiza(約36万人・スキルチェック付き)成功報酬:年収の30〜35%採用担当のリソースが無い会社。急ぎで1〜2名採りたい会社
リファラル社員紹介制度紹介インセンティブ10〜50万円程度すでに優秀なエンジニアが数名いる会社。最も決定率が高い
技術イベント・コミュニティ勉強会主催、カンファレンス協賛数万〜数百万円(協賛規模による)中長期でブランドを作りたい会社
採用代行(RPO)スカウト代行・面接調整代行月額30〜100万円程度媒体は入れたが運用が回らない会社
副業・業務委託からの正社員化Offers、YOUTRUST、直接契約業務委託費のみ互いに見極めてから正社員化したい会社。ミスマッチが最も少ない

登録者数は各社公表値ベースの目安です(2026年時点)。私の実感では、スタートアップで一番決定率が高いのはリファラルと副業からの正社員化で、次がエンジニア特化スカウト。エージェントは費用が高い分、急ぎの1名には効きます。RPOやエージェントの使い分けはスタートアップの採用支援はどこに頼む?RPO・エージェント・顧問の違いで整理しています。

スタートアップのエンジニア採用フロー7ステップ

  1. 要件定義——「誰を、なぜ、いつまでに」を1枚にする:技術スタック、担当プロダクト、期待する役割(テックリードか、メンバーか)、年収レンジ、入社希望時期。現場エンジニアと一緒に書きます。ここが曖昧なまま媒体を入れるのが一番の無駄です。
  2. 求人票とスカウト文の作成——技術的な部分は現場が書く:「なぜこの技術を選んだか」「今どんな技術的課題があるか」を正直に書く。きれいごとより課題のほうがエンジニアには刺さります。
  3. チャネル選定——フェーズに合わせて2〜3本:シードならリファラル+SNS型、シリーズAなら特化スカウト+リファラル、シリーズB以降はエージェントと求人広告を足す。全部入れると運用が回りません。
  4. スカウト運用——週次で返信率を見る:返信率5%未満なら文面かターゲットを変える。100通送って0人なら手法の問題ではなく、②か⑦(年収)の問題です。
  5. 選考——2〜3回・2週間以内・現場が出る:一次は現場エンジニアとのカジュアル面談、二次は技術課題かペアプロ、最終は経営陣。技術課題は「持ち帰り課題」より「一緒に1時間考える」形式のほうが辞退が少ないです。
  6. オファー——年収以外の懸念を潰す:オファー面談で、技術的な裁量、評価制度、リモート、AIツール、学習支援を具体的に説明する。候補者側の確認項目はオファー面談・条件交渉完全ガイドにまとめていますが、企業側はこの15項目を先回りして答えられる状態にしておくと決定率が上がります。
  7. 入社後90日——オンボーディングを設計する:メンター、最初の小さなリリース、1on1。ここを放置すると採用コストが全部無駄になります。

フェーズ別に効く手法——シード/シリーズA/シリーズB以降

フェーズ採用する人効く手法注意点
シード〜プレACTO/創業エンジニア1〜3名創業者のネットワーク、リファラル、副業からの参画、VC紹介年収より株式(SO)とビジョン。媒体はほぼ効かない
シリーズAメンバー〜テックリード3〜10名エンジニア特化スカウト+リファラル+テックブログ開始CTOがプレイヤーのままだと採用が止まる。VPoE候補を早めに
シリーズB以降組織化・専門職(SRE、データ、セキュリティ)エージェント、求人広告、イベント協賛、RPOを追加採用担当(テクニカルリクルーター)を置く。年収レンジの公開が必須になる

創業期にSOをどう使うかはストックオプション(SO)完全ガイド、幹部層の採用はスタートアップの幹部採用で失敗しないための完全ガイドを参照してください。

生成AIで採用要件はどう変わったか

レバテックが2024年11月に行った調査(採用担当者1,000名・IT人材3,000名)では、採用担当の4割超が「生成AIによってエンジニアに求めるスキルが変化した」と答えています。重要度が上がったのはコミュニケーションスキル(48.3%)、プロンプトスキル(38.5%)、ピープルマネジメント(29.8%)。下がったのはプログラミングスキル(26.0%)、資料作成スキル(24.6%)です。

海外では、スタンフォード大学の研究者らの調査で、2024年以降に22〜25歳の若手ソフトウェア開発者の雇用が約20%減少したと報告されています。「ジュニア枠がAIに置き換わる」という議論は日本でも始まっています。

ただ、私は「AIでエンジニアが要らなくなる」ではなく「求めるエンジニア像が変わる」と見ています。実際、日本の求人倍率は下がっていません。変わったのは次の3点です。

  • 「コードが書ける」は前提になり、「何を作るべきかを決められる」が差になる——要件定義、設計、ユーザー理解に比重が移った
  • AIツールを使いこなす前提で生産性を評価する——「AI禁止」の会社は、AI活用に慣れた候補者から敬遠される
  • ジュニア採用は「育てる設計」がないと成立しない——AIで代替できる作業だけを任せる想定のジュニア採用は、本人にも会社にも残らない

採用要件に「AIコーディングツールの活用経験」「AIを前提とした開発プロセスの設計経験」を入れる会社が増えました。求職者側の動きはエンジニアの転職で年収アップする方法でも触れています。

CTOの役割はステージに応じてマネジメントに変わる

エンジニア採用がうまくいっている会社のポイント - work

CTOは組織のステージによって、リードエンジニアタイプからVPoE・マネジメントタイプへ変化していく必要があります。自分がずっとプレイヤーとして動いていると、エンジニア組織は拡大しません。

せっかくCTOの魅力で採用できても、業務でコミュニケーションを取る回数が少なければ、離れてしまう可能性があります。1人目のCTOがリードエンジニアであり続けたい場合は、2人目としてマネジメントタイプのVPoEを連れてきてもらうことも視野に入れましょう。実際に連れてきてもらった事例もあり、これくらいのロイヤリティを持たせられている社長はすごいなと感じます。管理職の育成についてはミドルマネジャー(管理職)を育成する7つの重要ポイントで書いています。

論文・GitHub・登壇でスカウトする——母集団の作り方の工夫

どうしても採用できない場合は、手法そのものを工夫することが大切です。例えば、論文を見てスカウトを送っている会社があります。特定の領域を除いて、学問や資格はビジネスであまり重視されませんが、エンジニアであれば論文やOSSへのコントリビューション、カンファレンスの登壇、技術記事を通してスキルや思考力を見ることができます。

FindyやLAPRASのようにGitHubなどのアウトプットを可視化するサービスが普及した今、「レジュメを読む」より「アウトプットを読む」ほうが見極めの精度が高いのは間違いありません。逆に、アウトプットが無いから優秀でないとは言えない点にも注意が必要です。守秘義務の厳しい環境で優秀な人はたくさんいます。

候補者の年代別——何を伝えれば動くか

  • 20代:成長機会、技術的な挑戦、メンターの存在。年収は市場相場(20代平均398万円)を下回らないこと。「AI時代に育つ環境がある」と示せると強い。
  • 30代:裁量、技術選定への関与、テックリード・EMへのキャリアパス。平均519万円を意識。家庭を持つ人が増えるので、リモートやフレックスは実質的な年収差に匹敵します。
  • 40代:役割の明確さ、経営との距離、報酬の妥当性(平均649万円)。「年齢で弾いている」会社が多い中、スキル優先で門戸を開くだけで採れることがあります。
  • 50代:技術顧問、アーキテクト、若手育成。フルタイム正社員に固執せず、業務委託や週3勤務の設計を提示できると、他社が採れない層に届きます。

エンジニア採用の失敗パターン8つ

  1. 年収レンジを非公開にして「応募が来ない」と言う——2026年に非公開はほぼ機能しません。
  2. 人事だけでスカウト文を書く——技術の話が抽象的で、エンジニアには「テンプレ」と一瞬で見抜かれます。
  3. 持ち帰り課題が重い——週末が潰れる課題は辞退の原因。1時間のライブコーディングやペアプロに変えましょう。
  4. 選考が4回以上・1ヶ月超——並行して受けている他社に決まります。
  5. 「うちはすごい」の一方通行面接——課題を正直に話す会社のほうが信頼されます。
  6. CTOがプレイヤーのまま組織拡大を目指す——採用も育成も回らず、離職が続きます。
  7. 内定後に放置する——内定から入社まで2〜3ヶ月空くことも多い。その間の接点がゼロだと辞退されます。
  8. 面談課金・謝礼で釣ろうとする——2025年4月以降は職業安定法違反のリスク。手法自体を見直す必要があります。

エンジニア採用に関するよくある質問(FAQ)

Q1. エンジニア採用の成功報酬(エージェント手数料)の相場は?

理論年収の30〜35%が一般的です。年収600万円なら180〜210万円。特化型エージェントは35%寄り、汎用型は30%寄りです。厚労省の公表データに基づく主要各社の実際の手数料率は人材紹介の手数料は本当に何%かで検証しています。

Q2. スカウトの返信率の目安は?

エンジニア特化媒体で10〜15%あれば良好、5%未満なら文面かターゲットを見直すサインです。個別に書いたスカウトと一斉送信では返信率が数倍違います。

Q3. 年収を上げれば採れますか?

相場から大きく外れているなら上げるべきですが、相場並みで採れていないなら原因は別にあります。この記事の10のポイントのうち①〜④、⑧、⑨を先に見直してください。

Q4. 未経験・ジュニアのエンジニアを採るのはありですか?

育成できる人と仕組みがあるなら、ありです。ただし生成AIでジュニアに任せてきた作業の一部は置き換わっています。「AIで代替できる作業だけを任せる想定」のジュニア採用は、本人にとっても会社にとっても成長につながりません。

Q5. 面談課金型のサービスはもう使えないのですか?

2025年4月1日施行の職業安定法改正により、求職者に金銭等の利益を提供して応募や面談を促すことは禁止されました。PayCareerはこれに伴い2025年6月30日にサービスを終了しています。

Q6. フルリモートにすれば採れますか?

母集団は確実に広がります。ただしフルリモート前提の会社はマネジメントとオンボーディングの難易度が上がるので、oviceのようなツールや1on1の設計がセットで必要です。

Q7. 技術課題(コーディングテスト)は必要ですか?

見極めのために何らかの形は必要です。ただし重い持ち帰り課題は辞退を招きます。1時間のライブコーディング、ペアプロ、過去のアウトプットのレビューで代替できます。

Q8. 副業から正社員化する場合の注意点は?

業務委託期間中の秘密保持契約と、正社員化時の条件(年収・役割)を事前に合意しておくこと。詳しくは副業・業務委託からのスタートアップ転職ガイドで候補者側の視点も含めて解説しています。

Q9. エンジニア採用担当(テクニカルリクルーター)は置くべきですか?

シリーズB以降で年間5名以上採るなら、置いたほうが確実に効率が上がります。役割と年収相場はテクニカルリクルーター・エンジニア採用担当転職ガイドを参照してください。

Q10. 採用したエンジニアがすぐ辞めてしまいます。

採用の問題ではなく、④のカルチャーか、入社後90日のオンボーディングの問題であることがほとんどです。原因の切り分けは採用ミスマッチが起こる7つの原因と防ぐ対策をご覧ください。

まとめ——年収は最後に上げる変数

エンジニアの求人倍率11倍という数字を見ると絶望的に感じるかもしれませんが、採れている会社は確かに存在します。彼らがやっているのは特別なことではなく、信頼できる技術リーダーを置き、プロダクトと技術を大事にし、情報を正直に出し、速く動く。それだけです。年収は、これらが整ったうえで最後に調整する変数です。

キープレイヤーズでは、CTO・VPoEクラスの採用から、エンジニア採用の要件定義・スカウト運用の見直しまで、経営者の方と一緒に設計しています。場合によっては、もっとエンジニアに特化したエージェントや媒体をご紹介することもできます。「半年で1人も採れない」状態から抜け出したい方は、お気軽にご相談ください。

経営幹部を採用したい企業の方へ。キープレイヤーズでは、CFO・COO・CTO・CHROなど経営幹部のヘッドハンティングを、代表の高野秀敏が直接担当しています。料金や進め方はCXOヘッドハンティングのページにまとめています。

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東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、文部科学省アントレプレナーシップ推進大使。1万2000件以上のキャリア面談、4,000名以上の経営者と採用相談にのる。80社以上のエンジェル投資、投資して上場は9社。うち2社は役員として上場(クラウドワークス、メドレー)。178社以上の上場支援実績。顧問・社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数300回以上。「ベンチャーの作法」(ダイヤモンド社)5万部を超えるベストセラー

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