これから伸びる業界・成長産業11選【2026年最新】市場規模データ・求人倍率・未経験から入る方法をヘッドハンター歴27年の高野秀敏が解説

執筆者:高野秀敏
株式会社キープレイヤーズ/代表取締役
東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、12,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。80社以上の投資、9社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。178社上場支援実績あり。顧問、アドバイザー、社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。「ベンチャーの作法」ダイヤモンド社5万部を超えるベストセラー

こんにちは、キープレイヤーズ代表の高野秀敏です。インテリジェンス(現パーソルキャリア)を経て2005年にキープレイヤーズを設立し、27年にわたってベンチャー・スタートアップの転職支援と幹部サーチ、そしてエンジェル投資をしてきました。

「成長している業界に身を置いたほうがキャリアには有利」——これは私がずっと言い続けてきたことです。ただ、この記事を書き直すにあたって、もう一段はっきりさせておきたいことがあります。キャリアで効くのは「今伸びている業界」ではなく「これから数年、人の採用にお金を使い続ける業界」です。この2つは重なることも多いのですが、ずれることもあります。

たとえば市場規模が大きくても、成熟して1社あたりの利益率が下がっている業界は、求人は出ていても年収は上がりません。逆に市場はまだ小さくても、資金が集まっていて人が足りていない領域は、同じスキルでも提示額が数百万円変わります。年収を決めるのは「業界の大きさ」ではなく「その業界の1人あたり粗利と、人材の不足度」です。

この記事では、2026年時点の公的統計・業界データをもとに、私が実際に求人と年収の動きを見てきた11の成長産業を、市場規模・成長率・求人の温度・未経験からの入りやすさで比較します。あわせて、業界の見極め方7つのチェックポイント、未経験から入る5ステップ、失敗パターン6つ、年代別の戦略、FAQ10問まで、忖度なく書きます。

業界そのものではなく年収の相場感を先に知りたい方は年収・手取りガイド、年代ごとの動き方は年齢別転職ガイドを先にお読みください。

この記事でわかること

  • 「伸びている業界」と「キャリアに効く業界」が一致しない理由
  • 2026年の市場データ(求人倍率2.71倍/IT・通信5.28倍/賃上げ率5.01%)
  • これから伸びる業界11選の比較表(市場規模・成長率・求人温度・未経験難易度・年収レンジ)
  • 各業界で実際に増えている職種と、必要とされるスキル
  • 成長業界を見極める7つのチェックポイント(IR・採用ページの読み方)
  • 成長業界に入るメリット8つ・デメリット6つ
  • 向いている人・向いていない人
  • 未経験から成長業界に入る5ステップ
  • 成長業界選びで失敗する6パターンと、注意が必要な業界
  • 20代・30代・40代・50代の年代別戦略とFAQ10問

この記事のもとになった考え方は、YouTubeでも解説しています。動画で見たい方はこちらもどうぞ。

目次

今回のキャリア相談

相談者:高野さん、33歳・メーカーの生産管理で年収600万円です。会社は悪くないのですが、業界全体が縮小していて、10年後に自分の仕事が残っている気がしません。「伸びている業界に移ったほうがいい」とよく聞きますが、AIとか半導体とか言われても、自分が入れる気がしません。何を基準に選べばいいのでしょうか。

高野の回答:とても健全な危機感だと思います。ただ、順番を間違えないでください。先に業界を決めて、そこに合わせて自分を作り替えようとすると、たいてい失敗します。正しい順番は逆で、「いま持っている経験のうち、どれが成長業界でそのまま値段がつくか」を先に洗い出すことです。

生産管理の方であれば、製造業DX、ロボティクス、半導体製造装置、物流DXあたりは「業界は変わるが職種は変わらない」移り方ができます。この移り方が一番年収が落ちません。逆に「未経験からAIエンジニアに」というルートは、33歳・年収600万円からだと一度年収が下がる前提になります。どちらを選ぶかは、家計と時間軸の問題です。この記事では、その判断ができるように業界ごとの入り口も書いていきます。

2026年の転職市場:まず全体の温度を押さえる

個別の業界を見る前に、市場全体の数字を確認してください。市場が過熱していれば同じスキルでも高く評価され、冷えていれば同じスキルでも低く出ます。これが判断の基準線になります。

指標 数値 出典・時点 読み方
転職求人倍率(全体) 2.71倍 doda転職求人倍率レポート 2026年7月 求職者1人あたり2.7件。売り手優位が継続
同・第1四半期平均 2.46倍(2026年4〜6月) 同上 年間で2.4〜2.7倍のレンジ
IT・通信の求人倍率 5.28倍(2026年6月) 同上 全体の約2倍。業界間の差が非常に大きい
転職者数 330万人 総務省 労働力調査 2025年平均 実際に動いた人は横ばい
転職希望者数 約1,023万人 同上 希望者は増加。「考えるだけ」の人が急増
春闘 賃上げ率 5.01%(3年連続5%台) 連合 2026春季生活闘争 最終集計 動かなくても上がる時代。比較基準が上昇
給与所得者の平均給与 478万円(正社員545万円) 国税庁 民間給与実態統計調査 令和6年分 全体の基準線

ここで注目してほしいのは、全体2.71倍に対してIT・通信が5.28倍という「差」です。業界を選ぶというのは、この差を取りにいくということです。同じ職種・同じ実力でも、どの業界の求人票に載るかで提示年収は変わります。

もうひとつ。賃上げ率が3年連続5%台という環境では、「転職して年収が5%上がった」は実質的に横ばいです。今いる会社にいても上がるからです。成長業界を狙うなら、最低でも2桁%の上昇を前提に交渉すべきです。交渉の実務はベンチャー転職の年収交渉にまとめています。

これから伸びる業界・成長産業11選【2026年比較表】

私が実際に求人と決定年収の動きを見ている範囲で、2026年時点で「採用にお金を使い続けている」11領域を挙げます。未経験難易度は、他業界からの転職で「職種を変えずに移れるか」を基準に評価しています。

業界 市場規模・成長の根拠 増えている職種 年収レンジ目安 未経験難易度
1. 生成AI・AI活用 国内AI関連市場は2025年度1兆8,301億円(うち生成AI36.4%)、2029年度に3兆1,779億円=2024年度比2.1倍の予測 MLエンジニア/AIプロダクトマネージャー/AI導入コンサル/データ基盤 600〜1,500万円 高(エンジニア)/中(導入・企画)
2. 半導体・製造装置 WSTS 2026年春季予測で世界市場は大幅な上方修正。AIデータセンター向け需要が牽引 プロセス/装置エンジニア/生産技術/品質保証/調達 550〜1,200万円 中(製造業出身なら低)
3. データセンター・電力インフラ IDCによれば国内AIインフラ支出は2026年に前年比18%超増の8,210億円規模 施設/電気設備エンジニア/プロジェクトマネージャー/用地開発 500〜1,100万円 低〜中(建設・設備出身は歓迎)
4. SaaS・バーティカルSaaS 国内SaaS市場は2026年に約1.7兆円規模、年率10%台の成長が継続 フィールド/インサイドセールス/カスタマーサクセス/PdM 450〜1,000万円 低(営業・CSは未経験可の求人多数)
5. 防衛・航空宇宙 日本の航空宇宙・防衛市場は2024年726億ドル→2029年939億ドル(CAGR5.28%)。防衛予算は連続で過去最高を更新 機械/制御/通信エンジニア/プロジェクト管理/サプライチェーン 550〜1,000万円 中(要国籍・セキュリティ要件の求人あり)
6. GX・脱炭素・エネルギー 再エネ・蓄電池・カーボンクレジットへの投資が継続。上場企業の開示義務化が需要を生む 事業開発/サステナビリティ推進/プロジェクトファイナンス 500〜1,200万円 中(金融・商社・コンサル出身が有利)
7. ヘルスケア・介護テック 高齢化で需要が構造的に増加。診療報酬・介護報酬改定がプロダクト需要を生む 医療機関向け営業/CS/規制対応/PdM 450〜900万円 低〜中
8. 物流DX・サプライチェーン ドライバー不足と法規制で自動化投資が不可避。倉庫ロボティクスへの投資が拡大 SCMコンサル/導入PM/ロボティクスエンジニア 500〜1,000万円 低(物流・生産管理出身は即戦力)
9. サイバーセキュリティ インシデントの増加と規制強化で、企業規模を問わず内製needsが拡大 SOC/脆弱性診断/CSIRT/セキュリティ企画 550〜1,300万円 中(インフラ・情シス出身は移りやすい)
10. フィンテック・組込み金融 キャッシュレス比率の上昇と法人向け金融のデジタル化が継続 与信・リスク/コンプライアンス/セールス/バックエンド 500〜1,200万円 中(金融機関出身は非常に有利)
11. 人材・HRテック 採用難の常態化で、採用支援・タレントマネジメント需要が継続 RPO/採用コンサル/HRBP/プロダクトセールス 450〜900万円

年収レンジは「その業界の中堅企業で、実務経験3〜10年の人に提示される幅」の目安です。役員クラス・CxOクラスは別枠で、そちらはCXO転職ガイドを参照してください。

1〜3:AI・半導体・データセンターは「同じ1本の投資」で動いている

この3つは別々の業界に見えますが、実際にはAI需要という1本の投資フローの上流・中流・下流です。だから採用も同期して動きます。逆に言えば、AI投資が減速したら3つ同時に冷えます。ここは正直にお伝えしておきます。私が見ている範囲では、2026年時点でこの投資はまだ拡大局面ですが、「永遠に続く」と思って年収の最大化だけで選ぶのは危険です。

入り口としては、エンジニア以外の道が意外に開いています。データセンターは電気設備・施工管理・用地開発といった建設寄りの人材が慢性的に足りていませんし、半導体は生産技術・品質保証・調達が不足しています。「AIの会社に入りたい」ではなく「AIにお金が流れる先に自分の職種があるか」で探すと、選択肢が一気に増えます。

4:SaaSは「未経験から成長業界に入る」最短ルートであり続けている

27年見てきて、他業界から未経験で入りやすい成長領域はやはりSaaSです。特にインサイドセールスとカスタマーサクセスは、無形商材の営業経験があれば十分に採用されます。詳しくはカスタマーサクセス転職ガイドインサイドセールス転職ガイドにまとめました。

一方で、以前のような「SaaSならどこでも伸びる」時代ではなくなりました。水平型(全業種向け)のSaaSは競争が激しく、伸びているのは特定業界に深く入り込むバーティカルSaaSです。転職先を選ぶときは、解約率(チャーン)とARR成長率を面接で必ず聞いてください。答えられない会社、あるいは「非公開です」で終わる会社は、正直に言えば厳しい状況であることが多いです。

5〜6:防衛・GXは「政策で需要が決まる」という特殊性がある

この2領域は、市場ではなく政策が需要を作ります。だから読みやすい反面、政権や国際情勢が変われば方針も変わります。私はこの2つを「10年単位で安泰」とは言いません。ただ、今後5年の採用意欲は非常に強いのは間違いありません。防衛関連は国籍要件やセキュリティクリアランスが求められる求人があるため、応募前に条件を確認してください。

7〜8:ヘルスケアと物流DXは「人が減るから伸びる」領域

この2つは私が個人的にもっとも堅いと思っている領域です。理由は単純で、需要が増えるからではなく、供給(働き手)が減るから投資せざるを得ないからです。景気に左右されにくく、AI投資のような一斉冷却が起きにくい。派手ではありませんが、40代・50代の方が長く働くことを考えるなら、私はこちらを勧めることが多いです。

9〜11:セキュリティ・フィンテック・HRテックは「前職の専門性が値段になる」

情シス出身のセキュリティ、銀行・証券出身のフィンテック、人事出身のHRテック。この3つは、これまでのキャリアがそのまま希少性になる移り方です。年収を落とさずに成長業界へ移りたい方は、まずここを検討してください。人事の方の年収の伸ばし方は人事・HRBPキャリアガイドに整理しています。

成長業界を見極める7つのチェックポイント

ランキング記事を読むより、自分で判断できるようになったほうが早いです。私が投資と採用の両方で見ている観点を公開します。

# チェックポイント 具体的な確認方法 危険なサイン
1 1人あたり粗利が増えているか 上場企業の決算資料で売上総利益÷従業員数を3年分 売上は伸びているのに1人あたり粗利が横ばい
2 求人の「数」ではなく「等級」が上がっているか 同じ会社の求人票を半年前と比較 若手の大量募集ばかりで管理職求人がない
3 資金が入り続けているか 直近2年の資金調達・M&A件数 大型調達が1年以上止まっている
4 需要が「増える」か「減らないか」 人口動態・法規制・政策の3点で確認 ブーム由来で、代替されうる需要
5 参入障壁があるか 免許・規制・データ・設備投資の有無 誰でも参入でき、価格競争になっている
6 人材の供給が追いついていないか 職種別の求人倍率、スカウトの来る頻度 経験者が余りはじめ、提示額が下がっている
7 その業界で自分の職種に値段がつくか 同職種の求人票の下限額を5社比較 業界は伸びているが自分の職種の求人がない

7番が一番大事です。「業界は伸びているのに自分の年収は上がらない」という人は、たいてい業界選びではなく職種選びを間違えています。IR資料の読み方はIR資料をキャリア判断に使う方法で詳しく解説しています。

成長業界に移るメリット8つ

  • ポストが先に空く——組織が拡大するので、実力が同じでも管理職・責任者になれる確率が高い
  • 年収の上昇率が高い——賃上げ5%の世界で、業界を変えると2桁%の上昇が狙える
  • 採用基準が現実的——人が足りないので、完璧な経験より「学習速度」で採ってもらえる
  • スキルの陳腐化が遅い——最新の課題に触れ続けるため、市場価値が維持されやすい
  • 社外の人脈が増える——成長領域は勉強会・コミュニティが活発で、次の転職先も見つかりやすい
  • ストックオプションの機会がある——未上場の成長企業なら、ストックオプションが付与される可能性がある
  • 意思決定が早い環境に慣れる——次にどこへ行っても通用する仕事の型が身につく
  • キャリアの「物語」が作りやすい——伸びる領域を選んだという判断そのものが、次の面接で評価される

成長業界のデメリット・注意点6つ

  • 入社時点の年収は下がることがある——特に未経験職種への転換では、1〜2年は我慢が必要
  • 組織が未成熟——評価制度・オンボーディングが整っていない会社が多い
  • 投資局面が終わると一気に冷える——AI関連は特にこのリスクがある
  • 優秀な人が集まるので相対評価は厳しい——前職でトップだった人が真ん中になる
  • 業務範囲が広く、労働時間が長くなりがち——家庭の状況によっては現実的でない
  • 会社ごとの当たり外れが大きい——業界が伸びていても、負けている会社に入れば意味がない

最後の点が特に重要です。成長業界の中の負け組企業は、衰退業界の勝ち組企業より危険です。この見分け方はベンチャー転職の失敗・後悔ガイド危ないベンチャーの見分け方に整理しています。

成長業界が向いている人・向いていない人

向いている人 向いていない人
仕組みが未整備でも自分で作れる 整った制度と明確な指示がないと動けない
短期の年収より3年後のポジションを見られる 今の年収を1円も下げられない事情がある
知らない領域を自分で調べて追いつける 研修で教えてもらう前提でいる
組織や役割の変更を前向きに受け止められる 職務範囲が変わることに強いストレスを感じる
前職の実績を言語化して持ち込める 「会社の看板」で仕事をしてきた自覚がない
家族と時間の使い方を合意できている 家庭の合意なく進めようとしている

「今の年収を1円も下げられない」方は、成長業界に行かないほうがいいという意味ではありません。職種を変えずに業界だけ変えるという移り方を選べば、年収を下げずに済みます。家族との話し合い方は家族への転職相談の進め方を参考にしてください。

未経験から成長業界に入る5ステップ

  1. 棚卸し(2週間)——これまでの仕事を「業界依存の知識」と「どこでも使えるスキル」に分ける。後者が持ち込める資産です。
  2. 求人票の下限額を5社比較(1週間)——狙う業界×自分の職種で求人票を5件集め、下限年収を並べる。ここで現実的なレンジが分かります。
  3. 橋渡しになる経験を1つ作る(1〜3ヶ月)——社内での小さなDXプロジェクト、副業、資格。「未経験だが接点はある」状態を作ります。
  4. 業界特化のエージェントと会う(1ヶ月)——総合型だけでなく、その業界に強い担当者に会うこと。選び方は転職エージェント選び方ガイドを参照。
  5. 職務経歴書を業界の言葉に翻訳する(2週間)——同じ経験でも、その業界の課題に翻訳して書き直す。ベンチャー向け職務経歴書の書き方が参考になります。

全体で3〜5ヶ月。私の実感では、3番の「橋渡し経験」を作った人とそうでない人で、書類通過率が体感で2〜3倍変わります。

成長業界選びで失敗する6パターン

  • ①ランキング記事だけで決める——市場規模と自分の職種の求人は別物。7つのチェックポイントで必ず自分で確認する
  • ②業界は当たったが会社を外す——伸びている業界の中で負けている会社に入ってしまう。競合との比較を必ず行う
  • ③年収を下げすぎる——「成長業界だから」と200万円下げると、生活が持たず1年で戻ることになる。下げ幅は1割までを目安に
  • ④ブームの終盤に飛び込む——誰もが名前を知った頃には、採用基準が上がり報酬は下がり始めている
  • ⑤職種まで同時に変える——業界と職種を同時に変えると難易度が跳ね上がる。どちらか一方にする
  • ⑥「成長」を売上だけで見る——赤字を掘って売上を伸ばしている会社は、資金が止まると採用も止まる。赤字スタートアップへの転職で判断軸を解説しています

注意が必要な業界の見分け方

特定の業界名を挙げて「衰退する」と断言するのはフェアではないと思っています。同じ業界でも、勝っている会社は採用も年収も伸びているからです。ただ、次の条件が重なっている業界は、個人のキャリアとしては慎重に考えたほうがいいとは言えます。

  • 市場が縮小しており、値上げが通らない(=1人あたり粗利が下がる)
  • 業務の大半が定型で、生成AIで代替されうる
  • 参入障壁が低く、価格競争が起きている
  • 中途採用が「欠員補充」ばかりで、新規ポジションが出ていない

この4つが揃っている場合、その業界で頑張っても年収は個人の努力ではなく業界の粗利で決まります。それが不本意なら、動くべきタイミングです。

成功事例:業界を変えた3人

事例1:34歳・製造業の生産技術 → 半導体製造装置メーカー(年収620万円→780万円)
職種を変えずに業界だけ移した典型例です。設備立ち上げの経験がそのまま評価されました。ご本人は「やっていることは前職とほぼ同じなのに、評価と給与が違うことに驚いた」と話していました。これが業界選びの効果です。

事例2:29歳・人材紹介の営業 → バーティカルSaaSのカスタマーサクセス(年収480万円→520万円+SO)
未経験からの職種転換ですが、無形商材の提案経験が評価されました。入社時は微増でしたが、2年後にCSマネージャーになり年収680万円。成長業界の本当のリターンは、入社時ではなく2〜3年後のポジションに出ます。

事例3:46歳・大手SIerのインフラ運用 → 事業会社のセキュリティ責任者(年収780万円→920万円)
40代でも、専門性が希少な領域なら年収を上げて移れます。むしろこの年代は「未経験の若い領域」に行くより、今の専門性が最も高く売れる業界を探すほうが正しい。詳しくは40代のベンチャー転職で解説しています。

年代別・成長業界へのアプローチ

年代 基本戦略 狙いやすい領域 注意点
20代 業界も職種も変えてよい。伸びしろで採ってもらえる唯一の時期 SaaS営業・CS/HRテック/ヘルスケア 短期離職を重ねると、逆に選択肢が減る
30代前半 職種は維持し、業界だけ変える。年収を落とさず移れる最後の広い窓 半導体/データセンター/物流DX/フィンテック 「未経験でAIエンジニアに」は年収ダウン前提
30代後半 マネジメント経験を武器に、拡大中の組織の管理職ポストを狙う SaaS/セキュリティ/GX/製造業DX プレイヤーとしてだけ売ると評価されにくい
40代 今の専門性が最も高く売れる業界を探す。学び直しより棚卸し セキュリティ/防衛・航空宇宙/ヘルスケア/SCM ゼロからの未経験転換は現実的でない場合が多い
50代 「長く働ける」構造的成長領域を選ぶ。顧問・業務委託も併用 介護・ヘルスケア/エネルギー/製造業の技術継承 役職名より、実務が残っているかを確認する

年代別の具体的な動き方は年齢別転職ガイドにまとめています。コンサルティングファーム出身の方が事業会社の成長領域に移る場合は、コンサルからの転職ガイドもあわせてご覧ください。

私が「業界選び」を重視するようになった理由

昔、こんな相談を受けたことがあります。Kさんは新卒のとき、ジョブフェアでたまたま立ち寄ったモバイル系ベンチャーX社の事業に惹かれ、若い社長と意気投合して内定をもらいました。ところが両親が大反対。結局、当時の東証一部上場企業を選びました。

一方、友人のLさんは、Kさんが辞退したあとにX社へ入社しました。X社はその後大きく伸び、業界のリーディングカンパニーになりました。Lさんは海外を飛び回っています。Kさんが入社していれば、社長の片腕になっていたかもしれません。Kさんが在籍していた会社は業績が振るわず、早期退職の募集が始まりました。

この話をすると「結果論だ」と言われます。その通りです。でも、結果論だからこそ、確率の高いほうに賭けるべきだというのが私の結論です。どの業界が10年後に残るかは誰にも分かりません。分からないなりに、粗利が増えていて、人が足りていなくて、需要が構造的に減らない領域を選ぶ。それだけで確率は変わります。

ちなみに、成長領域を見つける情報源として、私は経営者のnoteやIR資料をよく読みます。LayerXの福島良典さんが以前書かれた「身を置くべきマーケット」の話は、今読んでも本質的です。ぜひ私だけの意見ではなく、いろいろな方の見方を参考にしながら、自分の時間をどこに投資するかを考えてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 成長業界に行けば必ず年収は上がりますか?

いいえ。上がりやすいのは事実ですが、業界を変えると同時に職種も変えると、入社時は下がることが多いです。年収を落としたくないなら、職種を維持して業界だけ変えてください。

Q2. 「これから伸びる業界」は結局どこですか?1つだけ挙げるなら。

1つに絞るなら、私はヘルスケア・介護領域を挙げます。需要が増えるからではなく、働き手が減るので投資せざるを得ないからです。派手さはありませんが、景気で一斉に冷える構造ではありません。

Q3. AI関連はもう遅いですか?

エンジニアとして未経験から入るのは、正直に言えばかなり難しくなりました。ただ、AI投資の周辺(データセンターの設備、半導体の生産技術、AI導入の企画・推進)はまだ人が足りていません。「AIそのもの」より「AIにお金が流れる先」を狙ってください。

Q4. 未経験で成長業界に入るなら何歳までですか?

職種も業界も両方変える完全未経験なら、実務上は30代前半までが現実的です。ただし職種を維持して業界だけ変えるなら、40代・50代でも十分に可能です。年齢の壁については35歳限界説の実態で解説しています。

Q5. 大企業とベンチャー、どちらの成長業界に行くべきですか?

意思決定の速さと裁量を取るならベンチャー、安定と設備を取るなら大企業です。どちらが正解ということはありません。判断軸は大企業とベンチャーの比較ベンチャー転職 完全ガイドに整理しました。

Q6. 成長業界の会社が本当に伸びているか、面接でどう確認しますか?

売上ではなく「1人あたり粗利の推移」「直近12ヶ月の離職率」「今回のポジションが増員か欠員補充か」を聞いてください。この3つに具体的に答えられない会社は、内部が整っていない可能性が高いです。

Q7. 資格を取れば成長業界に入りやすくなりますか?

資格単独ではほとんど効きません。効くのは「資格+実務の接点」です。たとえば情報処理安全確保支援士だけでは弱いですが、社内のセキュリティ対応を1件でも回した経験とセットなら通ります。キャリアに効く資格もご覧ください。

Q8. 業界を変えると、これまでの経験は無駄になりませんか?

無駄になるのは「業界固有の知識」だけで、課題を切り分ける力・数字を作る力・人を動かす力は持ち込めます。むしろ異業界から来たこと自体が価値になる場面のほうが多いです。

Q9. 転職エージェントは業界特化型と総合型のどちらがいいですか?

両方使ってください。総合型で相場観を掴み、特化型で実際のポジションを取りにいくのが効率的です。使い分けは転職エージェント選び方ガイドにまとめています。

Q10. 今の会社に残りながら成長業界を判断する方法はありますか?

あります。3ヶ月だけ、狙う業界の求人票を毎週5件読んでください。求人票は企業がお金を払ってでも欲しい能力の一覧です。3ヶ月分読めば、その業界が何に困っているかが分かります。応募はそれからでも遅くありません。

まとめ:業界は「今の勢い」ではなく「粗利と人手不足」で選ぶ

最後に整理します。

  • キャリアに効くのは「今伸びている業界」ではなく「これから採用にお金を使い続ける業界」
  • 年収を決めるのは市場規模ではなく、1人あたり粗利と人材の不足度
  • 全体の求人倍率2.71倍に対しIT・通信は5.28倍。業界間の差を取りにいくのが業界選び
  • 賃上げ5%の時代、業界を変えるなら2桁%の年収上昇を前提に交渉する
  • 年収を落としたくないなら「職種は変えず、業界だけ変える」
  • 業界が伸びていても負けている会社に入れば意味がない。会社単位で必ず確認する

知名度にこだわらず、将来性のある企業をご紹介するのが私たち人材エージェントの役割だと思っています。会社の規模や人気に目を奪われるのではなく、実質本位で選ぶ支援ができればうれしいです。

キープレイヤーズでは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートを実施しています。「自分の経験がどの成長業界で値段になるのか分からない」という段階のご相談でも構いません。壁打ちの相手として、いつでもお使いください。

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この記事を書いた人

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、文部科学省アントレプレナーシップ推進大使。1万2000件以上のキャリア面談、4,000名以上の経営者と採用相談にのる。80社以上のエンジェル投資、投資して上場は9社。うち2社は役員として上場(クラウドワークス、メドレー)。178社以上の上場支援実績。顧問・社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数300回以上。「ベンチャーの作法」(ダイヤモンド社)5万部を超えるベストセラー

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