希望退職・早期退職に応じるべきか完全ガイド【2026年最新】年2万781人の実態・退職金の10年ルール・失業給付330日の条件を高野秀敏が徹底解説

執筆者:高野秀敏
株式会社キープレイヤーズ/代表取締役
東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、12,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。80社以上の投資、9社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。178社上場支援実績あり。顧問、アドバイザー、社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。「ベンチャーの作法」ダイヤモンド社5万部を超えるベストセラー

こんにちは、キープレイヤーズの高野です。ヘッドハンター・転職エージェントとして約25年、のべ数千名のキャリア相談に乗ってきました。

ここ数年、面談の入り口がはっきり変わりました。「会社から希望退職の募集が出ました。応じるべきでしょうか」——このご相談が、明らかに増えています。しかも、経営が傾いた会社の方ではありません。誰もが知っている、業績好調な大企業にお勤めの方からです。

東京商工リサーチの調査によれば、2025年度に早期・希望退職の募集が判明した上場企業は46社、対象人数は2万781人。うち直近決算が黒字だった企業が32社(69.5%)、その募集人数は1万6,908人で全体の81.3%を占めました(2026年4月30日公表)。2009年度以降で4番目の高水準です。いわゆる「黒字リストラ」が、もはや例外ではなく常態になっているということです。

この記事では、希望退職と早期退職優遇制度の決定的な違い(ここを知らずに応募すると失業給付で数十万円単位の差が出ます)、2026年1月に変わった退職金の税金ルールお金の全体像を計算する手順、そして応じるべき人・残るべき人の判断基準まで、実務のレベルでまとめました。転職に伴うお金と手続き全般は転職のお金と手続き完全ガイド、年代ごとの動き方は年齢別転職ガイドもあわせてご覧ください。

目次

結論:判断すべきは、この5つの論点だけ

# 論点 確認すること 間違えたときの損失
1 これは希望退職か、常設の早期退職優遇制度か 期間限定の募集か、就業規則に恒常的にある制度か 失業給付で数十万〜百万円単位
2 離職理由が何になるか 離職票の離職理由コード。会社都合か自己都合か 給付日数が最大2倍以上変わる
3 手元にいくら残るか 割増退職金の額、退職所得控除、住民税の翌年払い 税・社会保険料で想定が数百万円ずれる
4 残った場合に何が起きるか 次の募集の可能性、ポスト、賃金カーブ 条件の悪い2回目まで待つことになる
5 次の椅子があるか 応募前の市場価値の確認。実オファーの有無 無収入期間が想定の2倍に延びる

先に、25年見てきた率直な実感を書きます。希望退職で最も損をするのは、「応じた人」でも「残った人」でもなく、条件を確認しないまま期限に追われて決めた人です。募集期間は2週間から1か月程度と短いことが多く、その短さ自体が設計に組み込まれています。だからこそ、論点を絞って高速に確認する必要があります。

データで見る、2026年の「黒字リストラ」の実態

指標 数値 出典・時点
早期・希望退職を募集した上場企業 46社(前年度51社) 東京商工リサーチ/2025年度
募集人数 2万781人 同上。2009年度以降で4番目の高水準
直近決算が黒字だった企業 32社(69.5% 同上
黒字企業による募集人数 1万6,908人(全体の81.3%) 同上
プライム市場上場の比率 75.6%(41社中31社) 同/2025年1月〜11月10日集計
対象年齢の例 三菱電機53歳以上/三菱ケミカルグループ50歳以上(1,273人が応募) 同上

この表で読み取っていただきたいのは2点です。

1つは、募集人数の8割が黒字企業から出ていること。つまり「会社が危ないから減らす」のではなく、「稼げているうちに人員構成を作り替える」ための募集が主流になっています。これは対象者にとって重要な意味を持ちます。会社に体力があるぶん、割増退職金などの条件は厚くなりやすいのです。

もう1つは、対象年齢が50歳前後に集中していること。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)では、男性の賃金は55〜59歳の44万5,600円がピークで、その後は下降します。会社から見れば、賃金が最も高く、かつ今後の回収期間が短い層がここに当たる。年齢で選ばれているのであって、能力で選ばれているわけではない、というのは冷静に認識しておいてください。

【最重要】希望退職と「早期退職優遇制度」は、法的に別物である

ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。この2つを混同したまま応募して、後から失業給付で泣く方が本当に多い

比較項目 希望退職(募集) 早期退職優遇制度
目的 人員整理・構造改革 社員のセカンドキャリア支援、新陳代謝
実施のされ方 期間限定・臨時(2週間〜1か月程度) 恒常的に就業規則等に定められている
対象 年齢・部署・職種などを限定して募集 一定年齢・勤続年数を満たせば誰でも
優遇の厚み 割増率が高い傾向(月給の12〜36か月分など) 相対的に薄い傾向
雇用保険上の扱い 人員整理に伴う募集への応募として、手厚い区分で認定される可能性がある 「従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度等に応募して離職した場合は、これに該当しない」とされ、自己都合扱いになりうる

ハローワークが公表している特定受給資格者の範囲には、「事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者」という項目があります。そしてこの項目には、はっきりと但し書きが付いています。「従来から恒常的に設けられている『早期退職優遇制度』等に応募して離職した場合は、これに該当しない」

一方で、企業整備による人員整理等に伴う希望退職者の募集に応じて離職した場合は、正当な理由のある自己都合離職として特定理由離職者の範囲に挙げられています。実務上は離職票の記載とハローワークの事情聴取で判断されるため、最終的な区分は「制度の名前」ではなく「その募集の実態」で決まります

ですから、募集要項を見たら真っ先にこれを確認してください。

  • この募集は今回限りの臨時措置か、就業規則に前からある制度か
  • 離職票の離職理由は、会社としてどう記載する予定か(人事に直接聞いてよい、というより聞くべきです)
  • 過去に同じ制度で辞めた人は、ハローワークでどう認定されたか

3つ目は、社内に前例があるなら最も確実な情報です。人事が「たぶん会社都合になると思います」と口頭で言っただけの状態で応募するのは、危険です。判断するのは会社ではなくハローワークですから、口約束は根拠になりません。

お金の全体像:手元にいくら残るのかを計算する

1. 割増退職金の相場観

希望退職の割増は、月額基本給の12か月分〜36か月分程度が1つの目安です。ただしこれは会社の体力と本気度で大きく振れます。黒字リストラの案件では、これを超える提示も珍しくありません。

ここで見るべきは金額そのものより「通常の自己都合退職と比べていくら増えるか」の差額です。比較すべきは「割増退職金の額」ではなく「割増を含む総額 − 自己都合で辞めた場合の総額」。この差額が、あなたが受け取る実質的なプレミアムです。

2. 退職金の税金は、給与よりはるかに軽い

意外に知られていませんが、退職所得は税制上きわめて優遇されています。計算は3段階です。

手順 計算
① 退職所得控除を出す 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20)
② 課税対象を出す (退職金 − 退職所得控除)× 1/2
③ 税額を出す ②に所得税の税率(累進)と住民税10%を適用。他の所得と分離して課税

計算例:勤続30年、割増込みの退職金2,500万円の場合

  • 退職所得控除=800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円
  • 課税退職所得=(2,500万円 − 1,500万円)× 1/2 = 500万円
  • 所得税=500万円 × 20% − 42万7,500円 = 57万2,500円(復興特別所得税込みで約58万5,000円)
  • 住民税=500万円 × 10% = 50万円
  • 税額合計 約108万5,000円 → 手取り約2,391万円

同じ2,500万円を給与としてもらった場合と比べると、税負担はまるで違います。「退職金でもらう」こと自体に大きな価値があることは、判断材料として押さえておいてください。

3. 2026年1月からの「10年ルール」に注意

ここは2026年に入って変わった、新しい論点です。2026年1月施行の税制改正により、退職所得控除の調整ルールが「5年ルール」から「10年ルール」に延長されました

従来は、確定拠出年金(DC)の一時金を受け取ったあと5年以上あけて会社の退職金を受け取れば、それぞれに満額の退職所得控除が適用されました。これが10年に変わっています。

つまり60歳でDCの一時金を受け取り、65歳で会社の退職金を受け取るという設計は、2026年からは「前年以前9年以内」に該当してしまい、退職所得控除が一部制限されます。iDeCoや企業型DCをお持ちの方が希望退職に応じる場合、受け取り順序とタイミングで手取りが数十万〜百万円単位で変わりうるということです。

該当しそうな方は、応募の意思表示の前に税理士か、会社の確定拠出年金の窓口に必ず確認してください。これは応募してから相談しても、もう取り返せない類の論点です

4. 失業給付は、離職理由で日数が倍以上変わる

年齢 被保険者期間 会社都合(特定受給資格者) 自己都合(一般の受給資格者)
35歳以上45歳未満 10年以上20年未満 240日 120日
20年以上 270日 150日
45歳以上60歳未満 10年以上20年未満 270日 120日
20年以上 330日 150日
60歳以上65歳未満 10年以上20年未満 210日 120日
20年以上 240日 150日

45歳以上60歳未満で被保険者期間20年以上なら、会社都合は330日、自己都合は150日。差は180日、実に半年分です。基本手当日額を仮に7,000円とすれば、126万円の差になります。冒頭で「失業給付で数十万〜百万円単位の差が出る」と書いたのは、この話です。

加えて給付制限の扱いも変わりました。2025年4月から、自己都合退職の給付制限期間は原則2か月から1か月に短縮されています(5年以内に3回以上自己都合で離職した場合は3か月)。さらに離職前1年以内、または離職後に厚生労働省が定める教育訓練を受講した場合は、給付制限が解除され、7日間の待期期間だけで受給できるという仕組みも新設されました。

仮に自己都合扱いになってしまった場合でも、教育訓練の受講で給付開始を1か月前倒しできる可能性がある、ということです。これは覚えておく価値があります。

5. 見落としがちな支出:住民税と社会保険

ここで毎年、何人もの方が青ざめます。

  • 住民税は前年所得に対して翌年課税されます。退職した翌年、収入がないのに前年の高い所得に基づく住民税の納付書が届きます。年額で数十万円になることも珍しくありません
  • 健康保険は任意継続か国民健康保険かの選択。任意継続は会社負担分がなくなるため、保険料はおおむね倍になります。どちらが安いかは前年所得と扶養人数で変わるので、両方を試算してください
  • 国民年金への切り替え。60歳未満なら第1号被保険者として保険料の納付義務が生じます

割増退職金を「使えるお金」だと思って生活設計をすると、この3つで大きく狂います。少なくとも住民税1年分は、最初から別口座に隔離しておくことを強くおすすめします。

希望退職に応じるメリット・デメリット

メリット デメリット
割増退職金という、通常は手に入らない原資が得られる 収入が途切れる。次が決まるまでの期間は読めない
会社都合として認定されれば失業給付が手厚い 認定は会社ではなくハローワークが決める。事前に確定しない
退職理由を前向きに説明しやすい(自分の意思での選択と伝えられる) 年齢によっては求人の母数が急に細くなる
再就職支援サービスが付くことが多い 支援会社の紹介先が希望と合わないことも多い
時間ができ、企業研究や自己分析に腰を据えて取り組める ブランクが長期化すると、その説明が必要になる
下がり始める賃金カーブから、早めに降りて設計し直せる 年収は下がる前提になりやすい。生活水準の調整が要る

メリット欄の3行目について補足します。会社の都合で設定された機会を、自分の意思で選び取ったと説明できるのは、実は面接で相当に強い。リストラで切られたのではなく、条件を見て自分で判断した、という語り方ができます。ただしこれは「次に何をやりたいか」がセットで語れる場合に限ります。そこがないと、単にお金で辞めた人に見えてしまう。

応じたほうがいい人・残ったほうがいい人

応じることを前向きに検討していい人 いったん残ったほうがいい人
すでに市場価値を確認済みで、実オファーの感触がある 社外の評価を10年以上受けていない
持ち出せるスキル・実績がはっきりしている 社内固有の業務で評価されてきた自覚がある
会社の事業の先行きに構造的な不安がある まだ手元に半年分の生活防衛資金がない
社内でポストが詰まり、今後の役割が見えない 子の学費など、直近数年の固定支出のピークが来る
割増額が、想定される無収入期間を十分に超える 住宅ローンの借り換え・審査を控えている
独立・地方移住など、別の設計図をすでに持っている 次に何をやりたいかがまったく言語化できていない

右側の方に、私は「今回は見送りましょう」と申し上げることが多いです。ただし1つだけ、必ず釘を刺します。「2回目の募集は、たいてい1回目より条件が悪い」ということです。1回目は会社も応募を集めたいので条件を厚くします。目標人数に届かなかった場合の2回目は、条件が同じか下がることが多い。「今回は見送る」という判断は、「次はもっと良い条件で辞められる」という意味ではありません

ですから残ると決めた方には、その1〜2年で持ち出せる実績を作ってくださいとお伝えしています。自分の値段の測り方は自分の市場価値とは?測り方と高め方の完全ガイドに整理しました。

募集が出てから決めるまでの7ステップ

ステップ1:募集要項を、条件ごとに分解して読む

割増率、対象者の範囲、募集期間、退職日、再就職支援の有無、会社が記載する離職理由。口頭説明ではなく、必ず書面で確認してください。書面にない条件は、後から存在しないものとして扱われます。

ステップ2:人事に、離職理由の記載を確認する

聞きにくいと感じる方が多いのですが、これは当然に確認していい事項です。「離職票の離職理由はどう記載される予定ですか」と、そのまま聞いてください。社内に前例があれば、過去の認定実績も聞く。

ステップ3:手取りベースで、時間軸の資金表を作る

退職金の手取り、失業給付の開始月と月額、住民税の納付月、健康保険料。月次のキャッシュフロー表にしてください。合計額ではなく、月ごとの出入りで見ることが重要です。ここで「何か月耐えられるか」が数字で出ます。

ステップ4:残った場合のシナリオも数字にする

今後3年の想定年収、昇格の可能性、次の募集の可能性、部門の存続見通し。比較対象がない意思決定は、ただの気分です。応じる/残るを同じ土俵で並べてください。残った場合に役職定年で年収がどう変わるかは役職定年の年収ダウンの実態と50代の選択肢で試算しています。

ステップ5:応募の前に、市場の反応を取る

ここが最も重要です。可能な限り、応募を決める前にエージェント面談を1〜2件入れてください。募集期間が短くても、面談は数日で入ります。実際にどんなポジションが提示されるかを見てから決めるのと、想像で決めるのとでは、判断の質がまるで違います。エージェントの選び方は転職エージェントの選び方 完全ガイドを参考にしてください。

ステップ6:応募の意思表示は、撤回できない前提で行う

会社が承諾した時点で合意退職が成立するのが一般的です。「とりあえず応募しておいて、後で考える」は通用しません。迷っている段階での意思表示は避けてください。

ステップ7:退職日と有給消化を設計する

残っている有給休暇の扱い、退職日の設定(月末か月初かで社会保険料が1か月分変わります)、賞与の在籍要件。この設計だけで数十万円動くことがあります。交渉の考え方は退職交渉・引き止め対応ガイドにまとめました。

私が現場で見てきた、希望退職の失敗パターン7つ

1. 割増退職金の額だけを見て決める

2,000万円と聞くと大きく感じます。しかし年収800万円の方にとっては2年半分です。次が決まるまで1年かかれば、実質のプレミアムは1年半分に縮む。額ではなく「何か月分の時間を買えるか」で見てください

2. 離職理由を確認せず、自己都合扱いになる

本記事で繰り返し書いてきた最大の落とし穴です。特に「早期退職優遇制度」という名前が付いている場合は要注意。恒常的な制度への応募は、特定受給資格者に該当しないとされています。名前ではなく実態と離職票で確認してください。

3. 退職してから転職活動を始める

時間ができるのは事実ですが、無収入期間が始まってから活動を開始すると、焦りが判断を歪めます。3か月目あたりから、明らかに条件を妥協し始める方が多い。せめて募集期間中に情報収集だけでも始めておくと、その後がまったく違います。

4. 前職の年収を基準に、次を探してしまう

厳しいことを書きます。賃金カーブのピーク付近で辞める場合、同水準の年収での再就職は簡単ではありません。割増退職金は、この差額を埋めるための原資でもあります。「年収を維持できないなら転職しない」という基準で探し続けると、時間だけが過ぎます。

5. 再就職支援会社に丸投げする

会社が付けてくれる再就職支援サービスは、あくまで選択肢の1つです。支援会社の紹介先だけで探すと、選択肢が支援会社の取引先の範囲に固定されます。自分でもエージェントを開拓し、複数のルートを並行させてください。

6. 独立・起業を、勢いで選ぶ

まとまった資金が入ると、独立が現実的な選択肢に見えてきます。ただし退職金を開業資金に充てて、生活防衛資金まで削ってしまうケースをいくつも見てきました。少なくとも生活費2年分は手を付けない。これは私からの強いお願いです。

7. 家族に相談せず、期限直前に一人で決める

これが実は最も多い。募集期間が短いことを理由に、家族への相談を後回しにする方が非常に多いのです。世帯のキャッシュフローに直結する意思決定ですから、ステップ3の資金表は必ず家族と共有してください。

年代別:希望退職への向き合い方

40代前半:まだ「選んで移れる」年代。条件次第で前向きに

この年代なら、求人の母数は十分にあります。割増退職金を得たうえで、伸びている市場へ移れるなら、生涯収入では有利になる可能性が高い。ただし、持ち出せる実績があることが前提です。40代のベンチャー転職は遅い?、大手メーカーからの移り方は大手メーカーからベンチャーへ転職する方法を参考にどうぞ。

40代後半〜50代前半:最も判断が難しい。数字で決める

募集対象の中心がこのゾーンです。賃金カーブのピーク直前で、かつ子の教育費のピークとも重なりやすい。感情ではなく、ステップ3の月次資金表で決めてください。40代のベンチャー・スタートアップ転職ガイドもあわせて。

50代後半:年収より「働ける期間」で考える

男性の賃金は55〜59歳の44万5,600円をピークに下降します。この年代は年収の維持より、何歳まで働ける場所を確保できるかのほうが、生涯収入へのインパクトが大きい。年収を2割下げても働ける期間が5年延びるなら、そちらが得です。50代の転職完全ガイド50代のベンチャー・スタートアップ転職完全ガイドに具体策をまとめました。

60代前後:役割と場所を、根本から設計し直す

この年代では、同じ職種・同じ働き方の延長で探すより、役割そのものを組み替えたほうが選択肢が広がります。顧問・業務委託・複数社への関与といった形も現実的です。地方への移住を含めた設計はUIターン・地方転職ガイドを、業務委託という選択肢は副業・業務委託からの転職ガイドをご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 希望退職に応募すれば、必ず会社都合になりますか?

いいえ、必ずではありません。判断するのは会社ではなくハローワークで、離職票の記載と実態にもとづいて区分されます。人員整理に伴う臨時の希望退職募集への応募は手厚い区分で認定されうる一方、従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度への応募は、退職勧奨には該当しないとされています。制度の名前ではなく実態で決まる、と理解してください。

Q2. 会社が「会社都合にします」と言っています。信じていいですか?

口頭であれば、根拠としては弱いと考えてください。離職票にどの離職理由コードで記載する予定かを確認し、可能なら書面やメールで残してもらう。加えて、社内の過去の認定実績を確認するのが最も確実です。もし記載内容に納得できなければ、ハローワークで異議を申し立てることもできます。

Q3. 応募を断ったら、社内での立場は悪くなりますか?

正直に申し上げると、影響がゼロとは言えません。ただし希望退職はあくまで募集であり、応じる義務はありません。応じないことを理由に不利益な扱いをすることは問題になり得ます。断ったあとに執拗な面談が繰り返されるような場合は、その経緯を記録しておいてください。それ自体が退職勧奨の証拠になります。

Q4. 応募したあとに撤回できますか?

会社が承諾した時点で合意退職が成立するのが一般的で、その後の一方的な撤回は困難です。「とりあえず応募して、後で考える」という進め方は避けてください。迷いがあるうちは意思表示をしないのが原則です。

Q5. 退職金の税金は、いくらくらいかかりますか?

退職所得は税制上かなり優遇されています。勤続30年・退職金2,500万円なら、退職所得控除1,500万円を引いた1,000万円の1/2、つまり500万円が課税対象。所得税・住民税あわせておおむね108万円程度です。ただし2026年1月からDC一時金との調整が5年ルールから10年ルールに延長された点に注意してください。iDeCoや企業型DCがある方は、受け取り順序で手取りが変わります。

Q6. 転職先が決まってから退職日を迎えることはできますか?

可能なケースは多いです。ただし退職日が固定されている募集も多く、その場合は日程調整の難易度が上がります。募集要項で退職日を確認したうえで、そこから逆算して活動を組んでください。決まってから辞められるなら、それが最も有利なのは間違いありません。

Q7. 割増退職金がいくらなら応じる価値がありますか?

金額の絶対額では決まりません。判断式は「割増額 ÷ 現在の月収 = 買える月数」が、想定される無収入期間の2倍以上あるかです。40代なら想定3〜6か月、50代なら6〜12か月を見ておくと安全側です。加えて、次の職場で年収が下がる場合はその差額の数年分も割増から差し引いて考えてください。

Q8. 「黒字リストラ」の会社を辞めるのは、もったいなくないですか?

ここは冷静に見てください。黒字なのに募集するということは、会社がその事業や人員構成を「今後は縮める」と判断したという意味です。会社が黒字であることと、あなたの部門・職種の将来性が明るいことは別の話です。会社の損益ではなく、自分が所属する部門の5年後で判断してください。判断を誤ったときの後悔の構造はベンチャー転職の失敗・後悔ガイドにも通じるものがあります。

まとめ:短い募集期間に、判断を溶かされないために

もう一度、5つの論点を並べます。

  1. これは希望退職か、常設の早期退職優遇制度か——恒常的な制度への応募は、退職勧奨に該当しないとされている
  2. 離職理由が何になるか——45歳以上・被保険者20年以上なら330日と150日、180日の差が出る
  3. 手元にいくら残るか——退職所得控除、2026年からの10年ルール、住民税の翌年課税
  4. 残った場合に何が起きるか——2回目の募集は、1回目より条件が良いとは限らない
  5. 次の椅子があるか——応募を決める前に、市場の反応を取る

2025年度に早期・希望退職を募集した上場企業は46社・2万781人。そのうち8割超が黒字企業からの募集でした。会社が傾いたから減らすのではなく、稼げているうちに人員構成を作り替える。この流れは、当面続くと私は見ています。つまりいま対象でない方も、数年内に当事者になる可能性があるということです。

最後に、25年やってきて確信していることを1つだけ。希望退職の募集で人生が変わるのではありません。募集が出るより前に、社外に自分の値段を確認していたかどうかで変わります。募集要項を受け取ってから市場価値を調べ始めると、2週間ではとても間に合わない。だからこそ、いま対象でない方にこそ、この記事を読んでおいていただきたいのです。

キープレイヤーズでは、私自身が経営者と直接お会いしている企業を中心に、転職支援とキャリアのご相談を承っています。「募集が出たが、応じるべきか判断がつかない」「まず自分の市場価値を確認したい」——こうした率直なご相談にこそ、25年分の相場観でお答えできると思います。募集期間が短くて時間がない、という方もご遠慮なくご連絡ください。

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東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、文部科学省アントレプレナーシップ推進大使。1万2000件以上のキャリア面談、4,000名以上の経営者と採用相談にのる。80社以上のエンジェル投資、投資して上場は9社。うち2社は役員として上場(クラウドワークス、メドレー)。178社以上の上場支援実績。顧問・社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数300回以上。「ベンチャーの作法」(ダイヤモンド社)5万部を超えるベストセラー

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